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第14話 情報の整理と、無限収納(アイテムボックス)の棚卸し

翌朝。


窓から差し込む外の世界の暖かな日差しと、小鳥のさえずりで俺は目を覚ました。


背中には相変わらず、雲のようにふかふかの最高級ベッド。


どうやら、15年間のサバイバルから抜け出し、ダンジョンを強行突破して街に辿り着いたのは夢ではなかったらしい。


「よく寝た……。さて、これからの生活に向けて、少し情報を整理しておくか」


俺はベッドの上に胡座をかき、昨日、酒場でレイアから聞いた話を思い返した。


まずは、この世界の『お金の価値』についてだ。


レイアの話と、酒場での食事代の相場を地球の感覚(日本円)に換算すると、だいたいこんな感じになる。


・銅貨1枚 = 約100円(串焼き1本分)

・銀貨1枚 = 約1,000円(定食1食分)

・大銀貨1枚 = 約1万円(ちょっといい宿の1泊分)

・金貨1枚 = 約10万円(駆け出し冒険者の1ヶ月の生活費)


「で、ギルド長のバルガスから買い取り金として貰ったのが……これか」


俺は【時空間魔法】の亜空間から、鈍く光るコインを1枚取り出した。


白金貨プラチナ1枚 = 金貨100枚分(約1,000万円)

それが10枚ある。つまり、昨日の数十分のやり取りで、俺は日本円にして約1億円の現金を手に入れたことになる。


「一生遊んで暮らせる」というバルガスの言葉は誇張ではなかった。無人島のジャングルで木の枝を振り回していた元社畜が、気づけば億万長者である。人生何があるかわからない。


「お金の心配は当分いらないな。次は……荷物の整理(棚卸し)だ」


俺は目の前の空間に真っ黒なポータルを開き、中に何が入っているかを脳内でリストアップしてみた。


亜空間収納は本当に便利で、「頭の中で念じる」だけで中身をカテゴリ別にソート(整理)することができる。


【カテゴリ1:サバイバル時代の資産】

・絶対禁忌領域(竜の巣)で採掘した未知の鉱石(大量)

・自分で作った石器やサバイバルツール一式

・ドラゴンを真っ二つにした『自作の漆黒の剣』

・山頂のヌシ(ドラゴン)の牙や鱗、骨などの超高級素材


【カテゴリ2:ダンジョンのドロップ品】

・最下層〜中層で狩った中ボスたちの魔石や素材(換金すればたぶん国が買えるレベル)

・最上級ポーションや万能エリクサー

・道中の宝箱で拾った宝石類や金貨

・ミノタウロスたちが持っていた巨大な戦斧などの武器(大量)


「……改めて見ると、ちょっとした軍隊の武器庫よりヤバいな」


特にダンジョンで拾ったポーション類は、レイアの反応を見る限り国宝級の代物だ。うかつに店で売れば、昨日のギルド長室の二の舞になりかねない。


「ミノタウロスの戦斧とかの『ちょっと強めの普通の武器』なら、武器屋に売っても目立たないかもしれないな。Cランクの冒険者としてのカモフラージュにもなるし」


俺は亜空間のインベントリを眺めながら、自分という人間の「資産」が可視化されていることに深い満足感を覚えていた。


ブラック企業時代、どれだけエクセルでデータを整理しても自分の手元には一銭も残らなかった。だが今は、自分が投資した時間と努力が、確実にアイテムやお金としてストックされている。この「積み重ね」の感覚がたまらなく心地よかった。


「よし。現状の把握は完璧だ」


亜空間のポータルをパチンと閉じ、俺はベッドから立ち上がった。


最高級の宿屋のサービスは文句のつけようがないが、やはり俺はサバイバル生活が長かったせいか、「自分の城(拠点)」が欲しくなってくる。


「今日は街をぶらつきながら、不動産屋でも探してみるか」


神話級の万能服アビス・クロークを清潔感のあるカジュアルな街着へと変化させ、俺は億万長者の余裕を胸に、バベルの街へと繰り出すのだった。


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