EPISODE6-15【吸血鬼】
血のように濃く、紅い光に包まれた廊下——。アザミ、リジェ、シャウト、アネモネの四人が、足を進めていた。壁も床も赤く染まり、どこか甘く、それでいて鋭い気配が漂ってくる。リジェが先の扉を見据え、低く告げる。
「この先に鈴丸がいるな」アザミは手元の刀の柄に指をかけ、瞳を鋭くする。
「吸血鬼……と聞いてる。油断は禁物だ。力も強く、常識の通じない相手かもしれない」シャウトは拳を握りしめ、力強く頷く。
「だが俺たちは倒しに来たんじゃない。話を聞き、心を解きに来たんだ」
アネモネも柔らかく、だがしっかりと応える。
「紅い色に飲まれないように——私たちは真っ直ぐ向き合おう」四人は同時に一歩を踏み出す。赤い気配が一層濃くなり、扉の向こうから、静かな呼吸のようなものが伝わってくる——。こうして、紅き気配漂う道! 吸血鬼・鈴丸との対峙! 物語、新たな扉が開かれる——!赤い光に導かれ、四人が扉を押し開く——。そこには鈴丸が佇んでいた。床には茨が数本生え、そのあちこちにはまるで血のような染みが浮かんでいる。壁も天井も洋風の重厚なたたずまいで、どこか古く、静かな夜の気配に包まれた空間だ。鈴丸はじっと四人を見据え、紅い瞳を細め、古風な口調で告げる。
「ほお、吸血鬼とその因子を入れられしものたちが来たでゴザルか」アザミは刀の柄から手を離し、一歩前に出る。
「吸血鬼……それがあなた自身であり、俺たちの中にもその血が受け継がれているということか」リジェは真っ直ぐに応える。
「恐れに来たんじゃない。同じものを抱える者同士、話がしたくて来た」
シャウトは拳を緩め、静かに続ける。
「力で封じるのではなく、心を聞かせてほしい——あなたが何を想い、何を守ろうとしているのか」アネモネも柔らかく頷く。
「同じ痛みを知っているからこそ、分かり合えることがきっとあるはず」
鈴丸は口元をわずかに歪め、笑みためくように言う。
「同じもの……か。ならばなおさ、その身に刻まれしものの重さを、知っているであろうな」茨がそよぎ、血痕が鈍く光る——。こうして——吸血鬼の真の姿! 紅き瞳が四人を捉える! 物語、鈴丸との対話が始まる——!重厚な空間に、鈴丸の語る過去が静かに響き渡る——。
「私は元々は日本に生まれたものである、そこで吸血鬼になった」紅い瞳に遠い日の景色が浮かぶ。
「だが、その後も私は人々を守ろうと思った。その最中、侍ってものを知った。その気高き魂や言い伝えに共感を得た。ヒトは守り合うからこそ尊いと思った」真っ直ぐに信じ続けた心——誰かのために剣を振るう姿に、自らの生きる意味を重ねていた。
「だが、ある日、ストレンジ・プレデターが私の故郷に来た。手引きしたのはそこの長だった」声が震え、拳が強く握り締められる。信じていた者に裏切られた痛みが、鮮明に蘇る。
「そして思った、人間は簡単に裏切る。そんな奴がいていいのかと思うようになった。そして、ドネイター様についたのでゴザル」長い間抱え続けた絶望と諦め——それが今、言葉となって零れ落ちる。アザミは刀を納め、静かに告げる。
「裏切られた痛み、それは計り知れない。だけど……一人の者の裏切りが、全ての人間の答えじゃない」リジェも真剣な面持ちで続ける。
「侍の心、守り合う尊さ——それを信じていた鈴丸だからこそ、裏切りが余計に辛かったんだな。その想いは嘘じゃなかったはずだ」シャウトは力強く頷く。
「故郷を、人を信じて守ろうとした君の心は、決して無駄じゃない」アネモネも柔らかく言葉を紡ぐ。
「ドネイター様についたのは、心の拠り所を求めたから……だよね。でも、その想いを他の誰かに向けることも、きっとできる」鈴丸は瞳を伏せ、茨の生える床を見つめる。
「……本当に、そうなのか」こうして——守ろうとした故郷での裏切り! 信じる心が砕かれた瞬間! 物語、鈴丸の心に問いかける——!アザミが一歩前に踏み出し、鋭く真っ直ぐな視線を鈴丸に向けて力強く言う。
「お前、レイトのパワーアップに一役買ったんだろう。赤き黄金の目の覚醒ってのを」空間が一瞬張り詰め、鈴丸の紅い瞳がわずかに揺れる。
「お前自身はその高みを自身で目指そうと思えば一人でできたはず。だが、それをしなかった——賭けたんだろう」その言葉は、表面的な出来事の向こうにある鈴丸の真の想いを捉えている。独りで頂点に立つ道を選ばず、誰かに託し、未来を委ねることを選んだ——その心を見抜いている。鈴丸は口を閉じ、視線をそらしかける。だがアザミは続ける。
「自分が目指したかった『守る力』を、レイトに託した。その想いは、自分が信じ続けた『人を守り合う尊さ』と同じじゃないのか」リジェが静かに頷き加える。
「独りでは辿り着けない場所がある。だからこそ、想いを託し、共に歩む——それが本当の強さだよ」シャウトも力強く応える。
「賭けたんだ。レイトという未来に。その選択は、決して間違ってない」アネモネが柔らかく言葉を紡ぐ。
「その想いを、自分自身のためにも使ってみませんか。鈴丸さんが望む未来を、一緒に創りましょう」鈴丸は胸の奥に眠っていた想いが呼び起こされるように、拳を緩め——。
こうして——託された想いの真実! 赤き黄金の目に込められた願い! 物語、鈴丸の心が答えを探し始める——!鈴丸は瞳を伏せ、苦しそうに呟く。
「だが、ドネイター様を裏切るわけには…」長年拠り所としてきた存在を、今更離れることなどできない——そう思い詰めるように。リジェは真っ直ぐに問いかける。
「よく考えてみなよ。人間やそれに与する亜人を全員滅ぼしても解決するの?」言葉一つひとつが心に響くように、ゆっくりと続ける。
「亜人や亜人間同士でもいざこざはあるんだよ。それこそ人間と同じ以上にだよ」鈴丸ははっととする。自分の中にも、同族との確執や葛藤があったことを思い出す。
「ドネイターのやり口はただの差別の助長だよ」その一言が、鈴丸の心に刺さる。
「憎しみで分断し、排除する——それでは結局、君がかつて憎んだものと同じことを繰り返すだけだ」アザミが力強く補う。
「守りたいと願った心が、そのままでいいはずがない。君が信じた『守り合う尊さ』は、そんなところにはない」シャウトも静かに頷く。
「誰かを滅ぼすことで得られる平和なんて、本物じゃない。君が本当に望むのは、そんなものじゃないだろう」
アネモネが柔らかく手を差し伸べる。
「一緒に来て。鈴丸さんが本当に心から笑える未来を、私たちと一緒に探しませんか」鈴丸は胸が締め付けられるように苦しみながら、差し伸べられた手を見つめる。長い間の信念が、少しずつ揺らぎ始めている——。こうして——差別を繰り返すだけの道! 本当の平和とは何か! 物語、鈴丸の心が決断と揺らぐ——!鈴丸はゆっくりと刀を鞘に収め、金属の軽やかな音が空間に響く。その姿は、戦う意思を収めた証——。
「確かにお主らの言う通りでゴザルな」認めたくない想いが胸を占め、瞳は苦しそうに揺れる。
「だが、私は共存派を手にかけてきたでゴザル。今更……」自分の手の汚れが、過去の行いが、誰かの隣に並ぶ資格すら奪っているように感じられる。
アザミは真っ直ぐに応える。
「過ちを犯したからこそ、それを止める道を選ぶことができる。戻れない時間は悔やんでも、これからの時間は選べる」リジェが続ける。
「手にかけてしまった命は戻らない。だけど、その分、これから出会う命を守ることはできる。償い方は一つじゃない」シャウトは力強く頷く。
「誰も最初から完璧じゃない。間違えて、傷つけて、それでも前を向く——それが生きるということだ」アネモネが柔らかく手を差し伸べる。
「今からでも遅くない。鈴丸さんが本当に望む未来へ、一緒に歩き始めましょう」鈴丸は差し伸べられた手を見つめ、長い間握り締めていた拳をゆっくりと解く。
「……今からでも、変われるでゴザルか」
「ああ、必ず」四人の声が一つになって応える。こうして——過ちを背負っても踏み出す一歩! 救いの道は今から始まる! 物語、鈴丸が新たな決意を抱く——!鈴丸が決意を新たにしたその時——、空間の端から光の筋が走り、ノバラが姿を現す。
「アザミ様、敵の援軍が来るのを確認しました」緊張を含んだ声で報告が続く。
「回復と支援部隊です。なお、その敵部隊に対処しているのはエルカーノスです」
アザミは眉を上げ、即座に状況を把握する。
「エルカーノス……か。相手の援軍を阻むとは、なかなか手堅い」
リジェは前に進み出て問う。
「敵の戦力規模は?」
「部隊の数は多くはありません。ですがエルカーノスの力が強力で、相手の動きを封じています」ノバラは状況を伝える。シャウトは拳を握りしめる。
「援軍が来れば心強い。だが今は、こにいる俺たちで決着をつけるしかない」アネモネは鈴丸に視線を向ける。
「鈴丸さん、あなたの力が必要です。共に戦っていただけますか?」鈴丸は刀の柄に手を置き、瞳に決意を宿して頷く。
「……承知いたした。この刀で、今度は誰かを守るために振るうでゴザル!」こうして——援軍到来の知らせ! 対処するエルカーノス! 物語、鈴丸が仲間と共に立ち上がる——!聖堂の最深部、厳かな光が揺らめく中——ドネイターは状況を把握し、思わず呟くように告げる。
「まさか、鈴丸まで衆生解放戦線を抜けるとは…」予測していなかった離脱に、動揺がわずかに滲む。
「陣は無事。残るはオーガストとゼロトキ、そして、ボクのみか…」手元のブローチは依然として安定した輝きを保っている——形だけの結界はまだ崩れていない。だが幹部たちの心が次々と離れ、今や本当の意味で共に在る者は三人だけとなった。ゼロトキが静かに応える。
「形は保たれていても、心が伴わぬ陣など、いずれ脆く崩れるものです」ドネイターは唇を噛み、天井を見上げる。
「ああ……だが儀式は続いている。最後の一人、オーガストの選択が、全ての行き先を決める」空気が一層張り詰め——扉の向こうでは、オーガストと対峙するゼロたちが、今まさに決着の時を迎えようとしている。こうして——次々と心が離れて! 残された最後の陣! 物語、オーガストとの決戦が迫る——!




