EPISODE6-16【堅牢の使徒】
他の者たちの戦いが展開される中、最後の一組——ゼロとアルカが、重厚な石造りの廊下を歩み進めていた。分厚い石が積まれた壁はどこか厳かで、長い年月を感じさせる。足元も石畳で、二人の足音だけが静かに響き渡る。空気は澄んでいるが、先へ進むほどに重く、揺るぎない気配が立ち込めてくる。
「オーガストの陣……この先に間違いない」ゼロが低く落ち着いた声で告げる。アルカも真剣な面持ちで頷く。
「堅牢の使徒——と聞いている。決して揺らがぬ意志、守り抜くという信念が、あの石のように固まっているのかもしれない」
「力で崩そうとしても無駄だろう」ゼロは前を見据える。
「だからこそ、心を解きに行く。彼が何を守り、何のためにそこにいるのか——話を聞くんだ」
「うん」アルカは力強く応える。
「どれほど固く閉ざされた心でも、温かく寄り添えば、きっと応えてくれる」二人は並んで歩を進める。石の廊下の先には、厳かな扉が待っている——。こうして——最後の扉へ続く道! ゼロとアルカ、二人の決意! 物語、オーガストとの対峙が始まる——!重厚な石の扉をゆっくりと押し開く——。そこはまさに岩の奥深くにあるかのような石造りの部屋。壁も床も天井もすべてが分厚い岩で築かれ、冷たく堅牢な気配が満ちている。その空間の中心に、どっしりと佇むオーガストがいた。肌は岩肌のようにごつごつとしており、額には立派な角が生え、その体はまさに巨人——一歩動けば床が軋むほどの威容を誇り、堅牢の名にふさわしい佇まいである。ゼロは一歩踏み込み、まっすぐにその瞳を見上げる。
「オーガスト……」アルカも隣に立ち、力強く頷く。
「堅牢の使徒と聞いています。あなたがここにいるのは、何を守り、何を信じているからですか?」オーガストは低く重い息を吐き、岩が軋むような声で応える。
「我が信じるもののため、この場所を守る。それだけのこと……」その瞳には、揺るぎない決意が宿っている——だがその奥に、孤独な影が見え隠れしているのを、ゼロとアルカは感じ取った。こうして——岩の如き巨人との対峙! 堅牢なる心の内側とは! 物語、最後の対話が始まる——!オーガストは低く重い声で、長年胸に秘めてきた想いを吐き出すように語り始める。
「私は元々は人間と共に住んでいた。だが人間は我々巨人を蔑んだ。『デカいだけが取り柄』だと」岩のような腕が、わずかに震える。
「だが、それ自体は別にどうでもよかった」蔑まれることには慣れていた——それよりも、信じていたものに裏切られた痛みが深い。
「だが、人間は巨人たちに何をした? 実験に使ったり奴隷にしたり兵器として活用したり——そう、都合よく利用したのだ」一語一語が石の壁に響き渡り、部屋全体が沈黙に包まれる。大きな体を持つがゆえに、力があるがゆえに、ただ利用され、道具として扱われてきた歴史——その痛みが今、鮮明に蘇る。
ゼロは真剣な面持ちで応える。
「……それは事実だ。人間の側の身勝手で愚かしい行い。言い返す言葉もない」アルカも胸を痛めながら続ける。
「力が強いから、体が大きいから——それだけの理由で、一人の人として見ようともしなかった。その過ちは、本当に許しがたい」オーガストは拳を強く握りしめ、床の石が軋むほどの力を込める。
「ならばなぜ、今更我々に歩み寄る? また利用しようというのか?」
ゼロは揺るがぬ瞳で見上げる。
「利用するためじゃない。あなた自身を知り、あなたの痛みを受け止めたいから。そして、もう二度とそんなことが起こらない世界を創りたいからだ」こうして——利用され続けた長き日々! 巨人の叫びが石に響く! 物語、オーガストの心に向き合う時——!オーガストは大きな体を震わせ、怒りと決意を込めて言い放つ。
「私はドネイターのやり方や思想には共感できた」岩のような瞳に、強い信念が宿る。
「人間やそれに与する亜人なんぞ、存在自体が罪なんだよ!」声は重く部屋中に響き渡る。
「消すためなら、この身を捧げることも構わない」自らを犠牲にしてでも、長年の恨みを晴らしたい——その想いは、長い間受け続けた痛みから生まれたもの。ゼロは真っ直ぐに見上げ、静かに応える。
「そう思うほど、苦しんできたんだな。だが……人間も亜人も、生まれてきたこと自体が罪なんてことは絶対にない」アルカも力強く続ける。
「利用したり傷つけたりするのは、一部の者の過ちだ。それを全部の人間や亜人のせいにして、存在ごと否定するのは、あまりにも悲しい」オーガストは眉をひそめ、叫ぶように言う。
「だが、そうする以外に、我々巨人が報われる道はない!」
「違う」ゼロは揺るがぬ声で告げる。「憎しみで全て消しても、君の心は晴れない。君自身が認められ、受け入れられる——そんな世界を創る道が、他にあるはずだ」アルカが優しく付け加える。
「君の命は、君のために使っていい。誰かを滅ぼすためじゃなく、君が笑って生きるために」オーガストは言葉を詰まらせ、大きな拳を少し緩める——。こうして——身を捧げる覚悟の裏にある痛み! 存在を否定する世界の先には何もない! 物語、オーガストの心が問いに応え始める——!石の床が軋み割れるほど、オーガストは拳を高く振り上げ、怒りを爆発させる。
「共存?不可能だ! そんなもの望んでも、尽く壊されるに決まってる!」
長年の裏切りと痛みが、その言葉に凝縮されている。
「御託はもういらん! 混因人は本当は殺しちゃいかんと言われてるが、どうやら低俗な種族側についてるな」鋭い瞳が二人を捉え、裁きを下すように続ける。
「ならば、消し去る!」
——ドゴォン!
重い体を振り絞り、拳を地面へと叩きつける! 衝撃が部屋中に走り、石の壁がひび割れ、砂埃が舞い上がる!
ゼロは即座にアルカを庇うように前に出て、揺るがずに叫ぶ。
「壊れると決めつけているのは、君自身だ! 誰かが壊すんじゃない、共に守り育てる道があるんだ!」アルカも怯まず、真っ直ぐに訴える。
「混因人だからこそ分かることがある! 人間と亜人、両方の痛みを知っているからこそ、架け橋になれるんだ! それを『低俗』だなんて言わないで!」オーガストは拳を振り下ろした勢いのまま、二人に襲いかかろうとする。だが——彼の瞳の奥には、怒りの裏側に、本当は信じたいと願う心が、かすかに見え隠れしている。
「黙れ! 嘘だ! 全部偽物だ!」再び拳が振り上げられる——。こうして——拳を振り下ろす怒り! それでも揺るがぬ想い! 物語、最後の心の対決が激化する——!ゼロはアルカをかばうように一歩前に出し、拳を固く握り締めて告げる。
「話し合いは無理なら仕方ない! コイツは撃破するしかない」アルカは眉を寄せ、すぐには応じられずにいる。
「でも……本当にそれでいいの? 心の奥ではきっと、救われたいと願ってるはずなのに……」
「願っていても、今は攻撃してくる。こちらが無事ではいられない」ゼロは真剣な面持ちで応える。
「だが——力で屈服させるだけじゃない。戦いながらでも、想いを届け続けるんだ」
オーガストは大きな体を躍らせ、再び拳を振り上げる。岩の破片が周囲に飛び散る。
「来い! 嘘つきども! 正しさを証明してみろ!」ゼロはアルカに囁く。
「アルカ、君は支援に徹して。俺が相手の動きを見極める」
「わかった。絶対に諦めないで」アルカは力強く頷き、光の力を手に宿す。
オーガストの一撃が迫る——ゼロは身を躱し、間合いを詰めていく。こうして——戦うことを選ぶ瞬間! 力と心の戦い! 物語、最終決戦の火蓋が切られる——!オーガストは突然、狙いを変え——アルカの方へと大股で踏み込んでいった!
「っ! アルカ!」ゼロの叫びも届かぬ速さ——大きな手がアルカの体を捕らえ、そのまま軽々と持ち上げる。
「離して!」アルカは抵抗するものの、巨人の力には敵わない。そのまま高く掲げられ——。
ドゴォォン!
勢いよく地面に叩きつけられた! 石の床が砕け、衝撃が部屋中に響き渡る。
「アルカ!」ゼロは駆け寄り、彼女のもとへ急ぐ。アルカは痛みに耐えながらも、すぐに起き上がろうとする。息を荒くしながら——。
「大丈夫……です。まだ、諦めません」オーガストは荒い息を吐きながら、再び拳を構える。
「さあ、消えろ……!」ゼロはアルカをかばうように立ちはだかり、瞳を強くする。
「卑怯だ……! 俺と戦え!」
「誰が相手でも同じこと」オーガストは冷たく言い放つ。
「邪魔ならば排除する——それだけだ」こうして——アルカが標的に! 容赦なき一撃! 物語、ゼロの怒りが燃え上がる——!ゼロはアルカをかばい、両手を広げて真っ直ぐに叫ぶ。
「方舟と聖書は互いに支え合う。だが、ボクはまだ聖書の歯車の力の神髄を知らない——思い出せ、聖書とは一体何なのかを!」心の奥底から響くようなその声と共に——ゼロの全身がまばゆい光に包まれる!きらきらと黄金色に輝き、彼の背後からはまるで巨大な本が開かれるかのような光の輪郭が現れ、無数の文字と歯車が浮かび上がる。ページがめくれるように光が波打ち、歯車がゆっくりと、だが確かに回り始める。
「これは……聖書の力……?」オーガストは思わず一歩退き、その輝きに目を細める。アルカは衝撃から立ち上がり、目を見開く。
「ゼロ……その光は!」ゼロは瞳に強い決意を宿し、光をまとって告げる。
「聖書とは——誰かのために、未来のために、想いを紡ぎ続けるものだ! 歯車とは、その想いが共に回り、支え合う力なんだ!」光は一層強まり、部屋全体を優しく包み込む——。こうして——目覚める聖書の力! 光輝く本と歯車! 物語、ゼロの真の力が解き放たれる——!オーガストは渾身の力を込めて拳を叩きつける!だがゼロは左腕を構え、その一撃を真正面から受け止める——!その腕はまさに象や牛を思わせるような屈強な姿に変貌し、岩のような拳をしっかりと弾き返すほどの力強さを放つ。
「聖書の生物の因子の力だ! 受けてみろ!」そう叫ぶと同時に、ゼロは空いている右腕を振り抜き——カウンターパンチ!鋭く突き出した拳が、オーガストの胸元にまっすぐに届く!
「っ!」オーガストは思わず体を仰け反らせ、一歩、二歩と後退する。巨人の巨体が揺らぐ——それほどまでの一撃だった。ゼロは構えを崩さず、力強く告げる。
「生物の力は、ただ破壊するためにあるんじゃない! 守り、そして想いを届けるためにあるんだ!」光に包まれた腕は依然としてその力強い姿のまま——。こうして——聖書の真髄、生物因子の覚醒! 屈強な腕が一撃を弾き返し! 物語、力と想いが一つになる瞬間——!オーガストは衝撃に耐えかね、ついに膝をつく——。その隙を逃さず、ゼロは一気に間合いを詰め、宙に跳ね上がるようにして蹴りを放つ!その足には——鳥のような鋭い鉤爪が光り輝き、まるで猛禽が獲物を捉えるかのよう!
「くっ……!」蹴りがオーガストの肩元に決まり、岩のような皮膚を抉るように食い込む! 巨人の体が大きく傾き、石の床が軋む。ゼロは着地と同時に構え直し、鉤爪を輝かせて告げる。
「空を駆ける力も、獲物を捉える爪も——守るために使えばいい! 速く、強く、誰かのもとへ届くために!」オーガストは肩を押さえ、荒い息を吐きながらも、ゼロの姿を見つめている——。こうして——鳥の鉤爪が蹴りを決める! 聖書の力が次々と現れて! 物語、オーガストの心が動き始める——!オーガストは肩の痛みを噛み締め、ついに決意を込めて叫ぶ。
「ぐぬぅー、こうなったら奥の手だ!」大きな手で自分の胸の中心をバンバン! と力強く叩きつける——。すると——体の内側から熱が湧き上がるように、肌が徐々に赤く輝き始める! 岩のような表面が真っ赤に染まり、周囲の空気まで歪むほどの熱気が立ち込め、まるで溶岩を宿したかのような威容に変わっていく。
「これが……君の本気か!」ゼロは構えを強め、鉤爪を輝かせて迎え撃つ準備を整える。アルカも光の力を高め、警戒を怠らない。
「熱がすごい……このままでは周囲まで危険が及ぶかもしれません!」オーガストは赤く燃える瞳で二人を睨みつけ、低く唸るように告げる。
「これで全てを消し去ってくれる……!」こうして——赤く燃え上がる巨人の力! 奥の手が今解き放たれる! 物語、最終決戦が最高潮に達する——!赤く熱気に包まれたオーガストに向け、ゼロは更なる力を解き放つ——!背中から無数の輝く鱗が生まれ、刃のように飛び散るように襲いかかる! 鱗はきらめきながらオーガストの赤い体を包み込むように迫り——続けて!
「ドラゴンブレス!」口から竜巻のような光の息が噴き出し、灼熱の奔流となって一直線にオーガストを捉える! 聖書の力が竜の姿となり、空間を染め上げるほどの輝きで迫る——!
「ぬおおお!」オーガストは両腕で顔を覆い、その一撃を受け止めようとするものの、竜の息の勢いに体が押され、一歩、また一歩と後退する。赤く燃える体が光に包まれ、その輝きの中で——瞳の強さが、少しだけ揺らいでいるように見える。ゼロは力を込めたまま、真っ直ぐに叫ぶ。
「これが聖書の力——竜の力だ! 破壊のためじゃない、心を開かせるために放つ! 目を覚ませ、オーガスト!」こうして——鱗舞い竜息轟く! 聖書の力が全てを照らす時! 物語、オーガストの心が解き放たれる——!赤く灼けた体が限界まで高まり、今にも弾けんばかりに膨れ上がる中——オーガストは絶叫する。
「こうなったら道連れだ!」全身が閃光のように輝き、一気に自爆態勢へ——! 熱波が周囲を焼き尽くさんとする瞬間、アルカが一歩前に踏み出し、両手を広げる。
「それはゴメンだね」清らかな光が瞬く間に広がり、丸い結界となってオーガストごとすっぽりと包み込む! 膨張する熱と衝撃を柔らかく受け止め、外へ漏れ出すことなく静かに封じ込めていく。
「なんだ……この光は……!」オーガストの怒りと絶望の叫びが、結界の内側でくぐもって響く。アルカは揺るがぬ瞳で応える。
「自爆なんてさせない。あなたの命は、あなたのものなんだから」
ゼロも光の勢いを静め、結界の前に立つ。
「誰も犠牲にならない。誰も壊されない。それが俺たちの目指す未来だ!」結界の中で赤い輝きが次第に収まり、オーガストの荒ぶる力がゆっくりと落ち着いていく——。こうして——自爆の危機を光で包み込み! 命を守る選択! 物語、オーガストの心が和らぎ始める——!結界の光がゆっくりと収まり——オーガストの赤く灼けた体は、次第に本来の岩肌の色へと戻っていく。全身を襲っていた猛烈な熱も消え、静かな温度が部屋に戻る。
オーガストは自分の両手を見つめ、信じられないといった面持ちで呟く。
「俺の熱が……!? 発動させたら死ぬはずなのに……生きているというのか」自分が無事であることを確かめるように体に触れ、息を整える。自爆の覚悟を決めた身には、それが奇跡のように感じられる。アルカは結界を解き、柔らかく告げる。
「死ぬ必要なんてなかったんです。あなたの命は、誰かのために捨てるものじゃない」ゼロも力を静め、真っ直ぐに続ける。
「守りたいと願う心は、自分自身を壊すことで叶うものじゃない。生きて、笑って、その姿こそが何よりの答えだ」オーガストは大きな体を小さくし、瞳に涙を浮かべる。
「生きている……俺は、生きているのか……」長い間自分の命を軽んじ、捨てることばかり考えてきた彼にとって、その事実はあまりにも温かく、胸に染みる——。こうして——命が救われた瞬間! 生きているという奇跡! 物語、オーガストの心が初めて希望に輝く——!オーガストは深く息を吐き、力が抜けたように肩を落とし、静かに認める。
「フッ、俺の負けだ。先に進め!」大きな手で扉の先を示し、真摯な瞳で続ける。
「そして、止めてくれ! ドネイターの暴走を!」長年信じ従ってきた相手だが、今やその行き先に滅びしか見えないことを悟ったのだ。ゼロは頷き、力強く応える。
「ああ、必ず。君の想いも預かった。全てを正しくする」アルカも優しく告げる。
「待っていてください。終わったら、また話をしましょう。あなたが生きる道を、一緒に探します」オーガストは初めて穏やかな笑みを浮かべ、二人の背中を見送る。
「気をつけて……」二人は扉をくぐり、聖堂の最深部へと歩を進める——。こうして——オーガストが託す願い! 最後の戦い、いざ決戦の地へ! 物語、最終章が幕を開ける——!




