ボロが出る「聖女」、崩壊する欺瞞
王宮の大聖堂は、かつての煌びやかさを失い、冷たい闇に包まれていた。
魔力供給が完全に途絶えた王都では、街灯も消え、ヘドロが溢れ、食料貯蔵庫は腐敗に蝕まれている。
ベアトリスは、人生最大の窮地に立たされていた。
「ベアトリス、一体どういうことだ! エリアを連れ戻せと命じた騎士団まで、正体不明の魔力に当てられて使い物にならなくなったそうだぞ!」
王太子アルフレッドの怒鳴り声が聖堂に響く。
ベアトリスは、宝石のような光を纏うこともできず、青ざめた顔で震えていた。
「わ、私は……っ! 精霊たちが拒絶するのです……! きっと、あの女が辺境で卑劣な呪いをかけているのよ!」
周囲の側近たちに助けを求める。
だが、かつて彼女をチヤホヤしていた高位貴族たちの目は、冷ややかだった。
彼らは、自分たちの領地が枯れ始め、資産が目減りしている現実に動揺している。
「ベアトリス様、もう言い訳は聞き飽きました。貴女が聖女なら、王都を救ってみせてください」
宰相が淡々と言い放つ。
追い詰められたベアトリスは、禁じられている『強制召喚』の魔術陣を強引に起動させた。
バチリ、と耳障りな音が響いた。
魔術陣に込められた彼女の魔力は、精霊の恩恵を受けたものではなく、ただ地脈を削るだけの破壊的なエネルギーだった。
「ひっ……!」
魔術陣が暴走し、ベアトリスの足元から黒い霧が噴き出した。
それは、彼女が今まで『光』として周囲に見せていたものの正体――『搾取の成れの果て』だった。
「嘘だろ……あんなに悍ましいものだったのか……!」
貴族たちの囁きが、聖堂に広がる。
今までベアトリスの光を「真実」だと信じ込ませていた魔法のベールが剥がれ落ち、汚泥のような魔力が露わになった。
一方、王国から遠く離れた辺境の領主邸で、私は紅茶を啜りながら、地脈を通じて流れてくる「ノイズ」を観測していた。
「……無理な搾取を続ければ、巡りの理が狂うのは必然よ」
王都の権力者たちが、自分たちが育てた『ニセモノ聖女』の正体に気づく時。
本当の破滅は、そこから始まる。
お読みいただきありがとうございます。
ついにベアトリスのメッキが剥がれ、周囲の信頼を失い始める展開でした。
王都の人々が「エリアがいかに重要だったか」を理解し始めた時、果たして王太子はどう動くのか……。
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