EPISODE4-6【世界情勢】
クロノギアが新たな拠点・マタラ支部で暮らし始めた頃、世界中の国々は二つの組織の動向で大きく揺れていた。街の広場、カフェ、駅の掲示板——至る所で人々が声を潜め、あるいは熱く語り合っている。
「ストレンジの活動範囲、また拡大したらしいぞ」
「衆生解放戦線の方は? 最近、各地の聖域や宗教施設を標的にしてるって話だが…」
「どっちもどっちだ。だが、ストレンジはクラリトンの技術を悪用してるって噂、本当なのか?」
「衆生解放戦線は神や聖域そのものを否定してるらしい。ありとあらゆる聖地を破壊するとか…」国際放送のニュースが流れ、スクリーンには緊張感のあるアナウンサーの声が響く。
『現在、世界各国でストレンジ・プレデターと衆生解放戦線の動きが最も大きな話題となっています。ストレンジは各地でZXファクターの強制収集とヒュージノイドの量産を進め、一方の衆生解放戦線は宗教的象徴や聖地への襲撃を相次いで発生させており、両組織ともに各国政府から「非常に危険な国際的脅威」として指定されています——』街の人々の不安は日に日に増していく。
「いつ自分たちの街が標的になるか…」
「政府は何をやってるんだ。早く何とかしてくれ!」
「でも、クロノギアっていう存在がいるって聞いた。彼らなら何とかしてくれるのかな…?」そんな中、クロノギアの事務所ではレイトキたちが世界の動きを報告書とモニターで確認していた。レイトキは真剣な面持ちで机に置かれた地図を見つめる。
「どちらも着実に勢力を伸ばし、手口も明らかになってきた。ストレンジは力と技術で支配し、衆生解放戦線は思想と破壊で全てを無にしようとしている。だが——どちらも根本的には同じものを求めてる気がする」星玲奈はニュース映像を見ながら頷く。
「そうね。どちらも自分たちの正義を押しつけ、他の価値観を認めようとしない。それが世界中の不安と分断を生んでいるの。私たちはそれに対抗するだけじゃなく、誰もが安心して暮らせる道を示さなきゃ」マレトキも深刻な表情で言葉を添える。
「各国政府も警戒を強めているが、完全に抑え込むことができていない。今やこの問題は一国の枠を超え、世界規模の課題となっている。我々の行動一つ一つが、世界の未来を左右するということを忘れてはならない」レイトキは拳を強く握り、決意を声に込める。
「ならば尚更だ。俺たちはただ戦うんじゃない。人々に希望を見せるために戦う。差別も争いもなく、誰もが自分らしく生きられる世界——それを俺たちの手で示すんだ!」こうして——世界全体が二つの組織によって大きく揺れ動いていることが明らかに! 人々の不安が高まる中、クロノギアの存在はますます重要なものとなり、彼らの行動が世界の未来を決める時が迫っている—。画面のニュースが緊急テロップに切り替わり、アナウンサーの声が一層張り上がる。
『緊急速報——深夜帯、人間亜人合同地区にて大規模爆発事件が発生。建物複数棟が倒壊、現在も負傷者の救助活動が続いています。現場の状況、及び関連情報から、衆生解放戦線の関与が強く疑われているとのことです。当局は警戒レベルを最高に引き上げ、全域で捜査を開始しました——』 映像には、煙が上がる街並み、崩れた壁、駆け回る救助隊の姿が映し出される。レイトキは思わず立ち上がり、拳を強く握り締める。
「合同地区…! 人間も亜人も、分け隔てなく暮らしていた場所だったのに…!」星玲奈は手で口を押さえ、震える声で呟く。
「そこを狙うなんて…。多様性が認められ始めた場所を、わざと…。彼らの思想が、いかに歪んでいるかがよく分かるわ」マレトキは眉間に皺を寄せ、報告書を握りしめる。
「人と亜人が共に生きる場所こそ、彼らにとって許せない象徴なのだろう。だからこそ、真っ先に破壊した。これは単なるテロではなく、明確なメッセージだ。次の標的も、同じような場所になる可能性が高い」フィーアが静かに言葉を添える。
「恐怖で人々を支配し、思想を押しつける…。それがどれほど愚かなことか、彼ら自身が一番分かっていない」
レイトキは胸元の聖十字架を強く掴み、瞳に怒りと決意を燃やして告げる。
「絶対に許さない。俺たちは今すぐ現地へ向かう。被害者の救助と安全確保、そして次の襲撃を未然に防ぐためにも——行くぞ、みんな! これ以上、悲しむ人を増やさせない!」一同は一斉に立ち上がり、決意を込めて応える。
「「「「はい!」」」」こうして——衆生解放戦線の凶行が明らかになり、事態は緊急事態へと突入! クロノギアは直ちに現地へと向かい、人々を守り、そしてこの暴挙の真相を追う——!現地に到着したフィーアは、即座に負傷者のもとへ駆け寄り、治療を開始する。手のひらから柔らかく白い光が溢れ出し、傷ついた人々を包み込んでいく。
「私に入れられてるのは角端とエインヘリアルだから、回復浄化能力は高い」彼女の言葉通り、光に包まれた負傷者たちの痛みが和らぎ、傷口はみるみる癒えていく。角端の生命力とエインヘリアルの聖なる力が融合し、単なる治癒だけでなく、体内の毒や汚染されたエネルギーまで浄化していくのだ。
「大丈夫です、安心してください。もう痛みはありません」フィーアは一人ひとりに声をかけながら、手際よく治療を進めていく。その穏やかな表情と確かな力に、救助活動にあたっていた隊員たちも驚き、そして安堵の表情を浮かべる。レイトキは周囲の警戒を固めながら、フィーアの活躍を見て心強く感じていた。
「さすがだ。フィーアの力があれば、多くの人が助かる。だが、気を抜くな。いつ再び襲撃が来るとも限らない」星玲奈も負傷者の手当てを手伝いながら頷く。
「フィーア、本当にありがとう。でも、無理をしないで。あなた自身の力も限界があるはずだから」
「大丈夫です。まだまだ余力はあります」フィーアは凛として応え、再び治療に専念する。
「私の力は、誰かを救うために使うものですから」こうして——フィーアの回復・浄化能力が現地で大きな力となり、多くの被害者が救われる! 角端とエインヘリアルの力が、この緊急事態の中で人々の希望となったのだった!現場の惨状を目の当たりにした那奈は、怒りと悲しみを込めてはっきりと言う。
「ひどいじゃん、こんなの」その声が響いた瞬間、煙の向こうから軽薄で悪意に満ちた声が響く。姿を現したのはアハトだ。
「アハッ、やはり、人間やそれに与する亜人の不幸な顔は最高だよ、衆生解放戦線、サイコーだよ〜」彼は笑いながら、崩れ落ちた建物と負傷者たちを見下ろし、まるで喜んでいるかのように肩を震わせる。その態度に、那奈の怒りは一気に頂点に達する。
「何がサイコーだよ! 人の痛みも分からないで、よくそんなことが言えるね!」那奈は手のひらに水と火のエネルギーを同時に纏わせ、身構える。水竜の清らかな力とサラマンダーの灼熱の力が、彼女の周りで渦を巻く。レイトキも前に出て、アハトを睨みつける。
「お前たちのやってることは、正義でも何でもない。ただの破壊と殺戮だ! これ以上、人を苦しめるなら、俺が許さない!」アハトは嘲笑を浮かべたまま、軽やかに宙に浮かぶ。
「正義? 許す? フフ、そんな綺麗事が通用する世界なら、最初からこんなことにはなってないんだよ。まあ、そういう純粋な反応も、また美味しいんだけどね」フィーアは治療の手を止めず、冷静に告げる。
「相手の思想には乗らないで。彼は痛みや怒りを楽しんでいる。私たちは私たちのやり方で、人々を守り、そして彼らの愚かしさを証明するだけです」那奈は拳を強く握り、決意を込める。
「分かってる。だけど、これだけは言わせて。絶対に、お前たちの思い通りにはさせない!」こうして——衆生解放戦線のアハトが現れ、その異常な思想が明らかに! 悲しみを喜びに変える彼の前に、那奈の水と火の力が立ち向かう——!那奈はアハトを真っ直ぐに見据え、抑えきれない思いを込めてはっきりと問いかける。
「アハトくん、アンタはもともとから不幸を喜ぶが、それは傷つける者が不幸になるのを喜んでただけだった。だが、今は違う。何をきっかけにそこまで変えたの?」その言葉に、アハトの笑みが一瞬凍りつく。まるで予期していなかった問いかけに、心の奥を抉られたように——。
「……ははっ、何が違うって? 同じだよ、何も変わってない」彼は視線をそらし、強がるように笑い飛ばそうとする。だがその声には、かつての面影と、今は消し去ろうとしている何かが滲んでいる。那奈は一歩前に進み、言葉を続ける。
「違うよ。昔のアンタは、いじめっ子が罰せられるのを見て『ざまあみろ』って笑ってただけだった。弱い人が傷つけられるのを見て、喜んだりしなかった。それが今じゃ、何も悪くない人たちが苦しむ姿を見て、楽しんでる…。いったい何があったの?」アハトの表情が歪み、やがて自嘲するように低く呟く。
「……何もない。ただ、気づいただけだ。正義なんて嘘っぱちで、強い者が勝ち、弱い者はただ消されるだけだって。だったら、楽しんだもの勝ちだろ? 誰が誰を傷つけようが、結局はみんな同じなんだよ」
「そんなことない!」那奈は強く反論する。
「アンタがそう思うようになったのは、何かがアンタを傷つけたからでしょう。でも、それを他の人にまで向けたら、アンタは自分が嫌ってた人たちと同じになっちゃう!」アハトは拳を握り締め、感情を抑えきれずに叫ぶ。
「うるさい! お前に何が分かる! 俺の何を知ってるんだ!」怒りとも悲しみともつかない叫びを残し、彼は一瞬にして闇の中へと消え去った。だがその背中には、勝利の笑みなどなく、ただ深い絶望だけが残されていた——。レイトキはアハトの消えた場所を見つめ、静かに言う。
「彼は自分自身が一番、救いを求めてるのかもしれないな…」那奈は肩を落としながらも、瞳に決意を宿す。
「いつか…いつかアハトくんに、本当の幸せって何かを教えてあげられるようになりたい。それまで、絶対に彼の暴走は止めなきゃ」こうして——アハトの変化の裏に隠された過去と心の闇が垣間見えた! 敵として対峙する彼も、かつては傷つけられた側の人間だった。那奈の問いは、単なる戦いを超え、彼の心に真っ直ぐに届き始めている——!アハトが去った後、辺りの空気が再び張り詰める中、新たな影が煙の中から現れた。
長い前髪が片目を覆い隠し、その瞳は静かだがどこか深い闇を湛えている。混因人特有の佇まいを持ち、姿を現すと同時に周囲の気配が一変する。
「私はメーミン…」低く落ち着いた声が響く。だがその声には、敵意とも同情ともつかない複雑な響きが含まれている。レイトキは一歩前に出て、警戒を緩めずに問いかける。
「お前も衆生解放戦線の者か? アハトの仲間なのか?」メーミンはゆっくりと首を横に振る。前髪から覗く片方の瞳が、崩れた街並みと負傷者たちを静かに見つめている。
「違う…。私はただ、様子を見に来ただけだ。アハトの行動は…行き過ぎだ。それは分かっている」那奈は手のひらの水と火のエネルギーを収め、真っ直ぐに見つめる。
「じゃあ、何のために来たの? 止めに来てくれたの?」メーミンは一瞬視線を逸らし、そして再びこちらを向く。片目が髪に隠れ、その表情は全てを読み取ることができない。
「止めることなんて、私にはできない。ただ…伝えに来た。これは始まりに過ぎない、と。アハトは本気になれば、こんなものじゃ済まない。彼の中の闇は、もっと深い場所にあるから…」レイトキはその言葉を重く受け止め、拳を握り締める。
「なぜ教えてくれる? お前たちは同じ組織の仲間だろう?」
「仲間…ね」メーミンは自嘲するように笑う。
「私はただ、同じ場所にいるだけ。誰が何を考え、何をしようと、私には止める権利も力もない。だけど…これ以上、無関係な人が傷つくのは、見ていて辛いだけだ」そう言うと、メーミンはその場から静かに歩き去ろうとする。
「待て!」レイトキは呼び止める。「お前の本当の目的は何だ? いつでも、話してくれる場所はある」メーミンは振り返らず、ただ手を軽く挙げる。
「その時が来たら…そう思っておく。だけど今は、まだその時じゃない。気をつけて…アハトは本当の力を、まだ出していないから」こうして——謎めいた混因人・メーミンが現れ、衆生解放戦線の更なる脅威を予告! 片目を隠すその姿の裏には、いったいどんな秘密と過去が隠されているのか? 彼らの真の力が明らかになる日は、そう遠くない——!レイトキはメーミンの消えた方向を見据え、石板の記述と自身の鑑定結果を照らし合わせながら、はっきりと告げる。
「さっきの混因人に入ってる因子はオネイロスと黙示録の羊だな。正規品ほどじゃないが厄介なのには変わりない」その言葉に一同は緊張を強め、互いに顔を見合わせる。
「オネイロス…夢幻と幻覚の神話的存在、そして黙示録の羊——終末と審判を象徴する存在…」星玲奈は手帳に記しながら、その組み合わせの危うさを読み解く。
「夢や幻を操り、人の心を揺さぶり、終末のような絶望を見せる…それは精神や認識に直接干渉する力だわ。物理的な防御だけでは防げない」マレトキは頷き、補足する。
「正規品ほどの出力ではないにしても、相手の心を読み、望むもの、恐れるものを幻として見せられるなら——戦わずして人を崩すこともできる。それが最も厄介な点だ」フィーアは治療を続けながらも、冷静に分析を加える。
「しかし、メーミンはその力を今回使わなかった。それは彼女の意思なのか、それとも何か別の理由が…? 先ほどの言葉からは、彼自身もこの状況を苦しんでいるように聞こえました」レイトキは拳を強く握り、決意を込める。
「だからといって、油断はできない。夢幻と終末の力——使い方次第で、周囲の人々を一瞬で絶望の淵に落とすこともできる。俺たちは心の準備も、覚悟も、しっかり固めておかなきゃならない。そして、いつか彼自身が闇から抜け出せるように…俺たちは闇の力に飲まれない、揺るがない心で向き合うんだ!」こうして——メーミンの正体とその危険な因子が明らかに! オネイロスと黙示録の羊、二つの力が彼の内に渦巻く中、彼は敵なのか、それとも救われるべき者なのか——物語は新たな深みへと進んでいく!レイトキは状況の深刻さを噛み締め、はっきりと告げる。
「それに衆生解放戦線にジョンアイデル様の子孫も何人かいるらしいな」その言葉に場内は一瞬静まり返り、次の瞬間、驚きの声が上がる。
「えっ…! ジョンアイデル様の子孫が、衆生解放戦線に?」星玲奈は手帳を持つ手が震え、声が掠れる。
「それは本当なの? あの、世界の均衡を守り続けてきたジョースター=ミクスタッドの血が…あの過激な組織に?」マレトキも自分の出自と重ね合わせ、顔を曇らせる。
「俺も同じ血を引く身だからこそ分かる…。それはつまり、彼らは自らの出自や立場に強い不満や反発を抱いている可能性が高い。権威や秩序そのものに反発する思想が、彼らを衆生解放戦線へと導いたのかもしれない」フィーアは静かに頷き、分析を加える。
「ジョンアイデル様の血筋は、それだけ強い力と責任を伴う。その重圧に耐えられなかった者、あるいはその立場に抑圧されていると感じた者が、反逆の道を選ぶことは決して不思議ではない。だからこそ、彼らの憎しみは他の誰よりも深く、根が深い」レイトキは胸元の聖十字架を強く握り締め、決意を込めて言う。
「だからといって、許されるものじゃない。だが——俺は彼らをただ敵として斬り捨てることはしたくない。同じ血を分けた者として、いつか真実を話し、心を解き放つ機会を作りたい。ジョンアイデル様の子孫が、争いのためではなく、平和のために力を使う日が来ることを願ってる」
「それは難しい道のりだけど…」星玲奈はレイトキの腕に手を添え、力強く頷く。
「でも、それができるのはレイだけじゃない。同じ想いを持つ私たちみんなで、彼らの心にも光を届けよう」こうして——衆生解放戦線の中にジョンアイデルの子孫たちがいることが明らかに! 血筋と思想の葛藤、そして自らの出自に抗う者たち——この事実は、今後の戦いを単なる力のぶつかり合いではなく、心の闇との闘いへと変えていく!レイトキは核心を突く事実を告げ、一同の緊張はさらに高まる。
「アルビテトとの双子は確実だろうな、そして、メンバーには神級の存在もいるだろうな」その言葉に、場の空気が一変する。
「双子…! アルビテトと同じ血を分けた者が、敵側にいるということ?」星玲奈は息を呑む。
「それはつまり、同じ出自、同じ力の源を持ちながら、全く違う道を歩んでいるということ…」マレトキは頷き、その重さを受け止める。
「双子は同じ因子、同じ可能性を持って生まれる。だからこそ、その片割れが敵にいるというのは、アルビテトにとっても、そして俺たちにとっても非常に重い事実だ。それだけでなく——神級の存在が内部にいるとなれば、話は別だ」フィーアは表情を引き締め、続ける。
「神級の因子、あるいは神そのものが関与しているとなれば、組織の規模も目的も次元が違う。人間や亜人の枠を超えた存在が背後にいる可能性があるということは、俺たちの戦いが、ただの紛争ではなくなるということだ」レイトキは拳を強く握り、覚悟を決める。
「だが、それでも俺たちは逃げない。アルビテトの双子のことも、神級の存在のことも、全て受け止めた上で立ち向かう。アルビテトには、いつかその双子と向き合う時が来る。その時まで、俺たちが彼を守り、支えるんだ。そして、神級の相手だとしても——俺たちの絆と想いの強さで、必ず道を開ける!」
「そうだね」星玲奈は力強く頷く。「どんなに強大な敵でも、心からの想いは届くはず。アルビテトのためにも、そして双子の彼のためにも、私たちは諦めない」こうして——衆生解放戦線にはアルビテトの双子、そして神級の存在が潜んでいることが明らかに! 物語は個人の因縁から、神話の域にまで及ぶ闘いへと深化していく——!場面は一転——転移前のスペインにあたる地、グラナディア。石畳の坂道に佇む古い教会の公邸。その最も神聖なる一室に、ドネイターが佇んでいた。彼は窓辺から遠くの街並みを眺めながら、低く、そして余裕たっぷりに呟く。
「やはり、レイトキは聖遺物すべて手に入れたか。でも、いいわよ、こちらも聖物は手に入れてるからね。それに生贄も手に入ってる」室内の祭壇には、聖遺物に匹敵するとされる聖なる器物が厳かに安置され、その横には縛られた者たち——生贄として選ばれた者たちが、不安な面持ちで座らされている。ドネイターはゆっくりと祭壇へと歩みを進め、その聖物に手を添える。
「彼らが信仰してきたものも、祈ってきたものも、結局はこうして我々の手の中に落ちる。メシアなどいない。いるのは力だけだ。そしてその力を操るのは、我々なのだ」生贄の一人が恐れながら問いかける。
「なぜ…こんなことをするんですか? この地は、ただ平和に暮らしていただけなのに…」ドネイターは冷ややかに笑い、告げる。
「平和だと? それは偽りの平和。上から与えられた秩序のもとで、ただ従うことを強いられているだけの日々だ。俺はそれを壊し、真の自由をこの世界にもたらす。そのための生贄なのだ。光を手に入れるには、闇が必要なように——新しい世界を創るには、古いものを捧げなければならない」彼の瞳には、狂気とも信念ともつかない強い光が宿っている。それはかつて聖職者を目指した彼女が、神に裏切られたと感じた日から、心の奥で燃やし続けてきた炎なのかもしれない。こうして——グラナディアの教会公邸にて、ドネイターの企みが明らかに! 聖遺物を集めるレイトキと、聖物と生贄を手に入れたドネイター——二つの道は、いずれ激突する運命にある。世界の未来を賭けた戦いは、この聖地から始まるのかもしれない——!グラナディア・教会公邸の一室——ドネイターの背後、薄闇の中に鈴丸、メーミン、ストロフィア、チェイモンの四人が佇んでいた。それぞれの気配は異なれど、どれも重く、威圧的だ。
ドネイターはちらりと四人に視線を送り、指揮官らしく告げる。
「さあ、皆、集まったわね。これからが本番よ。レイトキたちが聖遺物を揃えた今、私たちも聖物と生贄を揃え、儀式の準備を進める。それぞれの役割、忘れないで」
最初に鈴丸が一歩前に出る。
「任せてくださいでゴザル! 我が剣と影、敵の侵入は一滴たりとも通しませんでゴザル!」
続いてメーミンが静かに頷く。片目は依然として髪に隠れ、表情は読み取れない。
「…私は周辺の警戒と、敵の精神干渉を担当する。もし彼らが来れば、幻覚と夢の扉を開く。だが——それが正しいのかは、まだ分からない」
ストロフィアは風のような軽やかな気配で応える。
「私は空間と結界の管理ね。この聖域が外に漏れないよう、そして内側から壊されないように固めるわ。誰にも邪魔させない」最後にチェイモンが低く太い声で応じる。
「我は警備と生贄の護衛を受け持つ。儀式の最中、何者も近づけさせない。我が前を通りたければ、屍を越えて行けばいい」四人の返事を受け、ドネイターは唇を歪めて笑う。
「それでこそよ。さあ、時は近づいている。新しい世界のために、準備を進めなさい」こうして——ドネイターのもとに鈴丸、メーミン、ストロフィア、チェイモンが集結! それぞれの能力で儀式を守り、レイトキたちの行く手を阻む。クロノギアと衆生解放戦線、そしてドネイター——三つの道が、この聖地で交わろうとしている!公邸の扉が風もないのにゆっくりと開き、その場の全員が振り返る。そこに現れたのは——姿形はレイトキと瓜二つだが、髪は禍々しい紫に輝き、瞳には冷たい闇が宿る少年、ゼロトキだ。
彼は軽く手を挙げ、にやりと笑いながら告げる。
「おっと、忘れるなよ」
その声はレイトキに似ていながら、どこか毒々しく、重い響きを持っている。室内の空気が一瞬で凍りつく。
ドネイターは眉を少しだけ上げ、彼の出現を予期していたかのように応じる。
「来たか、ゼロトキ。遅かったじゃない。てっきり来ないと思ってたわ」
「んー、道草してたら遅れちゃった」ゼロトキは平然と歩み入り、祭壇の前に立つ。紫の髪が闇に浮かぶように揺れ、その周囲の空間がわずかに歪んでいる。「まあ、俺がいなきゃ、この儀式も本番は迎えられないだろ? だって、俺はレイトキの『もう一つの可能性』、そしてこの計画の鍵の一人なんだからさ」
鈴丸は剣の柄に手を置き、警戒を強める。
「レイトキ様そっくりでゴザルが、まるで別人でゴザルな…」
メーミンは前髪の下から彼を見つめ、静かに呟く。
「同じ顔なのに…光と影、ということか。彼がいるということは、レイトキ自身もいずれここに来るということだ」
ストロフィアは空間の歪みを感じ取り、眉を寄せる。
「彼の力…時空に干渉するらしい。結界の穴になりかねない。気をつけろ」
チェイモンは低く唸るように言う。
「レイトキの双子…いや、クローンか? それとも別の因子の産物か? いずれにせよ、敵に回れば最も危険な存在だ」
ゼロトキはそんな四人の視線を意に介さず、ドネイターに向き直り、紫の瞳を鋭く光らせる。
「さあ、準備は整った。俺が鍵となり、レイトキが聖遺物を揃えた今——もう、止まることは出来ないんだよ。全ては新しい世界のために」こうして——レイトキそっくりの紫髪の少年・ゼロトキが現れ、計画の核心たることを示唆! 光と影、表と裏——同じ顔を持つ二人の少年が、いずれ激突する時が来る! 物語は最終章へと向け、さらに加速していく——!ゼロトキは紫の瞳を鋭く光らせ、核心的な疑問をはっきりと投げかける。
「サタンを呼び出して、そして人間と人間に与する亜人を全滅させるんだろう。だが、人間はともかく人間に与してるかどうかはどうやって見抜くんだよ?」その問いは、計画の根本に関わる重大な矛盾を突いている。室内の空気が再び張り詰め、ドネイターはゼロトキの真剣な眼差しを受け止め、静かに答える。
「心配するな。そのための審判の目がある。私たちが持つ聖物と、あなたの時空の力を組み合わせることで、人間に従属している者、人間の価値観に染まった者——つまり『人間に与する亜人』を、魂のレベルから見分けることができる」メーミンが前髪の下から低く呟く。
「…それはつまり、思想や生き方までを裁くということか。人間と亜人が共に生きることを選んだ者まで、だ。それは果たして…」鈴丸は剣の柄を強く握り、困惑を隠せない。
「生き方までを判定するなど、それは神の領域を超えてるのでは…? 間違いがあったら、無実の者までが犠牲になるでゴザル…」ストロフィアは結界の制御をしながら冷ややかに言う。
「だからこそ、儀式は絶対に正確に行われなければならない。そして——サタンの力が必要になる。あの存在の眼は、嘘や偽りを見逃さない…という話だ」チェイモンは腕を組み、重い声で続ける。
「だが、サタンが呼び出されれば、それを制御できる保証はどこにもない。それこそ、俺たちの手に負えなくなる可能性が高い」ゼロトキはその言葉を聞き、唇を歪めて笑う。
「結局、そこだよな。俺が鍵になるのは、その暴走を抑えるためでもあるってことだろ? だったら、俺に全部任せてくれてもいいんだぜ? 俺なら、誰も逃さないし、誰も余分には殺さない——正確に、完璧に、やってみせる」ドネイターはゼロトキの肩に手を置き、厳かに告げる。
「その通り。だからこそ、あなたが必要なの。サタンの力を正しく導き、そして選別を完璧に行う——それが、この計画の成否を分ける。さあ、準備を進めなさい。時は来ている」こうして——サタン召喚と選別の儀式の全貌が明らかに! 人間との共存を選んだ者までが標的となる中、その選別の正しさ、そして制御しきれない力の脅威——物語は最も危険な局面へと突入する!ゼロトキは紫の瞳を細め、何事もないかのようにさらりと言い放つ。
「まあ、別に構わない。そのためにわざわざストレンジからサタンの因子を盗んだんだろう、呼び寄せるための媒体にするための」
その言葉が落ちた瞬間、室内の空気が一気に冷え込む。計画の核心が明らかになり、一同は驚きを隠せない。
ドネイターは予期していたかのように頷き、続ける。
「そう。ストレンジが極秘裏に研究し、封印していたサタン因子。それを奪い、この地に持ち込んだのは、まさにこの瞬間のため。単なる召喚ではなく、その因子を『器』として、完全なる存在をこの世界に降臨させる——それが真の目的だ」
鈴丸は剣を抜きかねない勢いで声を上げる。
「ストレンジが危険すぎるとして封印していたものを…! それを媒体にするなど、もはや神の領域どころか、悪魔の所業でゴザル! 何が起こるか予測できないでゴザルよ!」
メーミンは前髪の下からゼロトキを見つめ、静かだが鋭く問う。
「それはつまり、もし制御が効かなくなったら…人間も亜人も、関係なく全てが滅ぶということか。それでもいいのか?」
ストロフィアは結界の数値が急上昇するのを確認し、顔を曇らせる。
「因子が不安定すぎる。このまま儀式を進めれば、聖域ごと消し飛ぶ可能性がある。それでも決行するの?」
チェイモンは拳を握り締め、低く唸る。
「俺は戦うことは構わない。だが、あまりにも代償が大きすぎる。それはもはや解放でも救済でもない。ただの破壊だ」
ゼロトキはそんな反応を意に介さず、不敵に笑う。
「破壊がなければ創造もない。古い世界を焼き払わなければ、新しい世界は生まれない。俺たちが望むのは、それだけだ。さあ、迷ってる暇はない。レイトキたちも、そろそろここに向かってる頃だぜ?」
ドネイターは厳しい表情で一同を制し、告げる。
「今更引き返せない。全ては計画通り。サタンの力こそが、この歪んだ世界を正す鍵——さあ、儀式を始める。準備は整った」
こうして——ストレンジから奪われたサタン因子が、悪魔召喚の鍵として明らかに! それは制御不能な破壊の力を秘め、聖地をも崩壊させかねない危険な賭け——一方、レイトキたちもこの地へと急いでいる。最悪の儀式が始まる前に、彼らは間に合うのか?ドネイターは厳かに告げ、計画の時期を明らかにする。
「儀式の日は一年の終わりにやるよ、そう、12月31日。そして時間は終わる時。それにも意味があるわ、だから、今は猶予はある。それまでにレイトキたちはどのように動くか」
室内の空気が一変、緊張と同時に時間の猶予が与えられたことで、それぞれの思惑が複雑に交差する。
ゼロトキは紫の瞳を楽しげに細め、口元を歪める。
「大晦日の終わり際…一年の区切り、時の境界。始まりと終わりが交わる瞬間を選ぶとは、なかなか考えてるじゃないか。だが、それだけ時間があれば、レイトキたちも準備を整えて来るだろうぜ?」ドネイターは頷き、それも計算のうちだとばかりに続ける。
「それでいい。彼らが来ることを前提にしている。聖遺物を持つ者たちがこの地に集まる時こそ、儀式は最も効力を増す。だからこそ、猶予は必要だった。彼らが自らここへ来るための時間を与えているのよ」鈴丸は剣を収めつつも、警戒を緩めない。
「敵を待つ…ということでゴザルか。だが、半年以上もの時間があれば、敵も強くなり、仲間も増え、手強くなるばかりでゴザル。それでもいいのでゴザルか?」
「それも計算のうちよ」ドネイターは冷徹に答える。
「彼らが成長すればするほど、生贄としても、引き立て役としても相応しくなる。それに——この猶予は、彼らだけでなく私たちにとっても必要な時間だ。聖物の調整、結界の強化、そしてサタン因子の安定化…やるべきことは山ほどある」
メーミンは静かに前髪を弄びながら、独り言のように呟く。
「半年…長いようで、覚悟を決めるには短い時間だ。それぞれが、それぞれの道を選ぶための時間…ということか」ストロフィアは空間地図に視線を落とし、冷静に状況を整理する。
「大晦日、年越しの瞬間…時空が最も曖昧になる境界。そこを狙うのは理にかなってる。だが、それだけ干渉が容易くなるということでもある。敵も同じ土俵に上がってくることを忘れないで」チェイモンは重く頷き、覚悟を決めるように言う。
「半年。それが最後の猶予期間だ。それまでに、俺たちは完全な態勢を整える。だが——その日が来るまで、何が起こるか分からない。今から、全てが動き始めるんだ」こうして——儀式の日時が12月31日、年越しの瞬間に決定! 半年以上の猶予が与えられた今、レイトキたちはこの時間をどう使い、何を成すのか? そしてドネイターたちの真の狙いとは——? 物語は一時中断されたかに見えて、実は加速していく!レイトキは記録の石板に手を添え、アカシックレコードの奔流を辿り、核心を掴んで声を上げる。
「やつらは儀式の日を一年の終わりの日にするつもりか」その言葉に一同が息を呑み、緊張が走る。星玲奈は手帳を開き、指で日付を押さえる。
「12月31日…大晦日、年が明けるその瞬間。一年の終わりと始まりが交わる、時の境界。最も時空が揺らぎ、別の存在を呼び込みやすくなる日——それを狙ってるのね」マレトキは地図を睨み、鋭く分析する。
「だから猶予があったのか。半年以上もの時間を与えてくれたのは、敵が準備を整えるためだけじゃない。この日が来るのを待っていたんだ。年の変わり目は、あらゆる境界が薄くなる。サタンの召喚には、まさにうってつけの瞬間だ」フィーアは静かに頷き、続ける。
「だからこそ、今はまだ何も起きていない。その日まで、彼らは静かに力を溜め、準備を進めている。私たちにとっても、この時間は最後の猶予期間なのです」レイトキは石板を強く握り締め、瞳に決意を燃やして告げる。
「分かった。半年後、大晦日の夜——それが決戦の日だ。それまでに、俺たちは聖遺物を完全に揃え、歯車の持ち主全員を集め、何が来ても勝てるだけの力と絆を作り上げる。絶対に、あの日を迎えさせない。儀式なんて、俺が必ず阻止する!」
「そうだね」星玲奈は隣で力強く頷く。「私たちもこの時間を無駄にしない。レイとみんなで、未来を守るために——今、出来る全てのことをやろう」 こうして——決戦の日が12月31日・年越しの瞬間に定まった! 残された時間は半年。レイトキ率いるクロノギアは、この期間に何を成し、何を集め、どう強くなるのか? 物語は「終わりと始まりの日」へ向け、新たな章へと突入する——!




