第十四話 試験開始
「それにしても、彼らはいいね。若く、活力があり、何よりも向上心がある」
弥弦氏は、傍らに控えている水野女史に語った。
「はい。まりさんのセンスは、類まれなものだと思いますし、璃々さんの向上心も、とても好感が持てます。そして、なにより」
「神童少年か。英傑の転生者、波乱の時代を次の時代へと進ませる次代の英雄か…… それにしても、君ほどの者がずいぶんと御執心なことだ。余程彼が気に入ったのかね?」
「はい。英傑の魂同志が惹かれあうのは必然。ただ、狼王ロボは、隣に控えたブランカに御執心の様子で、完全に一人芝居でしたわ。抱いてあげましょうか? とまで言って誘ってみたのですけどね」
「ほう! ジャンヌ ダルクのお誘いを断ってしまったのかね。きっと、後々後悔するだろうね」
「さあ、それはどうでしょうか? きっと、私などより魅力的な女性を集めてハーレムでも築いてしまいそうですわ。それに、それほど活力のある殿方を見逃すほど世の御婦人方は節穴ではないですわよ」
「ふむ」
弥弦氏は、ひとしきり考え込むと、
「それで、そろそろ頃合いかね?」
「ええ、良いタイミングかと思いますわ」
「では、始めるとしようか。彼らをまた、ここに招待してくれたまえ。詳細は任せる」
「畏まりました」
結局、あの日の言い争い以来、クラスの雰囲気は悪くなってしまった。
町派閥の連中からは、俺たち三人はほぼハブられた状態である。別に委員長が主導しているわけでもないのだが、なにしろ、俺らが入ってくると、空気が重くなる。どこかで手打ちをしなければ、俺と璃々はともかく、まりは可哀想だ。さて、どうしたものかと考えていたら、どこかで聞きつけてきたのか、さなえねぇが、怒り心頭で俺たちのクラスにやってきた。
「おいこら、ガキども! よくもあたしのかわいい♡ 神童をハブってくれたな。桜田の家に逆らうことが、どういうことか、お前たちの両親に思い知らせてやろうか? ええっ!」
ひえーっ! 乱神モードだぁぁぁっ!
委員長はじめ、クラスの全員が、こっち向いてがくぶる震えてる。
「あのー、早苗さま、ちょっと話を聞いて……」
「問答無用!」
どっかーん! と貞夫はヤスを巻き込んでロッカーの所まで吹っ飛んだ。
「ひっ!」
あーあ、かわいそうに、委員長が怯えている。町派閥の男共は、男気を示すどころか、委員長の後ろに隠れて、前に押し出してる。
「かわいそうに、あたしの神童。こんなに怯えて」
主にあなたのせいです。
「こんな所に居ることないわよ。みんな、ついてらっしゃい!」
と、言い終わる前に俺は手を引っ張られ、さなえねぇに拉致された。璃々まりも後に続くが、スピードが、ぱねぇっす。
だんだんと離された璃々まりが追いついたころには、体育倉庫の中で、俺はさなえねぇにべろちゅーを堪能されていた。
「にゃにやってんのよーーーーっ!」
「もちろん、なぐさめてんのよ。みんなもやる?」
「わーい、やるー♡」
「やるにゃーーーーっ!」
俺の自由意志は?
その夜、久々にうちに泊まっていった、さなえねぇと、まりは、水野さんが俺たちの所に招待状を持ってきたのを見て、いきなり抱き着いた。
困惑する水野さんという珍しいものをみせていただいたので、自らお茶を出して、事情を話した。
珍しく璃々が水野さんのことで出遅れたので、手持ち無沙汰に、俺の隣に座る。
今ばあちゃんは、町医者のところで、検診をうけていて留守だ。
「そうですか。予想はしていましたが、辛い思いをさせてしまい申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げる水野さんに、
「いえ、悪いのは、町長と、その孫娘よ。どうやって思い知らせてやろうかしら」
なんか、さなえねぇが悪い魔女に見えてきた。
「投資を志す者は、平和をこそ望むものです。争いのある世界では、投資はできないんですからね」
「! はい。ごめんなさい」
うわ、さなえねぇが謝った。
「では、今度の土曜日、お待ちしております。そうそう、その委員長さんもお連れしたらいかがですか? きっと、何か察していただけると思いますが」
そんなにうまくいくだろうか? と思っていると、
「うまく、いかせてくださいね。いよいよ、本当の試験を開始しますから」
試験、いよいよか。
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