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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第91話:その叡智は剛と知を編み込み鋼の機神を創る。~産声を上げる強化外骨格~

【前回までのあらすじ】

 深海一万メートルへ潜れても「水圧で外に出られない(敵母船に突入できない)」という致命的な壁にぶつかったマクマリスたち。


 ヘギルは外から超兵器で強行突破する案を出すが、敵母船が都市一つ分の巨大さであることから、マクマリスとララノアはこれを却下。中枢の動力炉を直接叩くため、ララノアが提案した解決策……それはディネルースと水竜レヴィアタンの力で『海を割る』という、神話級の破天荒な奇策だった!


 海を割り、転移魔法で敵の中枢へ直接乗り込むという明確な道筋を見出した一行は、もう一つの決戦兵器『魔導鎧パワードスーツ』が待つ王立研究所へと向かう――!


挿絵(By みてみん)

 ガイアス王立研究所の白く無機質な廊下を、三人の足音が響いていた。


 先を歩くララノアが、手に持った羊皮紙(ようひし)の束をペシペシと叩きながら、隣を歩くヘギルに呆れ声でダメ出しをしている。

「ヘギルの設計は野蛮すぎるのよ。さっきの潜水艇だって、私がチェックしなければ、水圧に対する強度の計算が甘い箇所が『七十二箇所』もあったんだから」


「……それは酷いな」

 後ろを歩いていたマクマリスが、思わずフッと笑いを漏らした。


「うっ……」

 ヘギルがバツの悪そうな顔で弁明する。

「確かに、ララノアの嬢ちゃんの精密な計算がなけりゃ、深海一万メートルに行く前にただの『鉄の棺桶』になってたのは認める。……だけどよ、俺は潜水艇の設計だけじゃなく、魔導鎧(パワードスーツ)の開発も同時進行してたんだからな。少しくらい大目に見てくれよ」


「その魔導鎧(パワードスーツ)は大丈夫なんでしょうね?」

 ララノアが眼鏡の奥の瞳をスッと細めて睨む。


「いや……どうかな……」

 ヘギルは急に自信なさげに視線を泳がせ、太い指で頭を掻いた。

「一応、後で設計データを全部渡すから、おかしなところがないか、また計算してみてくれるか?」


「はぁ……」

 ララノアがこれ見よがしに、深いため息をついた。

「私だって暇じゃないのよ? 連邦の議長秘書官としての仕事だって山積みなんだから」


 渋るララノアに対し、マクマリスが絶妙なタイミングで口を挟んだ。

「ヘギルの足らないところを、ララノアの完璧な数式で補強してくれれば、私も前線で安心して戦えるのだがな」


「えっ?」

 ララノアの足がピタリと止まった。


 彼女は振り返り、マクマリスの真剣な眼差しを受けると、ふいっと顔を背けた。その白い頬が、ほんのりと朱に染まっている。

「そ、そう? ……貴方がそこまで言うなら、仕方ないわね。いいわ、時間を見つけて徹夜でチェックしてあげるから、後でデータをよこしなさいよ」


「ああ! 助かるぜ、嬢ちゃん!」

 ヘギルがパッと顔を輝かせた。

「よし、着いたぞ。この部屋だ」


 ヘギルが重厚な鉄の扉のロックを解除し、マクマリスとララノアを中へと招き入れる。

 そこには、ドワーフの『剛』とエルフの『知』が悪魔合体した、男のロマンと危険性が同居する究極の局地戦用兵器が鎮座していた。


「……凄い重厚感だな」

 マクマリスは、見上げるほどの威容を誇るその鎧を見て感嘆の声を漏らした。


「だろ?」

 ヘギルが誇らしげに胸を張る。

魔導鎧(パワードスーツ)改め、強化外骨格『ギガント・ギア』だ。かっこいい名前だろ? 開発コンセプトは至ってシンプル。……『生身で水晶の化け物を殴り倒す』だ」


「機械生命体の圧倒的な『出力』と『防御力』に対抗するため、人間の兵士を簡易的に『戦車』にするイメージよ」

 ララノアが呆れたように補足する。

「ちなみに、そのやたらと仰々しい名前はヘギルが勝手に考えたわ。私は反対したのだけれど」


「俺の鍛え上げた装甲の『火力・防御力』に、ララノアの『魔導義体技術』……つまり『神経接続』を掛け合わせたんだ」

 ヘギルは鎧の表面を撫でながら熱く語る。

「これを応用することで、この重厚な見た目に反して『着ている感覚がないほど俊敏に動く』ことが可能になったんだ」


「俊敏に動くだと? ……凄いな」

 マクマリスの目が期待に光る。


「よし、実際に起動してみようか」

 ヘギルが魔力を流し込み、起動スイッチを入れた。


 ドシュゥゥゥゥッ!!


 ほどなくして、蒸気機関と魔法回路が混在した無骨なフルプレートアーマーの各部スリットから、余剰魔力が白い蒸気(スチーム)となって勢いよく噴き出し始めた。部屋の空気が一気に熱を帯びる。


「動力は、未来の俺が考案した『魔力吸収斧』の技術を全身の装甲に応用した『吸魔駆動(マナ・ドライブ))』だ。ララノア嬢ちゃんの案を採用して、空気中の微細な魔力だけでなく、装着者自身の魔力もエネルギーに変換して駆動させる」


「ならば、魔力がない者には使いこなせないということか?」

 マクマリスが問う。


「いや、そうでもない」

 ヘギルが鎧の背面に回り、カチャリと機構を開いて見せた。

「背中に『魔力カートリッジ』を装填するスロットを設けた。これをカチャカチャと交換すれば、魔力が乏しい奴でも長時間の高出力稼働が可能になっている」


「なるほど。実戦向けに考えたな」

「制御については、ララノアから説明してくれ」


 ヘギルからバトンを渡され、ララノアが一歩前に出た。

「制御には『疑似神経接続(ニューロ・リンク)』を取り入れたわ」


疑似神経接続(ニューロ・リンク)……」


「ええ。本来は手足を切断して直接神経を繋ぐ『魔導義体』の技術を、『皮膚の上から神経パルスを読み取る』形に改良したのよ。これなら五体満足の兵士でも運用できるわ」


「確かに、その方法なら神経接続の負担が少なくなるな」

 マクマリスが頷く。

「だが、直接繋いでいない分、動きがぎこちなくなるのではないか?」


「大丈夫よ。装着者の脳が『右手を動かそう』と思った瞬間に、微弱な電気信号を読み取って鎧の駆動装置(アクチュエーター)が作動する。だから、数トンの重量がある鎧を、まるで自分の皮膚のように違和感なく操作できるのよ」

 ララノアの言葉には、自身の技術に対する絶対の自信が満ちていた。

【次回の予告】

「男のロマン全部乗せ! しかしその代償は……装着者ミンチの危機!?」


 ヘギルが嬉々として語る『ギガント・ギア』の凶悪な固定武装の数々! パイルバンカーに盾ノコギリ、魔導ミサイルと夢のような決戦兵器ですが、直後に発覚したまさかの「致命的リスク」!


 あまりの超出力に生身の肉体が耐えきれず、装着者が鎧の中でミンチになりかねないという恐るべき問題に対し、マクマリスの脳裏に浮かんだ「適任者」とは……?


 そして、次なる一手としてヘギルに依頼された、敵母船の中枢を破壊するための「極大の爆弾」の開発。深海一万メートルの脅威を確実に葬り去るための、魔王の冷徹なシナリオが着々と組み上がっていく――!


 パイルバンカーの代償と、極大の爆弾。

 第92話は、明日の21時40分更新です!


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