EPISODE5-2【怪異大量発生】
緊急アラートが施設全体に鳴り響き、スピーカーから緊急放送が流れる。
『緊急警報——各地にて怪異が大量発生しています。多数の亜人・異形種の出現が確認され、現在も増加中。住民の退避を至急実行してください』
その瞬間、レイトキたちの携帯端末や緊急通知が一斉に鳴り響く。画面には次々と送られてくる報告が並ぶ——各地の公園、住宅街、駅前、学校……ありとあらゆる場所で、突然異形の存在が出現し、混乱が広がっている。
「なんだこれは…!」レイトキは端末の画面を見て息を飲む。
「これほど一斉に、しかも広範囲で怪異が出るなんて——明らかに何者かの仕業だ!」星玲奈は蒼銀の瞳を強く曇らせ、拳を握り締める。
「まさか… 生贄の儀式の準備、それともヒュージゾンビ計画の始まりなの? これだけ大量の怪異が同時に出現するなんて、普通じゃない…!」陸郎は即座に情報を整理し、状況を把握する。
「出現しているのは低級の霊的存在、歪んだ亜人種、そして一部にはゾンビウィルスの影響を受けた個体も含まれている。二つの計画が同時に動き出した可能性が高い!」
「最悪だ…」那奈は顔を青くする。「街中があっという間に危険地帯になっちゃう…! 私たちだけでなく、一般の人たちまで巻き込まれる!」レイトキは決意を固め、全員に向けて指示を出す。
「みんな、急げ! まずは被害を最小限に抑える! 俺たちは二手に分かれる。一部は住民の避難誘導と護衛、残りは怪異の撃退と原因の究明だ! 絶対に、街の人たちを守る!」こうして、突如、大規模な怪異大量発生! アザミの計画と衆生解放戦線の儀式、二つの脅威が現実のものとなり、街は一気に危機に陥る! クロノギア、総力を挙げて事態収拾へ向かう——!街の各所で出現する怪異——歪んだ亜人、低級な霊体、ゾンビウィルスに侵された個体……クロノギアの面々は一斉に現場へと駆けつけ、対処にあたっている。レイトキは件狐の瞳で次々と動きを先読みし、メロダックを振るって的確に撃退。電脳能力で怪異の出現パターンを分析し、仲間たちに的確な指示を飛ばしていく。
「東側、三丁目に多数出現! リジェ、シャウト、そちらを頼む! マレトキ、久美子は避難誘導を優先して!」星玲奈は蒼銀のオーラを纏い、祖龍の力で一帯の邪気を浄化するように薙ぎ払う。ワーウルフォックスの俊敏さで次々と敵の間を駆け抜け、手当たり次第に撃退しながら、逃げ遅れた人々を安全な場所へ誘導していく。
「大丈夫です! すぐに安全な場所までお連れします! 頭を下げて、早く!」斗愛やカグラ、与太郎たちもそれぞれの力を発揮し、怪異を一つずつ確実に倒していく。リジェは負傷した人々の治療にあたり、応急手当てを施しながら避難を支援する。
「くっ… 数が多すぎる! けど、倒しても倒しても次から次へと…!」那奈は息を切らしながらも、手を休めずに戦い続ける。陸郎は状況を俯瞰し、冷静に報告を上げる。
「出現地点が偏っている… これは無作為じゃない。何者かが意図的に結界か、あるいは儀式の陣を敷いている可能性が高い! 怪異はその影響で溢れ出している!」レイトキは陣の中心らしき地点を睨み、声を張り上げる。
「ならば根本を断つ! みんな、応急処置を続けながら、陣の中心を目指せ! そこを止めなければ、いくら倒してもキリがない!」こうして——クロノギア全員が全力で怪異に対処! 住民を守り、怪異を退け、そして背後に潜む計画の核心へ迫る! 大量発生の裏にある真実とは——!? 混乱の中、避難が間に合わなかった住民のもとに怪異が襲いかかる。鋭い爪が、歪んだ牙が——逃げ遅れた住民の何人かが、まさに致命傷を負う。
「きゃあああ!」
「ぐっ…! 助けて…!」胸や腹、肩に深く裂かれた傷を負い、鮮血が流れ落ちる。意識が朦朧とし、その場に崩れ落ちる者も——。
「まずい! 手遅れになる!」星玲奈は蒼銀の瞳を険しくさせ、ワーウルフォックスの疾風のような速さで駆け寄る。祖龍の気で周囲の怪異を蹴散らし、即座に負傷者のもとへ辿り着く。
「大丈夫です! 諦めないで! 今、手当てします!」リジェも全力で治癒の力を注ぎ込む。
「傷が深すぎる…! だけど、間に合わせる! みんな、応急処置を急げ! 安全な場所へ運べ!」レイトキは件狐の瞳で状況を把握し、怒りを込めて剣を振るう。
「これ以上、犠牲を出すな! 殲滅を急げ! 同時に、重症者を最優先で避難させろ! 絶対に、一人も死なせない!」だが、傷ついた人々の痛々しい姿は、一同の心を重く締め付ける。
「間に合わなかったら…」那奈の声が震える。
「これが、アザミやドネイターの狙いなの…? こんなことのために、誰も悪くない人たちが…!」レイトキは歯を食いしばり、決意を新たにする。
「そうはさせない。俺たちが止める。この痛み、この悲しみ——全部、背負ってでも、最後まで守り抜く!」
こうして——逃げ遅れた住民に致命傷が発生! 緊迫の救助活動が展開される中、クロノギアの怒りと決意は限界に達する! これ以上の犠牲を出す前に、何としても根本を断たなければならない——! 怪異の爪と牙に傷つけられ、痛みと絶望の中で悲鳴を上げた人々の身体から、黒く濁った暗いモヤが湧き上がる。それは傷口から、そして震える胸の内から、まるで負の感情そのものが煙となったかのように立ち昇り——一筋、また一筋と空へ伸び、やがて一つに集まりながら高く高く昇っていく。
「あれは…!」星玲奈はワーウルフォックスの瞳でそのモヤを捉え、息を飲む。
「悲しみや絶望、痛み… そういう負のエネルギーが、目に見える形になってるの!?」レイトキは件狐の視線でモヤの流れを追い、顔を曇らせる。
「生贄の儀式…! まさか、この悲鳴と絶望そのものが、儀式の生贄の代わりになってるのか! 人の命だけじゃなく、心の痛みまでもが向こうの力になってるなんて…!」暗いモヤは空で渦を巻き、次第に大きな雲のように広がり、その下の街を重く覆い始める。それを見た者たちは、更に恐怖し、悲しみ、そこからまた新たなモヤが生まれる——悪循環が始まっていた。
「許せない…!」那奈は拳を握り締め、怒りを込めて叫ぶ。
「人の痛みを食い物にするなんて… 最低だ!」陸郎は冷静に状況を分析しながらも、その瞳には怒りを滲ませる。
「負の感情を集めて儀式のエネルギーに変換している… だからこれほど広範囲で怪異を出現させ、人々を傷つけ続けている。目的はただの生贄ではなく、街全体を巨大な生贄の壺に変えようとしているのかもしれない」レイトキはメロダックを強く握り、空に昇るモヤを睨みつける。
「ならば、それを断ち切る! 人の痛みを力に変えるなんて、絶対にさせない! みんな、一刻も早く陣の中心を目指せ! このモヤが止まらない限り、街はどんどん闇に飲まれていく!」こうして——悲鳴と絶望から生まれる暗いモヤが空へと昇り、儀式のエネルギーへと変換されていることが判明! 街全体が生贄にされようとしている中、クロノギアは一刻も早く核心へ辿り着かなければならない——! レイトキは件狐の瞳で地上に広がる儀式の陣の紋様を捉え、メロダックを高く掲げる。
「これ以上、誰も犠牲にさせない! この陣、俺が壊す!」彼は電脳能力で陣の制御回路を直接割り込み、同時にメロダックを振るって紋様の中心を真っ二つに斬り裂く。剣から放たれた金色の閃光は、地面に這う赤黒い紋様を辿り、端から端へと走り——
バキッ!
衝撃波が一帯を駆け抜け、陣の紋様が亀裂を生んで崩れ落ちる。空へ昇ろうとしていた暗いモヤは、その瞬間、根元から途切れ、次第に薄れていく。
「効いた…! モヤが止まった!」星玲奈は蒼銀の瞳を輝かせ、続けて祖龍×ワーウルフォックスのオーラで残った紋様の破片を一掃する。
「みんな、怪異の動きが鈍くなってる! 今のうちに一掃しよう!」陸郎は即座に状況を確認し、告げる。
「陣が破壊されたことで、怪異の供給源が断たれた。新たな出現は停止。だが、既に現れている個体はまだ残っている。油断せず、確実に始末していく!」レイトキは剣を収め、息を整えながらも警戒を緩めない。
「根本は止めた。だけど、これは敵の仕掛けの一端に過ぎない。誰が、何のためにこれほどの規模の陣を敷いたのか——その正体を突き止めなければ、またいつでも同じことが起きる」こうして——レイトキ、儀式の陣を破壊! 負のエネルギーの供給を断ち、怪異の大量発生を食い止める! だが、背後にいる黒幕の正体は未だ不明——! 次の戦いは、更に核心へと迫ることになる! 衆生解放戦線の本拠地——どこか冷たく、重い空気が漂う執務室。ドネイターが水面のような映像に映る街の様子を眺め、低く呟く。
「アザミが本格的に動き始めたか。しかし、副次的なことで闇のオーラである穢れが急激に溜まったわね」
画面の中では、先ほどまで街に溢れていた暗いモヤが消えた後も、空気そのものが濁ったように重く、どんよりとした気が地上に澱んでいる。人々の悲鳴、絶望、痛み——それらが生み出した「穢れ」は、儀式のエネルギーとして吸い上げられなかった分も、この地に沈着し、確実に蓄積されていた。
「予定外の収穫ですね」幹部の一人が静かに告げる。
「アザミの行動が引き金となり、我々の儀式に必要な『穢れ』が、想定をはるかに上回るペースで集まっています。レイトキたちが陣を壊したことで一時的には収まったように見えますが、根本的な汚染は消えていません」
ドネイターは指先でその映像をなぞるように見つめ、口角をわずかに上げる。
「そう。人の痛み、悲しみ、絶望——それらこそがこの世界を塗り替えるための礎。アザミは自分の復讐のために動いているつもりだろうが、結果的には我々の計画を加速させてくれている。……良いように使わせてもらっている」
「では、このままアザミを泳がせておくのですか?」
「ああ。彼の復讐心が、更なる穢れを呼び込む。それを利用するのが一番効率が良い。だが——限度はある。ヒュージゾンビ計画が我々の選別を狂わせる段階になれば、その時は排除するだけのこと」ドネイターの瞳が冷たく光る。
「レイトキたちが陣を壊したのは残念だった。だが、穢れはすでに十分に広がった。もう、止まっても遅いのだから」こうして——アザミの行動が結果的に衆生解放戦線の儀式を加速! 街には消えない闇のエネルギー「穢れ」が蓄積され、事態は更に深刻に! 敵の思惑通りに事が進み始める中、クロノギアはこの溜まり続ける穢れにどう対処するのか——!? レイトキは周囲に残る濁った空気——消えきらない穢れを感じ取り、はっきりと告げる。
「対処できるのはジャンヌかアルかエピデンドラムぐらいだもんな、穢れに。だが、その三人が別任務に向かってる」その言葉に、一同の表情が曇る。
「三人がいない…」星玲奈は蒼銀の瞳を沈ませ、周囲の澱んだ気を感じる。「祖龍の力で浄化を試みても、表面的なもので、根本の穢れまでは消しきれない… あれほど広範囲に溜まった闇のエネルギーは、並みの浄化じゃ歯が立たないわ」陸郎は即座に状況を整理し、告げる。
「ジャンヌは秩序の歯車、アルは処罰・審判の歯車、エピデンドラムは浄化と清めの力——いずれも穢れを祓うことに特化した存在。だが、現在全員が別の任務中。連絡は取れるが、この場に駆けつけるまでには時間がかかる」
「つまり、今この場には、この穢れを根本から消す手段がないってことか…」与太郎は悔しそうに拳を握る。「放っておけば、この穢れがまた新たな怪異を呼び込んだり、ドネイターたちの儀式の餌になったりするんだろ?」レイトキは頷き、厳しい現実を受け止めつつ、次の手を探す。
「そうだ。だからといって、何も出来ないわけじゃない。応急的にせよ、せーちゃんの祖龍の光、俺の件狐の結界、そしてみんなの力で、これ以上広がらないように抑え込む。三人が戻ってくるまで、その間、絶対にこの穢れを増幅させない!」こうして——穢れを根本的に祓えるジャンヌ・アル・エピデンドラムが不在! 手詰まりかと思われる状況の中、クロノギアは応急の抑え込みで凌ぐ決意! だが時間が経てば経つほど、穢れは敵の儀式を強化し続ける——! 制限時間付きの窮地、どう乗り切る!? レイトキは調査データを確認しながら、はっきりと告げる。
「衆生解放戦線のほうはおそらくこの調子じゃ一年ちょっとで儀式できるぐらいになるかもな。つまり、来年末だ」
その数字に、一同が息を飲む。
「来年末…!」星玲奈は蒼銀の瞳を震わせる。「ドネイターが言っていた12月31日——一年の終わりの日。それが儀式の日取りだったなんて… あと約1年、それがタイムリミットなのね」
陸郎は即座に計算し、状況を整理する。
「穢れの蓄積速度、生贄候補の確保状況、サタン因子の安定化——すべての進捗を合わせると、最も確からしいのが来年末。つまり我々には、約1年の時間しかない。それまでに、アザミのヒュージゾンビ計画と、衆生解放戦線の儀式——両方を阻止しなければならない」
「一年… 長いようで、本当に短い時間だ」レイトキはデータを強く握り締め、決意を込める。
「だけど、俺たちにはそれだけの時間がある。一日一日を無駄には出来ない。来年末——その日までに、絶対に全てを解決する。誰も生贄にさせない、誰も犠牲にしない、そのために今出来ることを全力でやる!」こうして——衆生解放戦線の儀式、来年末に決定! 残された時間は約1年! 二つの脅威が同時に進行する中、クロノギアの長期戦が始まる——! レイトキは決意を込めて、全員に向けてはっきりと告げる。
「まずはアザミのほうを止めよう」
その一声に、一同の視線が集まり、緊張感が一気に高まる。
「儀式まではまだ時間がある。だがアザミは今この瞬間にも、街に、人々に危害を加え続けている」レイトキは拳を強く握り締め、続ける。「ヒュージゾンビ計画が完成すれば、制御不能のゾンビが無差別に人を襲う。そうなってからでは遅い。だから、最優先でアザミを止める。話し合いを試みるにしても、力で抑えるにしても——今、ここで道を塞ぐ!」星玲奈は蒼銀の瞳を強く輝かせ、頷く。
「私も行く。アザミの狙いは私の力。私が行けば、彼の真意も、計画の核心も、見極められるかもしれない。それに——私、彼を止めたい。復讐のために誰も傷つけてほしくないから」陸郎は即座に作戦を組み立てる。
「ならば二手に分かれよう。レイトキ、星玲奈、戦闘要員はアザミの拠点へ直行。ツヴァイたち正規品の報告と、これまでのデータから、アザミの館『紫影の研究棟』が最も有力だ。一方、救助・防護要員はこの街に残り、穢れの拡散を抑えつつ、次の襲来に備える」
「了解!」全員が一斉に応え、それぞれの装備と気構えを整える。レイトキはメロダックの柄を握り、真っ直ぐ前を見据える。
「行くぞ。アザミの計画を根本から叩き潰す。誰も犠牲にしない、誰も傷つけさせない——そのために、俺たちは全力で向かう!」こうして——最初の標的はアザミ! ヒュージゾンビ計画を阻止するため、クロノギア総員で紫影の研究棟へ! いよいよ直接対決の時が迫る——!




