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EPISODE3-1【回収命令など】

ストレンジ・プレデターの指令室。重圧的な空気が室内を満たし、リュウゼツランが各部隊の指揮官たちを前に、冷徹な声を響かせる。

「『JOKER』——レイトキを、生きたまま回収せよ。任務のためなら、味方や周りに犠牲が出ても構わない。いかなる代償を払おうとも、必ず連れてくるのだ」その非情な宣告に、幹部たちの間に緊張が走る。「犠牲を顧みず」という言葉の重さに、マズミとユーカリは表情を変えずとも、互いの心中を察している——この命令が、単なる確保作戦ではなく、レイトキの力と存在を奪い、必要とあらば使い捨てるためのものであることを。リュウゼツランは鋭い眼光を全員に向け、締めくくるように告げる。

「我が新たな世界の礎とするため——JOKERを、この手に収めよ」こうして、レイトキを標的とした執念深き追跡作戦が、正式に始動した。彼らの平穏な日常と、これまで築いてきた絆が、試練に晒される時が、刻一刻と近づいている——。リュウゼツランは厳しい瞳で部隊長たちを見据え、指令を続ける。

「あの男は、現実世界とサイバー空間を自在に行き来できる存在だ。よって、現実世界だけを追うのでは不十分——サイバーワールド全域にも手を伸ばし、いかなる領域に隠れようとも、見逃すな!」室内はさらに緊張に包まれる。レイトキが持つ二つの世界を跨ぐ能力こそが、最大の脅威であり、同時に彼らが執拗に狙う理由でもある。

「サイバーワールドの監視網を最大限に展開せよ。どちらの世界にいようとも、JOKERの痕跡を捉え次第、直ちに報告し、奪取せよ。逃がせば二度と機会は来ぬものと思え」こうして、追跡の網は現実と電脳の両方に張り巡らされ——レイトキたちの新居の平穏も、風雲急を告げることとなる。SMO総本部、重厚な執務室の椅子にヤンロエルが腰を下ろし、報告書から視線を上げて沈思するように呟く。

「ストレンジ・プレデターが、ついに本格的に動き始めたか。ヴァルテン・アグレッションと手を組んでいる以上、その脅威は並大抵のものではない。こちらも、クラリトン側の友好的な勢力と連携を結ぶ必要があるのかもしれない…」窓の外の遠くの景色を見つめ、指で机を軽く叩きながら続ける。

「二つの世界の均衡が崩れつつある今、我々はただ守りにいるだけでは済まされない。レイトキたち『歯車』の動き、そしてクラリトンの正規勢力——それぞれの思惑を見極め、最善の道を選ばねばならない」彼の決意と共に、SMOもまた、静かに態勢を整え始めていた。新居のリビングで、荷解きも一段落した朝の穏やかな時間。レイトキは窓辺に立ち、二人の方を振り返って、率直な想いを口にする。

「これから先のことだよな。星玲奈と久美子ことクーちゃんとの付き合いも、もちろん大事にしていく。だけど…俺、実はリジェにも同じような想いを抱いているんだ」言葉にした途端、胸の奥がほんのりと熱くなる。

「いつも真っ先に心配してくれて、いつも俺の側にいてくれて…。その優しさに、どれほど救われてきたか。だから、俺はリジェのことも、心から愛しているんだ」久美子は少しだけ目を見開いた後、すぐに柔らかく微笑んで頷く。

「…そうだったのね。レイがそう想うのも、全然おかしくないわ。リジェちゃんは本当に素敵な人だから」星玲奈も瞳を揺らしながら、真剣に応える。

「私は…レイがそう想っているのなら、それでいいと思うよ。レイの心が、どれだけ大きくても、私はレイのことを愛し続ける。だから…リジェさんのことも、ちゃんと想い続けてあげて」二人の言葉に、レイトキは胸がいっぱいになり、そっと二人を抱きしめる。

「ありがとう…。俺は、誰一人として手放さない。誰一人、悲しませはしない。三人で、共に歩んでいこう」こうしてレイトキの想いは明らかになり、三人の絆はさらに深く、そして温かいものへと変わっていくのだった。星玲奈はふと思い出したように、明るく告げる。

「そういえば、この家だってキキョウさんからご提供いただいたものなんです。だから、もしリジェさんも一緒に住みたいって言うのなら、まだお部屋は空いてるし、全然構いませんよ」レイトキは驚いて目を見開き、それからゆっくりと頷く。

「そうだったのか…。キキョウさんが、俺たちのために手配してくれた場所だったんだな」久美子も柔らかく笑みを浮かべ、続ける。

「それなら、リジェちゃんを誘ってみるのもいいわね。いつも一緒にいた仲間が、こうしてすぐそばにいてくれるなら、心強いに決まってる」星玲奈はレイトキの瞳を真っ直ぐに見つめ、はっきりと言い添える。

「レイの想いが本物なら、尚更です。リジェさんにも、ここで一緒に暮らす場所を用意してあげればいいんです。誰一人、離れ離れになんてならなくていいんですから」レイトキは胸の奥から湧き上がる温かさを感じ、二人の手をそっと握りしめる。

「ありがとう…。そうだな。みんなで一緒に、ここで暮らせばいい。リジェにも、ちゃんと自分の気持ちを伝えて、そして——この家に迎え入れよう」こうして、四人の未来を描く新しい一歩が、静かに踏み出された。噴水の水音が穏やかに響く広場。久美子と星玲奈は少し離れた場所から、レイトキの背中を見守りながら、そっと寄り添っている。そこへ、リジェが少し足早に駆け寄ってきた。レイトキの前で立ち止まり、頬を紅潮させながらも、真っ直ぐな瞳で彼を見つめ、想いを告げる。

「あの…レイトキ。どうしても伝えたいことがあるの。私、レイトキのことが、心から好きだよ」レイトキは驚いて一瞬言葉を失う。だがすぐに、胸の奥の想いが溢れ出すように、優しく応える。

「リジェ…ありがとう。実は俺も、同じ気持ちだったんだ。守ってくれるその笑顔、いつも真っ先に心配してくれるその心——俺は、そんなお前のことを、愛している」リジェは瞳を潤ませ、嬉しさと安らぎが混ざった笑顔を浮かべる。

「レイトキ…」その時、久美子と星玲奈がゆっくりと二人のもとへ歩み寄る。リジェは二人の姿を見て、少し戸惑うように瞬く。だが久美子が柔らかく笑い、星玲奈も穏やかに頷くのを見て——すべてを理解し、そして受け入れる。レイトキは三人を見回し、噴水の光が映る瞳に、揺るぎない決意を込めて告げる。

「俺は、お前たち三人を、絶対に守り抜く。どんな時も、誰一人、離れさせはしない。共に歩み、共に生きていこう」水しぶきがきらめく広場で、四人の想いが一つになり、新しい絆が、輝きを放ち始めた——。神界の理が紡がれる蒼穹の空間。無数の光の帳が静かに揺らめく中、グノーシスは虚空を見つめ、澄んだ声で告げる。

「歯車たちが、それぞれの力で目覚め始めているな。その中でも特に『包括』の歯車——レイトキは、自らを新たなる人類として進化させ、その種の在り方を確立させた」言葉を続け、遠く下界の気配を読み取るように瞳を細める。

「ストレンジ・プレデターの執念、そしてクラリトンの者たちが引き起こす数々の事変——これらはすべて、彼らにとっての試練として、十分にその役割を果たしている。その試練を乗り越え、真の絆と意志を示すことができれば…いや、その資格に値するのであれば、神の位に就かせても良さそうだな」理の空間に響いたその言葉は、レイトキたちの闘いが、すでに神々の目にも留まるところとなったことを示していた。果たして彼らは、その高き基準に応えることができるのか——。噴水広場で想いを確かめ合った後、リジェは手続きを済ませ、レイトキたちの新居へと荷物を運び入れる。二階のまだ温かな日差しが差し込む空き部屋。リジェは荷物をそっと置き、窓辺に立って隣室の並びを見渡す。レイトキの部屋を挟んで久美子、星玲奈がいる——その距離を確かめるように見つめ、柔らかな笑みを浮かべる。

「ここからなら…いつでもみんなのそばにいられるのね」レイトキが扉から覗き込み、穏やかな声をかける。

「ようこそ、リジェ。これからは、ここがお前の家だ。俺たち、いつでもすぐ側にいるから」リジェは頬を染め、嬉しそうに頷く。

「うん…よろしくね、レイトキ。久美子さん、星玲奈ちゃん」廊下から久美子と星玲奈も笑顔で応える。

「これからよろしく、リジェちゃん」

「はい、みんなで一緒に、温かい家にしていきましょう」こうして四人の新しい日常が、同じ屋根の下で、静かに、そして穏やかに始まった。レイトキは間取りを確かめるように指で示しながら、はっきりと告げる。

「俺の部屋は二階の西側、ちょうど真ん中。その北側が星玲奈の部屋、南西が久美子の部屋、そして真南側がリジェの部屋ってわけだな」それぞれの部屋が、レイトキを中心に四方を囲むように並んでいる——。

リジェは少し頬を染めながら、嬉しそうに呟く。

「レイトキを真ん中にして、みんながそばにいる…そんな配置なんだね」久美子も微笑みを浮かべて頷く。

「どの部屋からも、すぐにレイのところへ駆けつけられる距離ね。それって、何だかとても安心するわ」星玲奈も瞳を輝かせて言う。

「はい! いつでも、みんなの絆が繋がっているような、そんな気がします」レイトキは四人の部屋を見回し、心からの決意を込めて言い添える。

「ああ。どこにいようとも、俺はみんなを守る。誰一人、悲しませはしない。この家から、俺たちの未来を築いていこう」廃施設の薄暗い空間。

赤い髪に和服をまとった男性が、容器の中で眠る姿を見つめ、低く呟く。その姿は——驚くほどレイトキそっくりの実験体だった。

「これでよいのでゴザルな」実験体を慎重に回収する。黒髪の女は赤服の男こと鈴丸にいう

「そうだよ。この個体こそが、すべてを解放する鍵となる。本来なら本物を手に入れたかったところだが、今はこれで仕方ない。鈴丸、この子を大切に育て上げ、我らの後継者にふさわしい存在へと成長させなさい」鈴丸は静かに頭を下げ、容器を受け取る。

「心得ております。この者に、希望と共に生きる術を教え、立派に育て上げてみせます」鈴丸は鋭い眼差しを実験体に向け、その存在の意味を噛み締めるように続ける。

「本物と同じ道を歩む必要はない。だが、その力と心だけは、決して失わせるな。我らが願う未来のために——」こうして、もう一人の「レイトキ」の運命が、静かに動き始めた。本物との出会い、そして対峙する日は、そう遠くはない——。薄暗い廃施設の一角。片目を隠した少女メーミンが、冷ややかな瞳で虚空を見つめ、ゆっくりと口を開く。

「人間、それに従う亜人や亜生物…皆殺し。その願いに、一歩ずつ近づいているんですよね」彼女の言葉に、ストロフィアが強い憎しみを込めて応える。

「俺も人間が嫌いだ。人間は醜い! 自分のことしか考えない! そして、その人間に従う穢れた亜生物たちも——俺は認めない。必要ない! いつかすべて、消し去ってやる!」その声には、人間への深い恨みと、亜種でありながら人間に追随する者たちへの激しい拒絶が込められていた。二人の目指す先は、あらゆるものを壊し、無に帰すこと——。その狂気的な願いが、レイトキたちの未来に新たなる脅威として迫り始める。容器の中で眠っていた実験体が、ゆっくりと目を開ける。視線が周囲をさまよい、戸惑いながら低く問いかける。

「なんだ…? お前たちは…」そばに立つ黒髪の少女が、静かに一歩前に出て告げる。

「ボクの名前はドネイター。ボクたちは『衆生解放戦線』——人間、そして人間に与する亜人たちを、すべて消し去ることを掲げている者たちさ」レイトキそっくりの実験体は、その言葉を聞いて眉をひそめる。まだ何も知らぬまま、自らが「鍵」として、破壊と憎しみの道へ引き込まれようとしていることに——今はまだ、気づいていない。レイトキそっくりの実験体——これからは「ゼロトキ」と呼ばれるその存在は、眉を寄せて問いかける。

「衆生解放戦線…。聞いたことがないな…。お前たちは俺の敵か? それとも味方なのか?」鈴丸が一歩前に進み、落ち着いた口調で答える。

「今のところは、味方でゴザル」曖昧だが確かなその言葉。ゼロトキはまだ知らない——今の「味方」という言葉の裏に、どれほど重い意味と、そして大きな企みが隠されているのかを。ゼロトキは鋭い眼差しを向け、はっきりと要求する。

「味方だというのなら…ならば、早くこのカプセルから出せ!」閉じ込められたままでは何も始まらない——その強い意志が声に込められ、彼は自らの力で状況を変えようとするかのように、カプセルの内側を強く見据えていた。ドネイターは黙って一歩近づき、カプセルの表面にそっと手を触れる。すると——軽い一撃にもかかわらず、カプセルはひび割れを広げ、あっけなく砕け散った。ゼロトキは破れた殻の中から立ち上がり、初めて外の空気を吸い込むように大きく息を吐き、そして二人を真っ直ぐに見据える。

「…出られた。ありがとう。だが、これから何をすればいい?」その瞳の中には、まだ何色にも染まっていない、強い意志の光が宿っていた。指令室の映像が切り替わり、リュウゼツランは報告を受けて険しい表情になり、低く呟く。

「あの実験体が、自力で動き出したか…。予定が狂ってしまったな。衆生解放戦線…。やってくれたものだ」指揮官たちの緊張が一気に高まる。リュウゼツランは指を組み、厳しい瞳で状況を見据える。

「我々が回収し、管理するはずの『鍵』が、敵手に渡ったままだ。あの組織の思想に染まれば、レイトキと対峙した時、どちらが勝つにせよ甚大な被害が出る。——監視を強化せよ。ゼロトキの動向を見逃すな」表向きのJOKER回収作戦に加え、もう一つの影が動き始めた。計画は複雑に絡み合い、予断を許さない事態へと進んでいく。リュウゼツランは厳しい声を響かせ、指令を下す。

「研究員たちに伝えろ。JOKERの監視だけでは不十分だ。ただ今脱走した実験体——ゼロトキの行方も、直ちに追跡せよ! どちらも見逃すな!」室内は一気に緊張に包まれ、端末の操作音が駆け巡る。二つの「鍵」がそれぞれの道を歩み始めた今、計画は予断を許さぬ方向へと傾きつつあった。

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