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『俺だけデスビーム』 ~剣も魔法もいらないので世界最強です~  作者: もかどら


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第5話 魔力測定

「とりあえず能力を測定する」


ギルドマスターのバルドがそう告げると、訓練場へ移動することになった。


山を消した犯人かもしれない。


そんな話が出ている以上、能力を確認しないわけにはいかない。


もっとも。


周囲の冒険者たちは半信半疑だった。


「本当にこいつなのか?」


「見た感じただのガキだぞ」


「武器も持ってねぇしな」


「ロイドの見間違いじゃね?」


そんな声があちこちから聞こえる。


ロイドだけは反論しなかった。


反論する余裕がなかった。


目の前の青年を見ているだけで嫌な汗が出てくる。


理由は分からない。


だが本能が警告していた。


近付くな、と。


「まずは魔力測定だ」


訓練場中央。


青い水晶の前に零司が立つ。


周囲には冒険者が集まっていた。


ちょっとした見世物になっている。


「手を置け」


「はい」


零司は素直に従った。


水晶が淡く光る。


そして数字が浮かび上がった。


【3】


沈黙。


一秒。


二秒。


三秒。


そして。


「ぶはっ!」


誰かが吹き出した。


「さ、3!?」


「嘘だろ!」


「一般人以下じゃねぇか!」


爆笑だった。


訓練場中に笑い声が広がる。


「俺の甥っ子でも15あるぞ!」


「犬の方が強そうだな!」


「よく冒険者になろうと思ったな!」


零司は数字を見る。


3。


確かに少ない気がする。


「低いんですか?」


ミリアが呆れたように答える。


「かなり低いです」


「どれくらい?」


「一般人で10前後です」


「なるほど」


零司は納得した。


確かに低い。


かなり低い。


「それは困りましたね」


「今さら気付いたのかよ!」


冒険者たちがまた笑う。


一人が肩を叩いてきた。


「諦めろ新人」


「え?」


「冒険者は無理だ」


「そうですか?」


「魔力3だぞ?」


零司は少し考えた。


だが異世界の常識はまだ分からない。


専門家が言うならそうなのだろう。


「なるほど」


素直に頷く。


その様子を見て、周囲はさらに笑った。


◇◇◇


「次はスキルだ」


別の水晶が運ばれてくる。


スキル測定用らしい。


零司が手を置くと文字が浮かんだ。


【固有スキル:デスビーム】


沈黙。


再び沈黙。


そして。


「なんだそれ」


誰かが言った。


全員の気持ちを代弁していた。


「デスビームです」


「見れば分かる」


「はい」


「効果は?」


零司は少し考えた。


説明が難しい。


しかし事実を言うしかない。


「指から出ます」


訓練場が静まる。


そして次の瞬間。


大爆笑が起きた。


「ははははは!」


「指から出るだけかよ!」


「子供の妄想じゃねぇか!」


「デスビームだってよ!」


腹を抱えて笑う冒険者までいた。


零司は少し傷付いた。


神様も似た反応だった気がする。


「そんなに変ですか?」


「変だろ!」


「聞いたこともねぇ!」


「絶対ハズレスキルだ!」


周囲から次々と声が飛ぶ。


ミリアまで苦笑していた。


「正直、私も初めて見ました」


「珍しいんですね」


「そういう意味ではなく」


言葉を濁した。


つまり微妙ということらしい。


◇◇◇


そこへ一人の男が前に出てきた。


二十代後半。


筋肉質。


腰に剣を差している。


「面白ぇ」


Eランク冒険者のガンズだった。


新人いびりで有名な男である。


「新人」


「はい」


「そのデスビームってやつ見せてみろよ」


零司は首を傾げた。


「ここでですか?」


「できねぇのか?」


「できますが」


「じゃあ見せろ」


周囲が囃し立てる。


「やれやれ!」


「デスビーム!」


「新人の必殺技だ!」


笑い声。


野次。


完全におもちゃ扱いだった。


零司は少し困った。


「危ないと思いますが」


その言葉にガンズが吹き出した。


「危ない?」


「はい」


「魔力3のお前が?」


また笑いが起きる。


「確かに危ないな!」


「笑い死ぬかもしれん!」


「はははは!」


誰も本気にしていない。


ロイド以外は。


「やめろ」


ぽつりと呟く。


誰も聞かない。


「おい」


声が大きくなる。


「やめろって言ってるだろ」


ガンズが振り返る。


「なんだよ」


「撃たせるな」


「何でだ?」


ロイドは言葉に詰まった。


説明できない。


ただ。


怖いのだ。


「嫌な予感がする」


ガンズは鼻で笑った。


「勘か?」


「そうだ」


「馬鹿らしい」


周囲も同意する。


ロイドは歯を食いしばった。


そして。


叫んだ。


「お願いだからやめろ!!」


訓練場が静まる。


その必死さに何人かが引いていた。


しかし。


ガンズは笑う。


「ビビりすぎだろ」


そして零司を見る。


「やれ」


「本当に?」


「やれ」


「分かりました」


零司は素直だった。


人差し指を上げる。


その瞬間。


ロイドは全力で後ろへ飛び退いた。


ガンズは呆れた顔をする。


「大袈裟な――」


零司は遠くの岩山へ指を向けた。


「デスビーム」


黒い閃光が走った。


一瞬だった。


音もない。


だが次の瞬間。


遥か彼方にあった岩山が消えた。


轟音。


衝撃波。


大地の揺れ。


風圧。


訓練場全体を暴風が吹き抜ける。


誰も動けない。


誰も喋れない。


遠くにあったはずの岩山。


それだけが。


綺麗に消えていた。


ガンズの顔から血の気が引く。


ミリアの口が開いたまま閉じない。


バルドは目を見開いている。


そして。


ロイドだけが。


崩れ落ちながら呟いた。


「だから言ったんだ……」


静まり返る訓練場。


その中で。


零司だけが不思議そうな顔をしていた。


「……やっぱり弱そうですか?」


誰も答えられなかった。

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