↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/86

EPISODE2-16【会議など】

重厚な扉が開き、レイトキたちは会議室の中央へと進み出る。壁一面のスクリーンには今回の異界迷宮の記録や敵のデータが次々と映し出され、エピデンドラムをはじめとする幹部たちが真剣な面持ちで着席していた。

レイトキは一歩前に出て、全員の視線を受け止め、はっきりと告げる。

「まず、今回の一件ではっきりと判明した事実を話します。最近頻発するビヨンダードからの侵入者——あれは無秩序な怪異の類ではなく、明確な目的を持った侵略者たちです。彼らは独自の組織を結成しています。その名は『ヴァルテン・アグレッション』」彼は一度言葉を切り、スクリーンに映し出された敵のロゴを指し示して続ける。

「そして最も重要な事実——このヴァルテン・アグレッションは、これまで各地で暗躍してきた謎の敵勢力『ストレンジ・プレデター』と、表裏一体となって手を組んでいるのです」場内にどよめきが走る。エピデンドラムは指を組み、眉間に皺を寄せて頷く。

「なるほど。二つの脅威が繋がっていたとは…。これは単なる領域侵攻ではなく、世界そのものを狙った大掛かりな計画だと見るべきだな」レイトキはスクリーンに両世界の比較データを呼び出し、さらに核心的な事実を明かす。

「それから、こちらで『ビヨンダード』と仮称されてきたあちらの世界——本来の名はクラリトンです」彼は画面に映るサイバーと魔術が融合した都市の映像を指し示して続ける。

「クラリトンはクリプトンと同じく、魔法や特殊能力といった不思議な力が根付いた世界です。だがそれだけでなく、科学技術——特にサイバー技術、データ操作、因子工学の発展があまりにも急激で、両者が並行して、時には融合しながら進んでいるのが最大の特徴です」会議室は再び静まり返る。エピデンドラムはメモを取りながら唸る。

「なるほど…だからこそZXファクターや再現体、空間操作といった、魔と科学の境界線が曖昧な攻撃が可能だったわけだ。これは単なる異界侵攻ではなく、我々の常識が通用しない相手との戦いになるということか」レイトキは手元のデータをスクリーンに展開し、厳しい面持ちで続ける。

「そして、さらに調査を進めたところ、両世界に共通して伝わる重大な存在が見つかりました。その名は——厄災です」会議室の空気が一気に張り詰める。彼は二つの項目を明確に分けて説明する。

「この厄災は大きく二つの種類に分類されます。一つは、世界全体を繋ぐ原初のネットワークそのものにバグが生じ、暴走した存在。もう一つは、ネットワークの闇から生まれた、電脳獣と呼ばれる災厄の獣たちです」エピデンドラムは深く眉を寄せ、指で机を叩く。

「原初のネットワークの暴走…? それが本当なら、ZXファクターや空間の歪みの根源も、この厄災と無関係ではないということか。ストレンジとヴァルテンは、この厄災を利用しようとしている可能性が高いな」レイトキはスクリーンに残された断片的な記録映像を呼び出し、確かな手応えと警戒を込めて告げる。

「電脳獣は全部で三体存在する模様です。昔、ストレンジの機密データの中でもこの単語を目にしたことがあり、決して見間違いではありません」

そして映像に映る輪郭を指し示し、続ける。

「その姿の特徴は、翼竜と鳥を掛け合わせたような、両方の特徴を併せ持つ形状です。機械的な鱗と光る羽根が混在し、飛行能力も高いと推測されます」エピデンドラムは記録を睨みつけ、声を低くする。

「三体の電脳獣…。もしこれらがヴァルテンやストレンジの手で制御され、或いは厄災そのものとして解き放たれた場合、我々の守りを一気に突破されかねない。最優先で警戒すべき脅威の一つだ」レイトキは記録データを睨み、首を傾げながら続ける。

「だが、2体までの情報しか確認できない。3体目は知られていない…いや、意図的に隠されているようです」

その瞬間、会議室の空気がかすかに揺らぎ、虹色の光の粒が集まってキクリの姿が現れる。誰も予期していなかった出現に、一同は息を呑む。キクリは真っ直ぐレイトキを見つめ、澄んだ声で核心を突きつける。

「3体目の電脳獣はな、レイトキ——お前自身に宿っているんだ」場内は一瞬、完全な静寂に包まれる。レイトキは目を見開き、自らの胸元に手を当てる。ZXファクターの疼きが、まるでその言葉を肯定するかのように、かすかに鼓動を打った。キクリはレイトキの衝撃が収まるのを見計らい、スクリーンに新たな設計図を呼び出して続ける。

「そして、すべてのデータと因子の源にあたる『プロト・コアサーバー』——あれは世界の根幹を守るため、四つのプロテクトコードと多重の防衛機構によって、厳重に封じられている」エピデンドラムは前のめりになって問いかける。

「もしその封印が破られれば、どうなる?」

「二つの世界の法則が書き換えられ、厄災が完全に解き放たれるだろう。ストレンジたちが狙っているのは、まさにそのサーバーだ」キクリは厳しい眼差しで答え、レイトキたち全員を見渡した。レイトキは腕を組み、険しい表情で分析を進める。

「だが、厄災まで絡んでくると、話はまったく別だ。相当に厄介だぞ。これはストレンジが単独で仕掛けているのか、それともヴァルテン・アグレッションの側が主導しているのか——あるいは、両者が共通してこの力を利用しようとしているのか、まだ判断がつかない」キクリは静かに頷き、補足する。

「どちらにせよ、厄災は誰のものでもない。制御しようとすれば、逆に飲み込まれる。奴らがその危険を承知で手を出している以上、何を犠牲にしても目的を果たそうとしている証拠だ」

「ならば、我々もそれぞれの可能性を想定し、手を打たねばならないな」エピデンドラムが重い声で応じ、会議の先の議論へと繋げていく。レイトキはゆっくりと前に踏み出し、胸に手を当てて真っ直ぐな想いを告げる。

「私は絶対に、誰かを犠牲にするような真似はしたくない。そのために、私は先代の『虚空の歯車』から、アカシックレコードの力を受け継いでいます」彼は一度言葉を切り、同じ部屋にいる仲間たち一人一人を見渡し、続ける。

「だが、それだけではどうにもならないのは明らかです。どれだけ強大な力を一人が持っていても、世界を守り、誰一人失わずに進むことはできない。この先の戦いには、歯車全員の力と心を合わせた、揺るぎない協力が何より不可欠なのです」エピデンドラムは深く頷き、厳かに応える。

「よく言ってくれた。アカシックレコードの重みも、犠牲を拒むその想いも、そして共に戦う覚悟も——これこそが、我々エルカーノスが求め続けてきた歯車の在り方だ。全員で一つになり、必ずや難局を乗り越えよう」斗愛はぴょんと前に出て、にっこり笑いながらはっきりと告げる。

「レイトキ、仲間っていうのは、ボクたち何でも屋のメンバーも含めてのことでしょ?」彼女は仲間たちの方をちらりと見やり、力強く付け加える。

「歯車だけじゃない。ボクたちもずっと共に戦ってきたんだ。これからも絶対、離れたりしないよ!」レイトキははっとしたように目を見開き、すぐに優しく、そして力強く頷き返す。

「ああ、そうだ。当たり前だ。俺が言う『全員』には、もちろんお前たち何でも屋のみんなも入っている。誰一人欠かせない、大事な仲間だ」部屋の空気がほっと和らぎ、同時に団結の熱が一層強くなった。重厚な会議室の扉が静かに開き、制服姿に身を包んだ、まだあどけなさの残る少女が恐る恐る足を踏み入れる。緊張で頬を少し赤らめながらも、真っ直ぐな瞳でレイトキたちを見つめ、丁寧に頭を下げる。

挿絵(By みてみん)

「あの…こちらにレイトキさんがいらっしゃると聞いて、訪ねてきました。私、星玲奈(せれいな)と申します。皆さんと同じエルカーノスの部隊に所属しているのですが、恥ずかしながらビヨンダードの計画に巻き込まれてしまって…。先日は本当に、助けていただきありがとうございます」言葉を一度切り、少し戸惑うように指を組んで続ける。

「種族については、今はまだ『人間に近い存在』とだけ言っておきます。詳しく話せるようになったら、必ず自分からお話ししますから」レイトキは柔らかく笑みを浮かべ、優しく応える。

「わざわざ来てくれてありがとう。無事で本当によかった。種族のことは話せるようになってからで全然構わない。同じ部隊の仲間なんだ、何があっても遠慮なく頼ってくれていいんだ」

久美子も隣からにっこりと頷き、星玲奈の緊張をほぐそうと声をかける。

「そうだよ!これから一緒に頑張ろうね、星玲奈(せれいな)ちゃん!」星星玲奈は少し緊張しながらも、瞳には強い決意を宿し、はっきりと言葉を紡ぐ。

「私、レイトキさんたちと一緒に行動したいです! 自分ももっと力をつけて、皆さんの役に立てるようになりたいし、これからの戦いにも、自分の目で確かめたいことがたくさんあるんです」レイトキはその真っ直ぐな想いを受け止め、力強く頷く。

「ああ、もちろんだ。大歓迎だよ。一緒に進みながら、お前のペースで少しずつ知っていけばいい。困ったことがあったら、いつでも誰にでも相談してくれ」エピデンドラムも笑みを浮かべて了承する。

「よし、正式にクロノギアチームへの合流を認める。星玲奈、これから共に頼むぞ」星玲奈は顔をほころばせ、嬉しそうに一礼した。

「はい! よろしくお願いします!」レイトキは星玲奈が嬉しそうにはにかむ様子を見て、思わず表情を緩ませ、ぽつりと素直な感想を漏らす。

「ふっ…星玲奈って子、本当にかわいいなぁー」その言葉を聞いた星星玲奈は耳まで真っ赤に染め、うつむきながら小さく「あ、ありがとうございます…!」と呟く。隣の久美子は少し頬を膨らませながらも、柔らかく笑ってレイトキの肩を軽く叩く。

「ちょっと、いきなり何言ってるのよ~。でも、そうね、素直でいい子だもんね」レイトキは慌てて手を振りながら言い直す。

「いや、悪い意味じゃなくて、その…真っ直ぐで一生懸命なところが、だよ!」久美子はにっこりと笑いながら、さらにからかうように言葉を続ける。

「でもね、レイが自発的にそんな風に言うなんて、初めてかもしれないわ! 今までは誰かに言われて返事がてら褒めるくらいだったのに、珍しいこともあるもんだね」レイトキはますます顔を赤らめ、口ごもりながら言い返す。

「そ、そんなことないだろ! ただ、あまりにも真っ直ぐで一生懸命だったから、思わずそう思っただけだよ!」隣では星星玲奈も、そのやり取りを聞いてますます照れくさそうに、両手で顔を少し覆っていた。星星玲奈は両手をそっと頬に当て、顔を真っ赤にしながら、はにかむようにはっきりと言う。

「そ、そんなに褒められちゃうと、なんだかすごくテレちゃいます…! 私なんて、まだまだ未熟なんですから…」そう言って小さく肩をすくめる姿は、どこまでも素直で愛らしく、会議室の空気まで柔らかく和ませていく。レイトキはそんな彼女の様子を見て、ますます穏やかな笑みを浮かべる。

「いやいや、本当のことを言ってるだけだから、気にしなくていいんだ。これから一緒に頑張っていこうな」星星玲奈はきょとんとした顔で、はっきりと尋ねる。

「ところで、レイトキさんってどこに住んでるんですか?」レイトキは穏やかに笑って答える。

「同い年だし、タメ口で話しても全然構わないぞ。俺はマタラシティのセントラルエリアに住んでる。地図を見ればすぐ分かる場所だ」そう言って彼は手元の地図を広げ、自分たちの拠点の位置に赤い印をつけて指し示す。星星玲奈はその印を覗き込み、思わず声を上げる。

「あれっ、近くじゃん! 私、セントラルエリアの北側なんだけど、歩いても10分くらいの距離だよ!」レイトキも目を丸くして、改めて地図を確かめる。

「本当だ、めちゃくちゃ近いな! じゃあ今後は朝も一緒に集合したり、困ったことがあったらすぐ駆けつけられるな」星星玲奈は嬉しそうに頬を緩ませ、大きく頷く。

「うん! なんだかすごく安心した! これからもよろしくね、レイトキ!」レイトキは真っ直ぐ星星玲奈を見つめ、力強く声をかける。

「そうだ、星星玲奈。俺たちの何でも屋『クロノギア』に入らないか?」

星星玲奈は瞳を輝かせ、少し潤みながらも、はっきりと頷き返す。

「はい! こんな未熟な私でよければ、ぜひ入れてください!」レイトキは満面の笑みを浮かべ、彼女の肩を軽く叩く。

「未熟だなんて全然だ。これから一緒に、少しずつ前に進んでいけばいい。よろしくな、星星玲奈!」周りの仲間たちも一斉に笑顔で拍手し、新しい仲間の門出を祝った。久美子は真剣な面持ちで星星玲奈の背中を見送りながら、はっきりと言い切る。

「おそらくだけど、あの子は歯車——いや、それ以上の存在だと思うわ。どこか持ってる気配が、私たちとよく似てるんだもの」アルビテトも静かに頷き、その言葉に応える。

「そうね。ただの部隊員じゃない、何か特別な縁と力を秘めているのは間違いない。彼女が話してくれる日を、待っていればいい」レイトキは仲間たちの言葉を受け、強く心に刻むように呟く。

「ああ。だが今は、一人の仲間として、共に歩いていくことが先だ。彼女が自分から語りたくなるまで、俺たちはただ、そばにいてやればいいんだ」会議が閉会し、それぞれが席を立って片付けを始める。レイトキも荷物をまとめ、家へと帰ろうとしたところで、星星玲奈が少し慌てたように呼び止める。

「あ、あのっ! お互い今後連絡が取りやすいように、連絡先を交換しておこうと思うけどどうかな?」レイトキはにっこりと笑い、すぐに頷く。

「そうだな、それが一番だ。いいぞ、これからはいつでも連絡してきていい。困ったことがあったり、わからないことがあったりしたら、何でも聞いてくれ」二人はその場で端末を操作し合い、お互いの連絡先を登録し合う。星星玲奈は登録が終わると、ほっとしたように笑顔を浮かべる。

「 これで安心だね。これからも、どうぞよろしくお願いします、レイトキ!」ストレンジ・プレデターの本拠点、重々しい機械音が響くメインルーム。リュウゼツランはモニターに映る無数の培養データを見つめ、低く響く声で告げる。

「ヴァルテン・アグレッションの方も、そちらの裁量で動かせばいい。あいつらは未知数な部分が多いが、今はそれでも構わない。そして……ついに我々は、クラリトン人との安定融合方法を確立した。これも全て、ユーカリのおかげだ」ユーカリは無表情ながらも、言葉には確かな自信を滲ませて応える。

「リュウゼツラン様、お褒めいただき光栄です。まあ、そもそも私自身がその成功例ですからね。それに、クリプトン人にも直接ZXファクターやデータを埋め込めることも判明しました」彼女は一呼吸置き、次の段階を冷静に指し示す。

「あとは、実験に適した素体を確保するだけです。そうですね……やはり、行き場を失い、誰にも頼れない者たちが最適でしょう。孤児院や収容施設——そういった場所に、優先的に目をつけていきましょう」リュウゼツランは冷たく笑みを浮かべ、指先で机を叩く。

「よし、手配を始めろ。誰も気づかぬように、そして、誰も彼らを“犠牲”だと気づかぬようにな……」ユーカリは表情を変えず、静かに付け加える。

「それと、私の影響下にあるボーダーコンツェルンからも素体を選びましょう。父上には、もちろん秘密裏に。」リュウゼツランは冷ややかに頷き、低い声で応じる。

「よかろう。表向きの繋がりを隠し、あらゆるルートから確実に確保する。これで計画の歯車は、より堅く噛み合う。」リンドウは眉をひそめ、心配そうにはっきりと意見を述べる。

「リュウゼツラン様、本当によろしいのですか? ユーカリにあまり好き勝手にさせていては、やりすぎた結果、公安機関に嗅ぎつけられる危険が高まります。これまで築いてきた隠密体制が崩れては、元も子もありません」リュウゼツランは動じず、冷徹な視線をリンドウに向ける。

「心配するな。我々が手を回している限り、表向きの情報は全て塗りつぶせる。それに、あらゆる手を尽くしてこそ、計画は完遂する。リスクを恐れていては、何も手に入れられはしない」ユーカリも無表情に補足する。

「ルートの選別と隠蔽は私に任せてください。痕跡を残すような真似はしません。必要なのは“結果”だけです」ユーカリは唇を歪めてニヤリと笑い、指先で端末の画面を軽く弾く。

「それに、直接手を下す必要なんてどこにもないでしょう? そのためのAIでしょう? さあ、出番だよ、クズノハ」声が途切れた瞬間、端末のスクリーンが青白く光り、狐の耳と尻尾を持つ獣人の姿が浮かび上がる。クズノハは赤い瞳を細め、無感情ながらも従順な声で応答する。

「《指令確認。対象選定・誘導・情報隠蔽、全手順を自動実行。痕跡ゼロにて遂行します》」ユーカリは満足げに頷き、リンドウの方をちらりと見やる。

「ね? 全てこの子がやってくれる。誰も我々の手を汚すことなく、計画は粛々と進むのです」空間の隅からセイランが姿を現し、冷静かつ確実な口調で告げる。


「では、私が孤児院——いや、養護施設を新たに設立し、経営者や体制の手配を全て整えます。そして裁判関係、収容施設の各所にも、事前に用意したモグラを送り込み、出入りや情報の管理を掌握します」


リュウゼツランは深く頷き、その手際を認める。

「よし、頼んだ。表向きはあくまで善意の施設とし、誰にも疑われずに必要な者たちを確保できるようにせよ。この土台が、今後の全ての鍵となる」ユーカリも端末のクズノハに視線を落としながら付け加える。

「施設の運営データや入所者の記録は、全てクズノハが管理・改竄します。外部からは決して異常が見つからないようにします」セイランは一礼し、静かに応じる。

「お任せください。法の裏も、人の心の隙も、全て計算の内に収めてみせます」リンドウは感心したように眉を上げ、はっきりと言う。


「ほお、善意という仮面を利用して、都合の良い者たちを選りすぐるとは…、よく考えたものだ。さすがは元々高い地位にあっただけのことはある、手口が抜け目ない」セイランは表情を崩さず、淡々と応える。

「手段がどうであれ、目的のために最も確実な道を選ぶだけのことです。誰もが疑わない“善意”こそ、最も強固な隠れ蓑になりますから」リュウゼツランは冷ややかに頷き、計画が着実に進むことを確かめるように言い放つ。

「それでこそだ。見せかけの優しさが、我々の未来を築く礎となる。全てはこの先の勝利のために——」ユーカリは端末を軽く指で弾きながら、疑問を含んだ声ではっきりと言う。


「だけど、ここまで手を打てば、マズミが動き出してもおかしくないはずなのに——あの娘、一向に動く気配がないわね」リュウゼツランは腕を組み、沈黙の後に答える。

「あいつは慎重なだけだ。それとも、我々の動きを読みきれず、様子を見ているか。あるいは——別の場所で、別の手を進めている可能性もある」リンドウも神経を尖らせながら付け加える。

「どちらにせよ、警戒は怠れません。何もしてこないということ自体が、何かを隠している証拠かもしれませんから」ユーカリは薄く笑みを浮かべ、端末のクズノハの画面を見つめる。

「ならば、こちらから少しずつ糸を引いてみましょう。いずれにせよ、動かざるを得なくなる日は、そう遠くはないわ」マズミは通信越しに柔らかな笑みを浮かべ、のんびりとした口調で言う。

「やあ、久しぶりだね、エピデンドラム。君の方からワタシに連絡してくるなんて、本当に珍しいことだね」

エピデンドラムは鼻で笑い、核心を突くようにはっきりと告げる。

「フッ、お前はあの時から何一つ変わっちゃいないな。わざと俺を裏切らせるように見せかけ、SMOへ流れ着く筋書きを仕向け、その上でエルカーノスへと辿り着けるように導いていた。それどころか、レイトキたちの脱出まで手助けしていただろう? いや、そう言うと語弊があるか——あの空き部屋で密会していたことも、お前は最初から知っていて、わざと見逃していたんだな」マズミは一瞬だけ瞳を細め、それから穏やかな笑みを深めて応える。

「ふふっ、見事に見抜いているね。全てが計算通り、というわけさ。誰が敵で誰が味方か、どこで道を分け、どこで再び交わるのか——それを決めるのは、今すぐではないんだよ」エピデンドラムは鋭い視線を向け、核心を突いて問い詰める。

「一体どこまで知っているんだ? お前、まるで未来の断片を見ているようだな」マズミは悪びれる様子もなく、あっさりと認め、穏やかに告げる。

「バレちゃったか。そうだよ、ワタシはアカシックレコードの力を使えるからね。ほんの少しどころか、それ以上のことまで、あらかじめ知っているんだよ」エピデンドラムは唇を引き締め、更に踏み込む。

「ならば、レイトキが3体目の電脳獣を宿していることも、そしてヴァルテンとストレンジの計画の全貌も、お前はもう見通しているというのか?」マズミは笑みを浮かべたまま、しかし芯の通った口調ではっきりと告げる。

「当然よ。だけど、アタシは今はストレンジの立場にいるからね——今すぐ計画を止めたりはしないよ」エピデンドラムは眉を寄せ、鋭く問い返す。

「それでは、お前がこれまで手を貸してきたのは一体何のためだ? ただ静観しているだけなら、レイトキたちを導いたり、密会を見逃したりはしなかったはずだ」マズミはゆっくりと頷き、言葉を続ける。

「止めるのが目的じゃないの。正しい方向へと導き、そして、本当に必要な時にだけ手を差し伸べるため。今はまだ、全ての歯車が噛み合うのを待っているだけなのさ」エピデンドラムは苦笑いを浮かべながら、はっきりと言い放つ。


「なるほど。それが全て下準備だったということか。キキョウと俺を逃がしたのも、あらかじめその筋書きの一部だったわけだ。どこまでも計算ずくの女だこと」マズミはくすりと笑い、あっさりと認める。

「そうね。無駄なことは何一つないの。ただ、全てが最終的に一番いい形に収まるように、少しずつ道を整えているだけだよ」エピデンドラムは表情を引き締め、最後に確かめるように告げる。

「ならば、我々は今何をすべきか。お前の描く筋書きの中で、レイトキたちが進むべき道はどこにある?」マズミはいつもの柔らかい笑みを浮かべたまま、はっきりと告げる。

「君は君の立場の上で、ただ今まで通り動けばいい。レイトキたちも、今以上に自由を謳歌し、自分たちの信じる道を進めばいいんだよ」エピデンドラムはその言葉を噛みしめ、静かに頷く。

「自由に……か。束縛され、利用されることを強いられてきた彼らにとって、それが何よりの力となるということか」

「その通り。全ての答えは、彼ら自身の選択の中にある。今はただ、その時が来るのを待てばいい」通信はそれで一旦切れ、エピデンドラムは強い決意を胸に、再び仲間たちのもとへと戻っていく。

[星玲奈(せれいな)]

挿絵(By みてみん)

身長:160cm

カップ:Jカップ

種族:亜人間(アビス人とヒューマのハーフ)

説明:レイトキとは同学年。最初会ったときは大人しめな感じだが実は元気いいが少し病みやすい女の子。実は変異の歯車であり望星の歯車である

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。