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第8話 271階層目の広間と、溜め込んだアイテムの使い道

地に伏し、迫り来る何本もの巨大な戦斧を前に、赤髪の女剣士はギュッと目を閉じた。


だが、いつまで経っても彼女の身に刃が振り下ろされることはなかった。


「……え?」


恐る恐る目を開けた彼女の視界に映ったのは、自分の前に立ち塞がる、見知らぬ男(俺)の背中だった。


「少し下がってな。あとは俺が片付ける」


「え……? あなた、どこから……っ、駄目です、逃げて! 数が多すぎ――」


突然目の前に現れた俺を見て、彼女が悲痛な声を上げる。

だが、俺はポケットから手を抜き、腰の漆黒の剣に手を添えた。


『ブモオオオオオッ!!』


獲物を横取りされたと勘違いしたのか、ミノタウロスやオークの群れが怒り狂って俺に群がってくる。


だが、遅い。止まって見える。


俺は鞘から剣を少しだけ抜き、そこに薄く魔力を纏わせると、ただ水平に一閃した。


放たれた『極薄の飛ぶ斬撃』は、音を置き去りにした衝撃波となってフロア全体に広がり――


ズバァァァァァァァァンッ!!!


「…………え?」


赤髪の剣士が、背後で呆然と声を漏らした。


つい数秒前まで俺たちを包囲し、咆哮を上げていた数百体の魔物たち。そのすべての『上半身』が、綺麗に水平に切断され、ドサドサと音を立てて崩れ落ちたのだ。


後には、チリ一つ残らないほどの圧倒的な静寂と、血の海だけが残された。


「ふぅ。久々の剣だったから、少し力が入りすぎたな。……怪我はないか、あんた。さっき壁に派手にぶつかってたけど」


俺が剣を鞘に納めて振り返ると、赤髪の剣士は完全に限界を迎えていたのか、糸が切れたようにその場にへたり込んでしまったのだった。


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