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第28話 白銀のエルフとの再会と、完璧な後衛候補

翌日。


俺たちは新たな仲間――後衛を担う遠距離職を探すため、バベルの冒険者ギルドへと足を運んでいた。


ギルド内は朝から多くの冒険者で賑わっていたが、依頼掲示板の前で、一際周囲の目を惹きつけている人物がいた。


白銀の髪を長く伸ばした、氷の彫刻のように美しいエルフの女性。


特徴的な長く尖った耳を持ち、腰には美しい装飾が施された細身のレイピアを佩いている。


「あれって……」


「あら? あなたたちは……確かクロウと、レイアじゃない」


振り返った彼女と目が合い、俺たちは思わず声を上げた。


以前、少しだけ縁があって言葉を交わしたことのある、Sランク冒険者であるエルフの女性――シルヴィアだった。


「シルヴィアじゃないか。あの時以来だな」


「ええ、本当に久しぶり。あの後、結局すれ違って会うことがなかったから……あなたたちも色々と大変だったんでしょう?」


シルヴィアがふわりと微笑みながら労いの言葉をかけてくる。氷のように冷涼な外見とは裏腹に、その声には温かみがあった。


「まあな。そっちも相変わらず元気そうで何よりだ」


「ふふっ、ええ。……ところで、その後ろの可愛いセツナは新しい仲間? なんだか、すごく鋭くていい気を纏っているわね」


Sランクのエルフであるシルヴィアは、一目でセツナの『Sランク級』の底知れぬ実力を見抜いたらしい。セツナもまた、シルヴィアから放たれる強者の気配を感じ取り、ピンと狼の耳を立てて小さくお辞儀をした。


「それで、今日はギルドに何のご用? あなたたちほどの実力なら、急いで依頼を受けなくても食うには困らないでしょうに」


「ああ、実は依頼というより、人探しに来たんだ」


俺は昨日、バベルの森での討伐で感じた『パーティの偏り』についてシルヴィアに説明した。


レイアの長剣と魔法、セツナの双剣、そして俺。圧倒的な突破力はあるものの、全員が近接から中距離の戦闘スタイルに偏っており、空を飛ぶ敵や遠方からの魔法攻撃への対抗策が薄いこと。


「なるほどね。前衛の壁と火力は十分すぎるほど揃っているから、安全な距離から広範囲を制圧できる魔法使いか、的確な狙撃支援ができる『生粋の遠距離職』を探している、と」


「そういうことだ。誰か、腕の立つ知り合いでもいないかと思ってな」


俺の言葉を聞いたシルヴィアは、目を丸くして少しだけキョトンとした後……くすくすと上品に笑い出した。


「ふふっ……あははっ! もう、クロウったら。遠くを探す必要なんてないじゃない」


「ん?」


「灯台下暗しよ。……あら、私、精霊魔法も弓も、両方最高レベルでいけるわよ?」


シルヴィアが腰のレイピアを軽く叩き、そして腰に提げた上質な『アイテムボックス』の魔道具から、美しい細工が施された長弓をスッと取り出してウィンクをして見せた。


この世界でも容量の限られたアイテムボックスは普及しているが、彼女が持つような大きな長弓を難なく収納できるものは、それなりの高級品だ。


「お前が……? いや、お前はSランクのソロ冒険者だろ。俺たちのパーティに入ってくれるのか?」


「最近は一人での依頼も退屈してきたところだったの。それに、あなたたちみたいな『規格外』のパーティなら、絶対に面白い冒険ができる気がするわ」


シルヴィアの提案に、レイアとセツナもパッと顔を輝かせた。


Sランクエルフの加入。これ以上ないほどの戦力アップであり、彼女なら後衛としての役割も完璧にこなせるだろう。


「……だが、パーティっていうのは連携シナジーが命だ。いくら個人の能力が高くても、実戦で息が合わなきゃ意味がない」


「ええ、その通りね。自分たちの強さに驕らない、堅実でいい判断だわ。……なら、試してみる?」


シルヴィアの氷の彫刻のような美貌に、挑戦的で楽しそうな笑みが浮かぶ。


俺はギルドの掲示板から、一枚の羊皮紙を剥がし取った。


「ちょうどいいのがある。バベル近郊の渓谷に巣食う、飛行系の魔物『ブラッド・ワイバーン(飛竜)の群れ』の討伐。ランクはBだ」


「ふふっ、後衛の対空能力をテストするにはおあつらえ向きね。いいわ、仮パーティ結成といきましょうか」


こうして俺たちは、Sランクエルフのシルヴィアを『仮パーティ』に迎え入れ、彼女の実力と連携を確かめるべく、飛竜が飛び交う渓谷の討伐依頼へと向かうのだった。


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