威厳のある父、アルベリック・アーケイン
「あのソニアさん、アルえんとエレにゃんはどう思う?」
謁見室からソニア達が去った後、アルベリックはアルエとエレナに考えを聞く。先程のような高圧的な雰囲気はなかった。
「そうねぇ、初めはどこにでもいる学生だと思ったけど……急に別人かと思うくらいの大きな魔力を感じましたわ」
アルエが、頬に手を当て思い出すような仕草で言う。
「あははっ、ものの言い方は知らないようだけど、とても不思議な子だったね。そしてあの魔力だ。セラに勝ったのは本当だと思うな」
2人の話し方も家族のそれで、思った事を素直に伝えている。アルベリックは、一呼吸を置いて2人に自分の考えを伝える。
「今回、セラたんを討伐に呼んだのは、あのソニアさんの魔力を期待したからだ。あの子はプライドが人一倍高く、そして可愛い。もしも、ソニアさんだけに討伐をお願いしたら、あの子はさぞ傷付き、更に可愛く頑張ってしまうだろう。だが、今回はセラたんとクララさんには危険すぎる。後方の野営地で待機していてもらう」
「団長2人でも、まだ力が足りないのですね」
アルエは、覚悟して父親に尋ねる。
アルエとエレナは、黙ってアルベリックの答えを待つ。
「アルえんとエレにゃん」
アルベリックは、2人の眼を見る。そこには、アルエとエレナに対する期待と不安が感じられる優しく強い眼だ。
「ドラゴンタイプだ。2人には、ソニアさんと一緒にドラゴンタイプの討伐をお願いしたい。もしも、ソニアさんの見立てを誤っていたり、ドラゴンタイプが手に追える物で無かったりしたら、直ぐに撤退して欲しい。信じていない訳ではない。ただ、お前達を失いたくはないのだ。国の宰相として……父親として」
沈黙の後、突如アルエが膝をつく。
「宰相アルベリック、私、第三騎士団団長アルエ・アーケインは必ずドラゴンタイプを討伐して貴下の元へ戻って参ります」
その声からは、強い信頼の意思を感じる。
「第四騎士団エレナ・アーケインも、必ず戻って参ります」
エレナも膝をつき決意を表す。アルベリックは2人の元へ行き、優しく2人を抱擁する。2人は安堵とも決意とも言える顔を見せる。アルベリックは2人を起こして、両手で2人の頭を撫でて言う。
「2人とも…………まじ天使」
アルベリックは、目頭を押さえて感極まる。
膝を付いた2人は呆れ顔になり、父親に気を許した自分達を責めた。




