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EPISODE4-8【アザミ襲来など】

マタラシティの一角、赤い外壁が不穏な雰囲気を放つ館。その最深部の実験室で、アザミは複雑な配線と紫の光が走る装置の前に立ち、起動スイッチに手をかけていた。装置の中心には、赤く濁った液体が封じられたカプセルが鎮座し、その中では凶悪なゾンビウイルスが蠢いている。空気には微かな腐臭と緊張感が漂い、警告音が低く鳴り響いている。アザミは装置の起動を確認し、紫の瞳に復讐の炎を燃やしながら低く呟く。

「さあ、復讐のときだ。その前にアイツラに会うか」彼は白衣のボタンを一つ留め、カプセルがゆっくりとガス噴射モードへ移行するのを確認する。

「このウイルスは、一時的に人の理性を奪い、凶暴化させる。俺の故郷が滅んだ時、人々はこれに似た状態で互いに殺し合っていた——だから、同じ地獄を見せてやる。クロノギア… レイトキ… お前たちが正義だと思っている世界が、いかに脆く壊れやすいか、思い知らせてやる」アザミは噴射口の安全ロックを外し、静かに扉を開ける。

「だが、いきなりばらまくのはつまらない。まずは直接会って、その目で反応を見てからだ。お前たちがどんな顔で正義を語るのか… 見せてもらおう」一方、クロノギア本拠地・マタラ支部では、レイトキたちが突然の生体反応異常を感知し、緊張が走る。

「赤い館の方から、危険なウイルス反応が検知された!」シエラが警報を鳴らす。

「拡散する前に止めなければ、街全体が…!」レイトキは立ち上がり、拳を握り締める。

「分かった。行く。相手が誰であろうと、これ以上人を傷つけさせはしない!」

星玲奈も強く頷き、準備を整える。

「レイ、気をつけて。相手は何があっても理性を失ってるわけじゃない。だからこそ、話せる可能性も… それでも向き合ってきて」こうして——アザミがゾンビウイルスを携え、マタラシティに襲来! 復讐に燃える彼の真の狙いとは? そしてレイトキは、彼の心に届く言葉を見つけられるのか? 緊迫の攻防が始まる—―。赤い館の前で、扉が開くと同時にアザミが姿を現し、はっきりと告げる。

「クロノギア、来たか」レイトキは一歩前に進み、彼の姿を確認して、力強く応える。

「お前はアザミ」アザミは紫の瞳を鋭く光らせ、レイトキたちを正面から睨みつける。

「そうだ。ストレンジ幹部、アザミ。そして——故郷を奪われ、真実を求め続ける者だ。お前たちは何も知らないまま、正義だと信じて動いている。だが、その正義は本当に正しいのか?」レイトキは拳を握り締め、真っ直ぐに問いかける。

「お前の復讐の気持ちは分からないでもない。だけど、ウイルスをばらまいて無関係な人々を苦しめるのは、違うだろう? それでは、お前が憎んでいる相手と同じになってしまう」アザミは嘲笑うように鼻を鳴らし、装置の起動ボタンに手をかける。

「同じだと? 何も知らないくせに、綺麗事を並べるな。俺はただ、同じ痛みを味わってもらいたいだけだ。俺の故郷が滅んだあの日、誰も助けてはくれなかった。だから今、俺も誰も救わない」星玲奈は一歩前に出て、冷静に言葉を届ける。

「助けてくれる人がいなかった… それは本当に辛いことだと思う。だけど、それでさらに誰かを傷つけたら、アザミさんの心まで壊れてしまう。それで本当に、復讐したことになるの?」アザミは一瞬言葉を詰まらせるものの、すぐに首を振り、決意を固める。

「俺はもう、戻れない。さあ、覚悟しろ——これが、俺の復讐の始まりだ!」こうして——アザミとの直接対峙が始まる! 復讐の炎に燃える彼の心に、レイトキたちの言葉は届くのか? ウイルスが迫る中、緊迫の戦いが幕を開ける——!レイトキたちがアザミと対峙している最中、リジェとシャウトは素早く館の裏口へと回り込み、内部へと侵入していた。

「任せて! 俺たちが止めてくる!」シャウトは低く告げ、足音を立てずに最深部の実験室へと駆け込む。リジェも炎のエネルギーを手に纏いつつ、装置の前に躍り出る。

「これ以上、起動させはしない!」

二人は同時に装置の制御盤へと手を伸ばし、緊急停止コードを入力、非常停止レバーを一気に引く。

《ピーー… システム停止。ウイルス噴射中止。》赤く点滅していた警告灯が次々と消え、不気味な稼働音も徐々に沈黙へと包まれる。ウイルスを収めたカプセルも安全ロックがかかり、完全に封じられた。

「止まった…! 街への拡散は回避された!」リジェは安堵の息を吐き、装置を確認する。シャウトも胸を撫で下ろし、外へと声を届ける。

「レイトキ! ウイルス装置、無事に停止させたぞ!」館の外でその声を聞いたアザミは、目を見開いて驚き、即座に装置の方を振り返る。紫の瞳が怒りと動揺で激しく揺れる。

「…っ! 俺の計画を…! なんてことを…!」レイトキはその隙を逃さず、一歩前に出て真っ直ぐに告げる。

「アザミ。まだ間に合う。これ以上、自分を傷つけるな。俺たちはお前を倒しに来たんじゃない。止めに来たんだ——誰も、悲しませないために」

こうして——リジェとシャウトの活躍で、ウイルスの脅威は未然に阻止! 復讐の計画を阻まれ、動揺するアザミ。彼の心はいまだ闇に囚われたままだが、わずかな光が差し始めている——!アザミは怒りと絶望を込めて剣を抜き、振動する刃を構える。紫の光が刃を激しく輝かせ、空気を切り裂くような低い振動音が響く。

「誰も悲しませないだと!もう遅いんだよ!俺は、あとには戻らない!邪魔するなら容赦しない!」彼の剣は超振動によってあらゆるものを切り裂く威力を持ち、その一撃は決して軽くはない。だが、その剣を構える腕は怒りと共に、微かに震えている。レイトキは一歩も引かず、真正面から受け止める。

「遅くなんかない! いつだって、選び直すことはできる! アザミ、お前が本当に望んでるのは復讐なんかじゃないだろう? 失われたものを取り戻すことでも、誰かを傷つけることでもない——ただ、真実を知り、認めてもらいたかっただけじゃないのか?」

「黙れっ!」アザミは叫び、振動ブレードを振りかざす。

「お前に俺の何が分かる!? 何も失わず、何も壊されず、正義だの希望だのと綺麗事を並べる奴らに、俺の痛みなんて分かるはずがない!」刃が振り下ろされる瞬間、星玲奈が前に出て、手のひらにバリアを張る。

「分からない、なんて決めつけないで! 確かに全てを分かることはできないかもしれない。でも、痛みに寄り添うことはできる。悲しみを、一人で抱え込まないでって、言うことはできる!」

「俺は一人で十分だ!」アザミの剣とバリアが激突し、衝撃波が周囲に広がる。振動する刃がバリアを削り、きしむ音が響く。

「邪魔をするなら、お前たちも同じだ! 俺の前に立つ者は、誰であろうと切り捨てる!」レイトキはそれでも諦めず、一歩前へ進む。

「それでも俺は止める。お前が自分自身を壊していくのを、見過ごすわけにはいかないから。アザミ、お前は強い。だからこそ、その力を復讐のために使うな。俺たちと一緒に、真実を探そう。本当の敵は、お前が憎んでいるものとは、別のところにいるのかもしれないんだから」アザミの瞳が大きく揺らぐ。剣の振動は依然として止まないが、その勢いはわずかに鈍っている。

「……真実、だと? 綺麗事だ。そんなもの、とっくに闇に飲まれた」こうして——アザミは振動ブレードを構え、決死の覚悟で襲いかかる! 怒りと絶望に駆られる彼の心の奥には、まだ微かな迷いが残っている。レイトキたちの言葉は、その闇に届くのか? 激しい戦いの中で、心の攻防が続いていく——!アザミは歯を食いしばり、決意を込めて呟く。

「使うしかないか」彼は胸元のケースから一つの黒いカプセル薬を取り出す。表面には不吉な紋様が浮かび、闇の気配が漂っている。ためらうことなく一気に飲み込むと、瞬く間に彼の全身から黒紫の靄が湧き上がり、周囲を覆い始める。その異常な気配に、レイトキは瞳を見開き、驚きの声を上げる。

「こ、これは、アヌビスの…!」黒紫の靄はアザミの体を包み込み、その姿が徐々に変化していく。身長が伸び、体躯は鋼のように逞しくなり、背中には漆黒の仮面が浮かび上がる。まさに冥界の神・アヌビスの因子が覚醒した姿——。アザミの声が低く、重く、響き渡る。

「そうだ…。これが俺の最後の切り札。アヌビスの力——死者の理に干渉し、あらゆるものを黄泉の国へ誘う力だ。これで…誰も俺を止められない」振動ブレードの刃は紫黒く輝き、振動音は死の轟音へと変わる。彼の周囲の空気は重く沈み、大地すらもその力に応えるようにわずかに震えている。星玲奈は手で口を押さえ、声を震わせる。

「アヌビス… 冥界の神の因子… それを使ったら、元の姿に戻れる保証はないのよ! 自分自身が壊れてしまうかもしれないの!」

「壊れてもいい」アザミは冷たく言い放つ。

「俺には、これ以外に選択肢はないんだ。さあ、覚悟しろ——この力で、俺は全てを裁く!」レイトキは拳を強く握り、真っ直ぐに見つめる。

「それでも俺は、お前と戦わない。俺はお前を倒すために来たんじゃない。アザミ、その力は復讐のためじゃない。誰かを救うために使うものだ。いつか、それに気づいてくれる日を待ってる」こうして——アザミがアヌビスの因子を覚醒させ、最も危険な姿へと変貌! 冥界の力が解き放たれ、戦いは次元の違う様相へと突入する。レイトキの想いは、闇に飲まれた彼の心に届くのか——!アザミは紫黒の靄に包まれた手を一閃、星玲奈の首元へと伸ばしてつかみ、ゆっくりと持ち上げる。その目にはもはや人間の温もりはなく、冥界の闇が宿っていた。

「まずはお前からだ」星玲奈は足元を浮かされ、絞められるような痛みから息苦しくなるが、瞳には恐怖ではなく悲しみと祈りが宿っている。彼女は手を伸ばし、アザミの手にそっと触れようとする。

「アザミさん… こんな… こんなこと… 本当に… 望んでるの…?」レイトキは瞬く間に前へ躍り出て、アザミの腕に手をかける。その力は驚くほど強く、レイトキも歯を食いしばらなければ抑えられないが、決して手を放さない。

「アザミ! せーちゃんに手を出すな! お前の敵は俺だ。俺に向けろ!」アザミはレイトキの声を聞いても、表情は一ミリも変わらない。絞める力が少しだけ強まり、星玲奈の頬には冷汗が浮かぶ。

「お前らは一緒だ。正義だとか希望だとか、同じ綺麗事を並べる奴らは全て… 消してしまえばいい」その時、リジェとシャウトが館から駆け出してきて、アザミの後ろから迫る。

「手を放せ!」リジェは炎のエネルギーを纏い、攻撃の構えを取る。

「でも、お前を傷つけるつもりはない! 力を使い過ぎると、体が耐えられなくなる!」シャウトも声を荒げて叫ぶ。

「俺たちが止めるから! 自分を滅ぼす前に、ちゃんと聞いてくれ!」アザミの手は依然として星玲奈の首を締めているが、その力にはわずかな猶予が混じり始めている。紫黒の靄が揺らぎ、彼の体の一部には痛みを感じているような震えが走る——。

こうして——アザミが星玲奈を捕らえ、危機一髪の状況に! 闇の力に支配されつつも、彼の心の奥にはまだ微かな迷いが残っている。レイトキたちは、星玲奈を救い、同時にアザミを引き戻せるのか——!レイトキは怒りと決意を込めて絶叫すると、自らの腕を一気に変貌させる。鱗状の皮膚が闇色に輝き、筋肉は爆発的に膨れ上がり、まさにドラゴンの腕そのものへと変化を遂げる。

「離せって言うのが分からないか!」そのまま全身の力を込め、渾身の一撃をアザミの側面に叩き込む!

ドゴォォォッ!!

衝撃音が周囲に響き渡り、アザミは勢いよく弾き飛ばされ、星玲奈の手からも無意識のうちに手が離れる。星玲奈はその場に崩れ落ち、激しく咳き込みながら呼吸を整える。

「せーちゃん! 大丈夫か!」レイトキはすぐさま彼女を支え、心配そうに声をかける。

「うん… ありがとう、レイ…」星玲奈は首元を押さえながらも、真っ直ぐな瞳でアザミを見つめる。

「でも… アザミさん、痛そう…」一方、地面に倒れたアザミは、ドラゴンの一撃の衝撃で黒紫の靄が大きく乱れ、仮面のような姿が一瞬揺らぐ。彼はゆっくりと起き上がり、レイトキのドラゴンの腕を見て、低く笑い出す。

「ハァ… ハァ… いい拳だ。だが… これで終わりじゃない。俺はもっと… もっと強くならなきゃいけないんだ」アザミは再び靄を纏い、戦闘態勢を強める。だがその瞳の奥には、怒りだけではない、何か別の感情が滲んでいるのが分かる。レイトキはドラゴンの腕を維持しながらも、決して攻撃の手を急がず、静かに告げる。

「俺はお前を傷つけたくない。だけど、せーちゃんや、誰かを傷つけるなら、俺は全力で止める。アザミ、戦う相手は俺だ。俺と戦え!」こうして——レイトキのドラゴンの腕が一撃を放ち、星玲奈を救出! だが戦いは激化するばかり。アザミは闇の力を深め、レイトキも自身の力を解き放つ——二人の激突は、心の闇と光のぶつかり合いでもある!レイトキはアザミの一連の行動を振り返り、鋭く核心を突いて叫ぶ。

「わざとか! せーちゃんを狙ったのは! オレに怒りを飲ませるためのか!」その言葉に、アザミの動きがピタリと止まる。黒紫の靄がゆらりと揺れ、彼の表情が一瞬だけ陰る。星玲奈もレイトキの言葉にハッとし、アザミを見つめる。

「それって… わざと私を…? レイを怒らせるために…?」アザミは低く嗤い、認めるように言い放つ。

「……そうだ。お前が怒りに飲まれれば、それだけ力が暴走する。その姿こそ、俺が見たかったものだ。俺と同じように、正義なんて捨てて、ただ闇に染まればいい」レイトキは拳を強く握り締めるが、怒りに任せて突進することはない。むしろ冷静さを取り戻し、真っ直ぐにアザミを見据える。

「そんなことのために… せーちゃんを、人を、道具に使うのか! それがお前の望む復讐なのか!?」

「復讐のためなら、何を使っても構わない」アザミは剣を構え直す。だがその声には、かつてのような勢いがない。

「お前が怒り狂って俺を斬り捨てる——それでこそ、俺の復讐は完成するんだ」

「違う!」レイトキは強く否定する。「俺は怒りになんて飲まれない。お前が何を企んでも、俺は俺のままで、お前と向き合う。アザミ、お前は自分自身を裁いてるんだ。誰かを傷つけることで、自分の痛みを隠そうとしてるだけだ!」アザミの肩が小さく震える。黒紫の靄が少しだけ薄まり、彼の本心が垣間見える。

「うるさい… 俺は正しい… 俺は…」

こうして——レイトキはアザミの真の狙いを見抜き、怒りに飲まれることなく対峙! 相手の思惑を跳ね返し、心の闇に光を届けようとするレイトキ。だが戦いはまだ続く——アザミは自身の企みが暴かれ、さらに追い詰められていく!アザミは怒りと焦りを込めて剣を大きく振りかざし、一斉に四つの斬撃波を放つ!

「消えてしまえっ!」紫黒の斬撃波は星玲奈、久美子、斗愛、カグラの四人に向かって一直線に襲いかかる。四人はそれぞれ防御態勢を取るものの、アヌビスの力で増幅された振動ブレードの一撃はあまりにも強大で——

「くっ、受け止めきれない!」四人の防御は音を立てて弾かれ、そのまま直撃を受けてしまう!

ドゴォォーーーッ!!

衝撃と共に四人は勢いよく吹き飛ばされ、地面に倒れ込む。砂埃が舞い上がり、一瞬辺りは静まり返る。

「せーちゃん! クーちゃん! 斗愛! カグラ!!」レイトキは血の気が引く思いで叫び、駆け寄ろうとする。

倒れた四人はそれぞれ痛みに耐えながらも、すぐに意識を取り戻す。

「レイ… 大丈夫、まだ戦える…」星玲奈は肩を押さえながら起き上がる。

「いや… このままじゃダメ… 相手の力が、俺たちの想像以上だ…」斗愛は歯を食いしばる。

「だけど… 逃げたりしない! みんなでいるんだから!」久美子は水の力を少しだけ纏い直す。

「そうよ… 一人じゃないもの…」カグラも体を支えながら立ち上がる。アザミは荒い息を吐きながら剣を構え直す。黒紫の靄は少し薄れているものの、その瞳は依然として闇に覆われている。

「まだ立ち上がるのか… どれだけ傷つけば気が済むんだ…」レイトキは四人の無事を確認し、ドラゴンの腕をさらに輝かせ、決意を新たにする。

「俺たちは何度でも立ち上がる! だって、お前を放っておけないから! アザミ、見ていろ——俺たちの絆が、どれほど強いか!」こうして——アザミの一斉攻撃が四人を直撃! だが誰も倒れず、絆はさらに強く輝き始める! 傷つきながらも諦めない姿が、アザミの心を少しずつ揺らし始めている——!アザミは狂気と絶望を込めて剣を振り抜き、再び紫黒の斬撃波を女陣全員に向けて放つ! 

「ならば、本気で殺してやる!」先ほどの直撃でまだ体勢を立て直しきれていない星玲奈、久美子、斗愛、カグラ——四人は再び襲い来る一撃に回避しきれず、またも正面から直撃を受けてしまう!

ガシャァァーーーッ!!

衝撃波が大地を揺るがし、四人は木の葉のように弾き飛ばされ、地面に強く叩きつけられる。砂埃が舞い上がり、痛ましい音が響き渡る。

「ぐっ…!」

「きゃあっ…!」

「まだ… 戦える… のに…」

「みんな… 大丈夫…?」それぞれ苦痛の声を上げながらも、四人は何とか意識を保ち、再び立ち上がろうとする。だが体の負傷は明らかに深く、動きは鈍り、息も荒くなっている。レイトキはその光景を目の当たりにし、胸が締め付けられるような痛みを感じる。怒りよりも先に、悲しみが込み上げてくる。

「アザミ! やめろ! 彼女たちはお前の敵じゃない! 誰もお前を傷つけようとしてるんじゃない! ただ、お前のことを心配してくれてるだけなのに!」アザミは剣を構えたまま、荒い息を吐きながら四人を見下ろす。黒紫の靄はまだ彼を包んでいるが、その瞳の奥には、自分自身の行いに対する戸惑いと苦しみが、確かに滲み始めていた。

「心配…? 俺にはそんなもの… 必要ない…」そう呟く声は、もはや威勢の良いものではなく、どこか寂しく、崩れかけた響きだった。こうして——アザミの追撃が再び四人を襲い、深刻なダメージを受ける! それでも諦めず立ち上がる彼女たちの姿は、アザミの心の壁を少しずつ崩し始めている。果たして怒りの連鎖は断ち切れるのか——!アザミは歯軋りするように呟くと、全身を包んでいた黒紫の靄が一気に霧散していく。

「くそ、タイムリミットか」アヌビスの力が強制的に解け、彼の姿は元のアザミへと戻っていく。振動ブレードの剣も力を失い、重く手から滑り落ちて地面に音を立てる。呼吸は激しく乱れ、膝をついて崩れ落ちそうになるのを必死に堪えている。カプセルの効果時間が切れ、限界が来たのだ。レイトキはすぐさま駆け寄り、手を差し伸べる。

「アザミ…! 戻ってきたんだな…!」

アザミは荒い息を整えながら、自分の手を見て力の消えたことを確認し、自嘲するように笑う。

「力が… 尽きた… これが俺の限界ってことか… 結局、何も成し遂げられなかった…」星玲奈たちも痛む体を引きずりながら近づく。四人とも傷つき、疲れ切っているが、その瞳には怒りではなく安堵と心配が宿っている。

「アザミさん… 無事に戻ってきて… よかった…」星玲奈は肩を押さえながら言う。

「一人で背負い込まないで… 私たちがいるんだから…」久美子も続ける。

アザミはその言葉に俯き、拳を地面につく。

「俺は… お前たちを傷つけたのに… なぜそんな顔をするんだ… 俺は… 俺は…」レイトキはそっと彼の肩に手を置く。

「お前は自分が思ってるより、ずっと優しい人なんだ。だから、力が切れた。それは闇がお前を飲み込む前に、お前自身が闇を拒んだからだ。それが真実のお前だ」こうして——アヌビスの力が切れ、アザミが元の姿に戻る! 激しい戦いは終わり、今は互いの痛みと心が向き合う時。復讐の闇は薄れ、新たな道が見え始めている——!アザミは地面に拳をついたまま、歯を食いしばり、叫ぶように言い放つ。

「バカなヤツラだ! 次こそは遂行してみせる!」だがその声には、もはや先ほどのような闘志や狂気はなく、むしろ自分自身に対する苛立ち、そして悔しさが滲んでいる。力が尽き、体は満足に動かない——それが何よりも彼自身の計画の脆さを示している。レイトキはそれでも手を差し伸べたまま、静かに応える。

「次があるとしたら、その時は俺たちと一緒にやろう。復讐じゃない、本当のことを成し遂げるために。お前が求めてる真実は、誰かを傷つけた先にはないんだ」星玲奈も近くに立ち、優しくだがはっきりと告げる。

「そうだよ。アザミさんが何をそこまで追い詰められているのか、詳しく話してくれるなら、私たちは全力で力になる。一人で全部抱え込まないで」アザミは二人の言葉を聞き、思わず顔を上げる。その瞳には戸惑いが広がり、言葉が出てこない。自分が彼女たちを傷つけたというのに、それでも手を差し伸べられる——その意味が、まだ理解できずにいる。

「お前たちは… 俺がお前たちを殺そうとしたのに… なぜだ…」

「当たり前だよ」レイトキは真っ直ぐに見つめる。

「俺たちは敵じゃない。同じように、真実を求め、平和を願う者同士だ。だから、いつか心から話せる日が来ることを待ってる」アザミは拳を強く握り締める。だがその拳は、もはや誰かを傷つけるためではなく、自分自身の心を抑えるためのものに変わっていた。

「……次こそは、必ず、と言ったが… 今回は… 負けた。だが、俺はまだ納得してない。だから… いつか、本当の意味で決着をつける」こうして——アザミは敗北を認めつつも、依然として決意を秘めたまま去る! 完全な和解には至らなかったものの、確実に心の距離は縮まった。彼の中には、復讐の闇とは別の、新たな迷いと希望が生まれ始めている——!赤い館の自室に戻ったアザミは、窓辺に佇み、外の景色を見つめながら低く呟く。荒い息はまだ続き、体の痛みも消えない。だがそれよりも、心の奥の葛藤が彼を苦しめ続けていた。

「まだ、復讐は終わらない、終わらせてはダメなんだ、故郷のみんなのために」胸元を強く握り締め、瞳には再び決意の炎が灯る。だがその光は、以前のような怒りだけのものではなく、迷いと痛みを伴うものになっている。

「俺が諦めたら、あの日死んでいった人たちが浮かばれない。何も知らずに奪われた命、壊された故郷… あの惨劇を、俺が忘れちゃいけないんだ」机の上には、故郷の人々と撮った写真が置かれている。彼はそれを手に取り、指でそっとなぞる。

「レイトキたちは優しかった… 俺が傷つけたのに、それでも手を差し伸べてくれた。だけど… それでは答えにならない。俺が求めているのは、同情じゃない。真実と、そして報いなんだ」窓の外の空は、彼の心のように曇り空。だが、わずかながら光が差し始めているのに、彼はまだ気づいていない。

「次は… 次こそは、俺の計画を完遂させる。だけど… 今回のことで分かったこともある。俺一人じゃ、どうにもならないのかもしれない…」その言葉は、彼の心が少しずつ変わり始めている証拠だ。復讐の闇はまだ彼を覆っているが、その下には新たな思考が芽吹き始めている。こうして——アザミは自室で自らの使命を再確認し、次なる決意を固める! 故郷のため、仲間のため、彼はまだ闇の道を選ぼうとしている。だがその心の中には、確かに変化が生まれ始めている。それは希望への兆しなのか、それともさらなる闇の始まりなのか——!赤い館の扉が静かに開き、一人の女性が姿を現す。金髪に鮮やかな赤のメッシュが躍るように入り、瞳には強い決意と忠誠の光が宿っている。

挿絵(By みてみん)

彼女はアザミの前まで進み、真っ直ぐに告げる。

「アザミ様、アナタの悲願を達成させます。そのためには制御装置はかかりませんね」アザミは驚いて顔を上げ、彼女の姿を見つめる。

「お前… なぜここに? それに制御装置だと? どういうことだ」彼女は一歩前に出て、はっきりと続ける。

「アナタがストレンジに入った時から、体内には行動を制限する装置が埋め込まれていました。復讐のために力を使おうとするたび、それが足かせとなっていたのです。私はそれを解除しに来ました——完全に、アナタの思いのままに力を使えるように」 アザミは拳を強く握り締め、自身の体を見下ろす。

「制御されていた… 俺はずっと、鎖に繋がれていたのか…」

「そうです。だからこそ、これからです」彼女は手に小型の装置を取り出し、起動させる。

「これで、何も妨げるものはなくなります。アナタの悲願——故郷の仇を討ち、真実を明らかにするその時まで、私はアナタの側にいます」アザミは彼女の言葉に、怒りと同時に複雑な思いが込み上げる。

「お前は… 俺に力を貸してくれるのか。この俺が、どんな道を進もうとも…」

「はい。アナタが選ぶ道がどんなものであろうと、私はついていきます」彼女は力強く頷く。

「だから、共に進みましょう。アナタだけの正義を、この手で掴むために」こうして——赤メッシュの金髪の女性が現れ、アザミの制御装置を解除! 新たな仲間を得て、完全なる力を手に入れたアザミ。だがその力は、彼をどこへ導くのか——復讐の闇を深めるのか、それとも新たな光への道なのか——!ノバラは瞳を真っ直ぐにアザミに向け、自らの出自と彼の企みを明かすように告げる。

「わたしの名前はノバラ、アザミ様。あなたの血を入れられた眷属が一人。しかし、アナタは妙なことをしましたね、不死鳥との混ざりものまで作るとは」アザミは微かに目を細め、動じることなく応える。

「再生の歯車のことか。アヤツを作ったのも目的の一つのためだ」ノバラは赤メッシュの髪をなびかせ、鋭く分析するように続ける。

「不死鳥の因子——絶えることのない再生、蘇りの力。それを器に宿らせたのは、いずれ来る消滅や破壊に抗するため…? それとも、何度でも立ち上がる者を、あなたの計画の核に据えようというのですか」

「どちらでもない」アザミは机の写真を強く握り締める。

「俺が欲しかったのは、『何度でも蘇る希望』の象徴だ。俺たちのように、理不尽に奪われた者たちのために——たとえ滅ぼされても、絶対に消えない存在が必要だった。だからこそ、再生の歯車を持つ者を創り出した。それが誰であろうと、その力は俺の悲願の一端を担う」

「なるほど」ノバラは納得したように頷き、自身の胸元に手を当てる。「わたしは眷属として、アナタの血を受け、アナタの力の一部となった。だからこそ分かります。アナタが創り出したものは、復讐のための剣でもあり、同時に救済のための光でもあるのだと。だが——不死鳥との混ざりものは、いずれアナタの手を離れ、独自の意思を持つ日が来るかもしれません」アザミは窓の外を見つめ、低く呟く。

「それでも構わない。俺が創ったものが、俺の思いとは違う道を選ぶのなら、それもまた運命だ。ただ——その時が来るまで、俺は俺の道を進むだけだ」ノバラは彼の決意を受け止め、静かに告げる。

「では、わたしはアナタの側で、その時を見守ります。制御装置はすでに解除。これでアナタは何も縛られず、真の力を発揮できる。さあ、進みましょう——アナタの物語を、完結させるために」こうして——眷属ノバラの正体と、不死鳥因子を宿す再生の歯車の秘密が明らかに! アザミの計画は単なる復讐を超え、再生と蘇生を含む大きなものへと広がっていた。完全なる自由と新たな仲間を得た彼は、これから何を成そうという

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