EPISODE6-14【VSアハト】
ストロフィアのもとを後にした二人とは別の道——。重く、だがどこか温かみのある気配に包まれた廊下を、陸郎と那奈が並んで進んでいた。
「アハトの陣……だな」那奈は少し緊張した面持ちで、先の扉を見つめる。
「ああ」陸郎は真剣な瞳で頷く。
「幹部の一人、アハト。何を想い、何を守ろうとしているのか——しっかりと話を聞くんだ」
「力で従わせるんじゃないよね」
「ああ。相手の心に寄り添うんだ。俺たちにしかできないことが、きっとある」二人は互いに頷き合い、重厚な扉の前に立つ。手を添え、ゆっくりと押し開く——。こうして——新たな扉が開かれる! 陸郎と那奈、二人の決意! 物語、アハトとの対峙が始まる——!扉を開くと、そこはまるで別世界——。足元一面にヒマワリ畑が広がり、黄金色の花が風にそよぎ、太陽のような明るさに満ちている。だが両側の壁面には整然と骨が並び、冷たく厳かな雰囲気が花畑の温もりと対照的に浮かび上がる。そして天井は宇宙そのもの——深い闇に星がきらめき、青く白く、果てしない空間が広がっている。その中心に、静かに佇むアハトの姿があった。元はストレンジ・プレデター出身——かつて陸郎と那奈と共に幾多の現場を駆け巡り、行動を共にした仲間でもある。
「アハトくん……」那奈は思わず一歩前に出る。声が震える。陸郎も瞳を細め、懐かしさと切なさが入り混じった面持ちで見つめる。
「まさか、お前が幹部にいるなんて……」アハトはゆっくりと振り返る。かつて共に笑い、共に闘ったその顔は、今はどこか遠くを見つめるような瞳になっている。
「ゼクス……ズィーベン……よく来た」
声は記憶の中のものと同じなのに、その響きはどこか冷たく、重い。
「話がしたくて来た」陸郎は真っ直ぐに告げる。
「お前が今、何を想い、何のためにここにいるのか——ちゃんと聞かせてくれ」ヒマワリが風に揺れ、骨たちは音もなく佇み、星たちは静かに二人を見守る——。こうして——かつての仲間との再会! 花と骨と宇宙の空間! 物語、アハトとの心の対話が始まる——!ヒマワリが風に揺れる中、那奈が真っ直ぐ前に出て、力強く呼びかける。
「もうやめようよ、衆生解放戦線に所属するのは」アハトは瞳を沈ませ、はっきりと返す。
「ボクは不幸な顔を見たいんだよ」言葉の一つひとつに、長年の痛みが滲む。
「人間やそれに与した亜人は、ボクたち実験体を使って幸せな顔をする。だから——不幸な顔を見れればいいんだ」那奈は胸を突かれるように拳を握りしめる。
「それは……アハト自身が一番傷ついてる証拠だよ。自分が味わった痛みを、同じように返そうとしてるだけじゃない」陸郎も一歩前に進み、静かに応える。
「利用され、犠牲にされてきた。その怒りも悲しみも、全部本当だ。だけど人の不幸を見ても、アハトの心は癒されない」アハトは肩を震わせ、視線をそらす。
「じゃあどうすればいいんだ? 幸せになる資格なんて、ボクにはない……」
「そんなことない」那奈は優しく、だが強く言う。
「アハト自身が幸せになっていいんだよ。誰かの幸せを奪うんじゃなく、自分の幸せを探してもいい」ヒマワリがゆっくりと頷くように揺れ、天井の星が瞬く——。こうして——痛みを怒りに変える前に! 自分自身の幸せを探して! 物語、アハトの心が答えを探し始める——!ヒマワリの葉擦れが響く中、アハトは声を震わせながら続ける。
「それにボクは君たちと一緒にはいられないんだよ。いや、いてはいけないんだ…、君たちまで不幸にするわけには行かないんだ」自分が傍にいるだけで大切な人たちを傷つけてしまう——そう怯え、自らを遠ざけようとするその姿に、陸郎は胸が熱くなる。陸郎は真っ直ぐに瞳を見つめ、力強く応える。
「僕達を不幸にしたくないか。やっと本心聞けたよ。お前、全然話してくれなかったから」一歩近づき、その想いを受け止めるように言葉を紡ぐ。
「混因人が幸せにいられることが、お前の一番の願いなんだな」アハトは息を呑み、瞳を潤ませる。
「……どうして分かるんだ? 誰にも言ってなかったのに」
「お前の言葉の端々に、その想いが滲んでいたからだ」陸郎は優しく告げる。
「人間にも亜人にも属しきれない苦しみ、それでも自分と同じ立場の者たちが笑っていられる世界を——ずっと願っていたんだろう」那奈も静かに頷き、手を差し伸べる。
「アハトくんが不幸になることなんて願ってない。一緒に幸せになりたい。だから一緒に来て」アハトは唇を噛み締め、溢れる涙をこらえながら、差し伸べられた手に指を伸ばしかける——。こうして——自分を責める心の奥にある真実! 仲間が見つめ続けてくれた願い! 物語、アハトの心が救われ始める——!ヒマワリが揺れる中、陸郎は一歩踏み出し、アハトの瞳をまっすぐに捉えて力強く告げる。
「大丈夫だ、僕達は不幸になんかならない」揺るぎない響きが空間に満ちる。
「だが、その幸せは人間達とも分かち合えたいんだ。そうでないと——僕達は本当の意味で幸せになれない」アハトは肩を震わせ、手を強く握り締める。
「……人間と? ボクたちを利用してきた連中と、同じ幸せを?」
「憎しみで閉じた世界じゃなく、全員が笑い合える世界を目指したい」陸郎は優しく、だがはっきりと続ける。
「混因人だけが幸せになる未来じゃない。人間も亜人も——みんなが手を繋いで生きられる。それが本当の幸せだと思うから」那奈も頷き、そっと手を添える。
「アハトが願うのも、きっとそういう世界だよね。誰もが安心して笑っていられる場所——」アハトは嗚咽を堪えるように唇を噛み、溢れる想いが瞳から零れ落ちる。長い間心に描いていた願いが、仲間の言葉で形になっていく——。こうして——分かち合う幸せこそが真実! 共に築く未来への誓い! 物語、アハトの心が希望に輝き始める——!ヒマワリの花びらがそっと舞う中、那奈は一歩踏み込み、腕を広げてアハトを優しく抱きしめる。アハトはその温もりに包まれ、思わず口をついて出た名は——。
「ズィーベン…」長い間自分を縛り続けてきた、与えられただけの番号。那奈はそっと背中を撫でながら、耳元で柔らかく告げる。
「私のことは菜那って呼んで」そして、彼の胸元に額を寄せ、真っ直ぐに続ける。
「それに君のことも本当の名前で呼びたい。蓮って名前でしょ」その一言に、アハト——いや蓮は全身が震える。長い間封じ込め、誰にも名乗ることのなかったその名が、今、大切な人の口から響いた。
「蓮……」菜那はもう一度、その名を心を込めて呼ぶ。
「これからは蓮って呼ぶね。君が君でいるために」蓮は腕の中で声を上げて泣き崩れる。
「菜那……菜那……」番号でも仮の名でもない——自分自身として、初めて受け入れられた瞬間。
「うん、いつでも」菜那は強く抱きしめ返す。
「さあ、蓮。一緒に行こう」こうして——本当の名を取り戻す時! 菜那と蓮、心が通じ合う瞬間! 物語、新たな絆が生まれる——!ヒマワリの花々が優しく風になびく中、蓮は涙をぬぐって陸郎に視線を向け、静かに問いかける。
「ねえ、陸郎、君たちには新しい仲間がいるんだよね」陸郎は柔らかく頷き、答える。
「そうだ。クロノギアという何でも屋をやってる」 蓮は少し考えるように眉を寄せ、続ける。
「何でも屋か。だけど、その人たちがここまで来てするとは、よほど大がかりな依頼かな」陸郎は真剣な面持ちで応える。
「依頼じゃないよ。誰かのために、世界のために、自分たちの手で未来を変えたい——そう願って集まった人たちなんだ」菜那もそっと補う。
「力を合わせて、誰もが笑って暮らせる世界を創ろうとしてるの。それがクロノギアの想いだよ」蓮は瞳を細め、二人の言葉を噛み締めるように聞いている。
「……依頼じゃなく、自らの意志で?」
「そうだ」陸郎は力強く頷く。
「だからこそ、お前の心にも真摯に向き合ってくれる。みんな、蓮を仲間として迎えたがってる」蓮は胸に手を当て、少しだけ笑顔を浮かべる。
「そう……なら、僕もその人たちに会ってみたいな」こうして——クロノギアの想いを知って! 未来への一歩を踏み出す覚悟! 物語、蓮が新たな仲間たちのもとへ向かう——!聖堂へと続く光り輝く廊下——。クロノレイトが仲間たちを見回し、確かめるように告げる。
「カグラたちは合流した。残るは陸郎たち、リジェたち、ゼロたちだ」
その声が響いた直後、廊下の先から足音が聞こえてくる。
「お待たせ!」明るい声と共に、陸郎、那奈、そして蓮が姿を現す。
「陸郎! 那奈!」クロノレイトは瞳を輝かせる。
「それに……この人が?」陸郎は隣に佇む蓮を優しく前に出す。
「紹介する。アハト——いや、蓮だ。共に歩んでくれることになった」蓮は少し緊張した面持ちで、だが真っ直ぐに皆を見つめる。
「はじめまして……蓮です。菜那たちから話を聞いて、僕も一緒に戦いたいと思って」カグラが笑顔で手を差し伸べる。
「ようこそ! ストロフィアも加わって、ますます心強くなるね」
「ありがとうございます」蓮は少し頬を染め、差し伸べられた手をそっと握る。クロノレイトは頷き、先へと目を向ける。
「残るはリジェたち、ゼロたち……全員揃った時、最終決戦が始まる」こうして——陸郎たち合流! 蓮が新たな仲間に! 物語、聖堂での決戦に向けて——!聖堂の最深部、厳かな光の中で——ドネイターが気配を感じ取り、静かに呟く。
「ストロフィアとアハトを味方につけたか」その事実を認めながらも、瞳に動揺はない。
「だが、陣は無事だ」手の中のブローチが冷たく光り、空間全体の結界が依然として安定していることを示している。ゼロトキが傍らで応える。
「心が離れても、形だけは保たれているということですか」
「ああ」ドネイターは天井を見上げる。
「彼らの想いが陣を支える力にならなくなった今、時間の問題だ。だが儀式の核心部分は別にある——」
「ならば残りの組の行方は?」
「鈴丸、オーガスト……彼らの選択が最後の鍵となる」ドネイターは厳かに告げる。
「全ての答えが出るその時、真の決戦が始まる」こうして——心は傾いても陣は健在! 儀式の核心が明らかに! 物語、最終決戦の時が迫る——!




