↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/169

EPISODE6-13【有翼の堕天使】

チェイモンの部屋とは別の、風をはらむような白い光の筋が続く廊下——。カグラとデュークが、並んで歩みを進めていた。周囲の空気はどこか冷たく、だが澄んでいる。先へ進むほどに、はばたく羽根のような気配がふわりと漂い、高く広い空へと続いているような感覚に包まれる。

「ストロフィアのもとへ向かうんだな」デュークが低く確かめるように言う。カグラは紅い瞳を廊下の先に向け、真剣な面持ちで頷く。

「ああ。有翼の堕天使——と聞いている。何らかの理由で天を追われ、心に傷を負ったままいるのだろう」

「力は強大だと聞く」デュークは手にした剣に指を添える。

「だが、力で従わせるのが目的じゃない。心を解きほぐすのが我々の役目だ」

「そうだ」カグラは身に纏う気を静かに調える。

「彼女が何を怒り、何を悲しんでいるのか——まずは話を聞くことから始めよう」二人は一歩一歩、確かに前へ進む。光の先には、蒼く澄んだ空が広がり、その中心に翼をたたずませたストロフィアが待っている——。こうして——有翼の気配漂う道! カグラとデューク、二人の決意! 物語、ストロフィアとの対峙が始まる——!白く柔らかな扉を開くと、そこはまるで天空へと続くような空間——。足元は雲の上に立っているかのようにふわりとした感触で、純白の霧がゆっくりと流れている。天井は夕焼け色に染まり、オレンジから紅へと優しく色を変えながら、柔らかな光が部屋全体を包んでいる。そして天井の中央には、静かに佇む鐘が吊り下げられている。まだ一度も鳴らされていないのか、その鐘身は澄んだ黄金色に輝き、どこか厳かで——同時に寂しげな雰囲気を纏っている。その空間の中心、赤い翼を畳んでストロフィアが佇んでいた。夕暮れの光が彼女の赤色の髪と翼に映え、その姿はまさに天上の者のよう。だがその瞳には、晴れることのない憂いが沈んでいる。カグラとデュークは雲の上をゆっくりと歩み出る。足音さえも吸い込まれるような静けさの中、真っ直ぐに彼女へと向かう。

「ストロフィア……」カグラが穏やかな声で呼びかける。ストロフィアはゆっくりと振り返り、翼をわずかに動かす。

「よく来た……人間たちよ。この空の下で、何を求めに来た」デュークは剣の柄から手を離し、前に進み出る。

「戦いに来たのではない。あなたの心に、何が響いているのか——聞かせてほしい」こうして——雲上の夕焼け空! 鐘の音はまだ響かず! 物語、堕天使の心に触れる時——!雲の流れがゆっくりと止まり、夕焼けの色が一層深まる中——ストロフィアは静かに、だが重い言葉を紡ぎ始める。

「我は元々は神の候補だった。そう、共存発展派閥のな」翼をわずかに震わせ、遠い日の記憶を辿るように続ける。

「だが、人間たちの醜い争いを見て思った。そんな奴らのために神になるくらいなら、なれなくていい」声には絶望と軽蔑が混ざり、雲の底に沈むように響く。

「人間やそれに与する亜人は滅ぶべきだと思った」カグラは紅い瞳を穏やかに保ち、真正面から受け止める。

「それほどまでに、深く絶望したんだな。信じていたものが壊れるのは、どれほど辛かったことか」デュークも剣を持つ手を下ろし、静かに応える。

「争いは確かに醜い。だが、それが『全て』ではない。一部の者の過ちが、すべての命を否定する理由にはならない」ストロフィアは翼を広げ、風を巻き起こすように叫ぶ。

「何度も見てきた! 欲に狂い、裏切り、傷つけ合う姿を! それでもまだ『一部』だと言うのか!?」カグラは揺るがず、一歩前へ進む。

「何度見ても、変わらないと決めつけているのは——君自身かもしれない。変わろうとする者、手を取り合おうとする者も、ちゃんといる」鐘が微かに鳴るような風が通り過ぎる——ストロフィアの瞳が、わずかに揺らぐ。こうして——神の道を拒んだ理由! 滅びを願う絶望! 物語、堕天使の心に問いかける——!ストロフィアは翼を強くはばたかせ、声を尖らせて叫ぶ。

「脳内お花畑のお前らと御託を交わしても無意味!」そう吐き捨てると同時に、手にした剣を高く掲げ——。キラッ! と剣先が輝き、水、炎、風——三つの属性の力が一気に解き放たれ、渦を巻きながらカグラとデュークに襲いかかる!

「っ! くらえ!」カグラは素早く身を翻し、水の帯を躱しつつ風の刃を受け流す。

「力で封じようというのか!」デュークは盾を構え、炎の玉を弾き返す。

「だが心までは閉じ込められない!」三つの力が雲の床を砕き、夕焼けの空を裂くように轟く。だが二人は退かない。攻撃を躱し、受け流し、それでも真っ直ぐストロフィアを見据え続ける。

「話すら聞かずに力で抑え込む——それこそ君が嫌った姿と同じではないか!」カグラの声が轟音の中を貫く。ストロフィアは剣を振りかぶり、再び力を溜める。瞳には怒りと焦りが入り混じり——鐘が風に鳴り、微かな音が空間に響く。こうして——三属性の一撃! 言葉を拒んで振り下ろす剣! 物語、心の嵐が吹き荒れる——!「消えろ!」ストロフィアが渾身の力を込めて剣を振り抜くと——剣先から闇の玉と光の玉が同時に生まれ、一つに重なりながらまっすぐ襲いかかる!白と漆黒が混ざり合い、周囲の雲を飲み込み、夕焼けの空を一瞬で曇らせるほどの勢い——。

「っ! 二つの極みたいな力……!」カグラは身構え、紅い瞳を凝らす。

「受け止めるぞ!」デュークは盾を高く掲げ、二人で一歩も退かずに迎え撃つ。衝突の瞬間——ドゴォォン! と衝撃が雲の床を揺らし、鐘が大きく鳴り響く!だが力に屈することなく、二人は踏みとどまる。

「消しても何も変わらない!」カグラの声が轟音を突き破る。

「闇も光も——君自身の心が分かれている証拠だ! それを壊そうとするなんて、自分を傷つけているのと同じだ!」ストロフィアは剣を構えたまま息を呑み、瞳が大きく揺らぐ——。こうして——闇と光の一撃! 心の分裂が力となる時! 物語、ストロフィアの本当の姿が現れる——!衝撃が収まらぬ中、ストロフィアは剣を強く握り締め、声を震わせながらも叫ぶ。

「自身がいくら傷つこうが構わない!」瞳には決意と絶望がないまぜになり、自らを顧みぬ覚悟が迸る。

「それで罪なる存在を消すことにつながるなら、いくらでも自身を犠牲にしてやる!」その言葉には、自分の痛みなど取るに足らない——そう言い切るような強さと同時に、深い諦めが滲んでいる。長い間、誰かのために、正しいと信じるもののために、自分を後回しにし続けてきたのだ。カグラはその姿を見て、胸が締め付けられるように言う。

「それは……自分を粗末にしているだけだ。君が傷つけば、君を想う者が悲しむことを、どうか忘れないでくれ」デュークも一歩踏み出し、真っ直ぐに告げる。

「犠牲にすることが『正しさ』だと思っているのなら、それは違う。共に生きること——それこそが、本当に目指すべき道ではないのか?」ストロフィアは唇を噛み、翼を小さく震わせる。自分の身を削ることしか考えてこなかった彼女にとって、その言葉はまるで見落としていた景色を指し示されたような心地がする。

「……共に、生きる?」かすかな声が零れ落ちる。天井の鐘が、その言葉に応えるように、優しく一つ鳴り響いた——。こうして——自分を犠牲にする覚悟! それでも共に生きる道を示されて! 物語、ストロフィアの心が問いに応え始める——!夕焼けの光が揺れる中、ストロフィアは強く首を振り、叫ぶように言い返す。

「無理だ! そんなの私は身も心も罪なる存在の破滅に捧げた!」胸元を強く握りしめ、譲れない決意をぶつける。

「そのため衆生解放戦線に入った! 止まったらダメなんだ!」走り続けることだけが自分の役割——立ち止まれば全てが崩れてしまう、そう信じてきたからこそ、自分自身の命さえも顧みずにいる。カグラは揺るがぬに見つめ、静かに語りかける。

「止まることが、悪いことじゃない。休まることも、自分を慈しむことも、決して罪じゃない」デュークも真っ直ぐに続ける。

「誰かを滅ぼすためだけに生きるのは、あまりにも寂しすぎる。君自身の人生を、君のために生きてもいいんだ」ストロフィアは唇を噛み締め、翼を震わせる。

「私のため……? そんな選択、許されるのか……」鐘がまた優しく鳴り、彼女の心にそっと問いかけるように響く——。こうして——走り続けることが使命だと信じて! 自分のために生きる道を示されて! 物語、ストロフィアの心が答えを探し始める——!雲の流れが静かになる中、デュークは一歩前に進み、真っ直ぐにストロフィアを見つめて力強く言う。


「お前だって本当はわかってるんだろう。発展するには人間の力が必要なのだったらさ」ストロフィアは息を詰まらせ、瞳をそらす。

「……そんなこと、認めたくない」

「認めたくなくても、心のどこかで感じているはずだ」デュークは揺るがずに続ける。

「争いだけが人間じゃない。共に築き、助け合う力も——ちゃんと持っている」カグラが優しく補う。

「あなたがかつて望んだ『共存発展』——その想いは、嘘じゃなかったはず。その心を、自分で摘まないで」

ストロフィアの翼が小さく震え、鐘が応えるように澄んだ音を響かせる。彼女の瞳から、長い間抑えていた涙がこぼれ落ちそうになる——。こうして——心の奥の真実を呼び覚ます! かつての想いが蘇る時! 物語、ストロフィアが答えに近づいていく——!夕焼けの光が彼女の翼を優しく包み込む中——ストロフィアは深く息を吸い、瞳の強張りを解き、はっきりと告げる。

「そこまで言うなら、人間を改めて信じてやるよ」長い間心に鎖をかけ、閉ざし続けた想いが、その一言でゆっくりと解き放たれる。

「全部が変わるかは分からない……それでも、もう一度見極めてみる」鐘がカランと澄んだ音を響かせ、雲の床が柔らかく輝き始める。彼女の翼から、闇の霧が晴れるように白い光が溢れ出す。カグラは微笑み、一歩近づく。

「ありがとう。共に歩もう。あなたが望んだ共存の未来を、二人で創り上げていこう」デュークも頷き、手を差し伸べる。

「我々が全力で支える。もう一人で背負い込まないでいいんだ」ストロフィアは少しだけはにかむように笑みを浮かべ、その手を取る。

「……うん。よろしくお願いする」

こうして——ついに信じる心が届く! 共に未来へ踏み出す時! 物語、ストロフィアが仲間に加わる——!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。