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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第95話:その覇王は空白の記憶を宿す直感に賭ける。~空を統べる比翼の竜騎士の誕生~

【前回までのあらすじ】

 水の都で連邦議長ディネルースと対峙したマクマリス。連邦の最高機密『水竜レヴィアタン』の存在を知っていたことで本気の殺気を向けられるが、「未来の記憶」を逆手にとった見事なハッタリでピンチを脱出。ついに深海への道筋を作る『海割り』の大役を引き受けさせることに成功する!


 さらに、有能な秘書官ララノアへ甘すぎる不意打ちで見事なタラシっぷりを発揮した魔王は、次なる目的のため、覇王アンドレアが統べる『帝国』へと向かう。


 殺人級の負荷を誇る強化外骨格『ギガント・ギア』の搭乗者として、彼が目を付けたのは異常な肉体強度「金剛体」を持つ帝国四天王・ウルスヌスだった――!

 帝都、アンドレア城の重厚な執務室。

 マクマリスは、巨大なマホガニーの机越しに、書類に目を通している覇王アンドレアと対峙していた。


「……ウルスヌスを『ギガント・ギア』の装着者に指名したいだと?」

 アンドレアは羽ペンを置き、眉をひそめた。

「なんだ、その『ギガント・ギア』というのは」


「休戦協定の会談で、ドワーフのヘギルが『魔導鎧(パワードスーツ)』として説明していた無骨なプレートアーマーのことだ。ヘギルがテンションに任せて、土壇場で名前を変えたんだ」

 マクマリスが肩をすくめて答える。


魔導鎧(パワードスーツ)か……。確か、ウルスヌスが名前に興奮して食いついていたやつだな」


「ああ、食いついていた印象はある。……ヘギルとララノアが共同で試作機を完成させたんだが、いかんせん出力が高すぎてな。生半可な肉体では、鎧の動きに振り回されて装着者の筋繊維(きんせんい)が断裂するリスクを抱えた、じゃじゃ馬な代物だ」


 アンドレアは喉の奥で「クックッ」と笑った。

「とんでもない物を作ったな、あのドワーフは。だから、異常な肉体強度を誇るウルスヌスというわけか」


「私が知る限り、この大陸で一番強靭な体をしているのは彼だ。彼特有の『金剛体』ならば、その負荷に耐えきり、鎧の性能を百パーセント引き出せる」


「確かにな……」

 アンドレアは顎をさすり、少しだけ表情を曇らせた。

「だが、あいつは帝国四天王であり、ドラゴンライダーだぞ? 敵に飛行型がいる以上、奴の相棒である地竜リントヴルムは貴重な航空戦力だ。奴を地上に降ろして、その戦力を失うわけにはいかない」


「大丈夫だ」

 マクマリスは自信に満ちた声で断言した。

「リントヴルムは、ロイが操る」


「は?」

 アンドレアが呆れたような声を出した。

「馬鹿を言え。できるわけないだろう。ドラゴンは誇り高い生き物だ。魂の色を認め、契約した者以外には決して従わない」


「私もそう思っていた。だが、ロイにはできるのだ」

「未来の記憶というやつか?」


「かもしれないが……正直、私にも分からない。前回の戦いでは、ロイにそのような能力はなかったしな」

 マクマリスは、自身の中に芽生えた不可解な感覚に戸惑うように、視線を落とした。


「では、なぜできると言い切れる?」

「本当に、自分でもよく分からないのだ……。しかし、なぜか『彼ならできる』と、強く感じている自分がいる」


「おいおい、魔王」

 アンドレアが深くため息をついた。

「お前、自分の言ってることが分かっているのか? まるっきり説得力がないぞ」


「私は……今回が『三度目』の戦いだと、あの白竜シャヴォンヌから聞かされた」

 マクマリスの言葉に、アンドレアの目が鋭く光った。

「お前は奴らに、二回負けていると言うのか?」


「記憶がないのだ。一番最初の戦い……『0周目』の記憶が。だが、私が覚えていない最初の戦いを、(ことわり)の外にいるシャヴォンヌだけは知っている」


「……シャヴォンヌが他の世界の自分と記憶を共有していることは、カーラからの報告で聞いているが。で、シャヴォンヌは何と言っていた?」


「『ロイを大切にしろ』。言っていたのはそれだけだ」

「大切に、か……」


マクマリスは、自分の胸に手を当てて続けた。

「私には最初の戦いの記憶はない。だが、そこで起きた膨大な経験を、魂のどこかが覚えていて、それが『直感』のような感覚に繋がっているのではないかと……自分では考えている」


 アンドレアは目を閉じ、腕を組んでしばらく深い思案に沈んだ。

 やがて、カッ、と猛禽類のような瞳を見開く。


「……分かった」

 アンドレアは力強く頷いた。

「一度はお前の賭けに乗ると言った身だ。お前のその『直感』を信じよう。……ただし、ウルスヌス本人が『やる』と言ったらだぞ」


    ◇


「やる! やる! やるに決まってんじゃんか!!」


 帝都の広大な演習場。


 ロイがドラゴンライダーとして訓練を受けているその場所で、マクマリスから『ギガント・ギア』の着用を提案されたウルスヌスは、巨体を揺らして子供のように喜びを爆発させていた。


「ちょっと、ウルスヌス!」

 腕を組んだカーラが、呆れ顔で(たしな)める。

「はしゃがないの! ロイ王子がリントヴルムを操れると決まったわけじゃないんだから、あんたが地上に降りられるかどうかも未定よ!」


「いや、見てみろよ、カーラ」

 ウルスヌスが太い指で上空を指差す。

「もう、バッチリ操ってるじゃんか」


「えっ?」

 ウルスヌスに言われ、カーラが上空を見上げた。


 そこには、真珠のように輝く白竜シャヴォンヌと並走し、ピッタリと息を合わせて見事な編隊飛行で空を舞う、凶暴なはずの地竜リントヴルムの姿があった。

 その背には、誰も乗っていない。リントヴルムは、白竜の背に乗るロイの意思に、完全に同調して飛んでいるのだ。


「うそでしょ……」

 カーラがポカンと口を開ける。


「フォフォフォ。まさか、契約者でもないロイ殿が他の竜まで操るとはの。見事じゃ」

 傍らで見守っていたザルティムも、髭を撫でて感嘆の声を漏らした。

【次回の予告】

「帝国の航空戦力をロイに集約!? 魔王の大胆すぎる戦力再編と、暴かれる四天王のトップシークレット!」


 ロイが他者の竜をも統べることを確信したマクマリスは、なんと帝国の四天王たちを次々と地上へ降ろすという前代未聞の戦力再編を提案する!


 ウルスヌスが最前線で暴れ、ザルティムが超火力で焼き尽くすという凶悪な地上部隊が爆誕する一方、戸惑うカーラに言い渡されたのは「敵母船への直接潜入」という隠密任務だった。


 なぜ魔王は、帝国でも一握りの者しか知らない彼女の特別な『嗅覚』を知っているのか? 覇王の絶対的な信頼と「0周目の直感」が導き出した最強の布陣が、ついに完成の時を迎える。


 そして、二頭の竜と共に大空を舞う若き竜騎士の背中に、魔王が静かに託した熱い祈りとは――!


 四天王の再編と、若き竜騎士への祈り。

 第96話は、明日の21時40分更新です!


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