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死に戻り魔王の「強くてニューゲーム」 ~未来の知識と圧倒的戦力で、人類ごと世界を救います~  作者: Chris Tartan


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第124話:その魔王は脈打つ機械の心臓の前に破滅の順序を冷徹に見定める。~産声を上げた終末の赤~

【前回までのあらすじ】

 潜入作戦が露見し、巨大母船のハッチから絶望的な数の機械生命体が溢れ出す!


 海を割るディネルースを死守すべく、地上で待ち受ける人類・魔族の連合軍は決死の迎撃態勢をとる。帝国軍のサイロス将軍による数万人の前でのまさかの「公開告白」や、エスペル島連合軍の王たちによる「我々一人ひとりが人生の主人公だ!」という熱き演説により、兵士たちの士気は最高潮に爆発!


 それぞれの愛と矜持、そして胸に秘めた物語を武器に、最強の連合軍が絶望の『銀色の津波』へと真っ向から激突する、熱き地上戦が幕を開けた!

 動力炉破壊組の四名は、機械が機械を産み出す無限に続くかと思われた工場の階層を抜け、ついに母船の最深部へと到達しようとしていた。


 真っ白なリフトで下降する彼らの眼下に、その『心臓』は姿を現した。

 一国を丸ごと浮上させ、五百万の機械を稼働させるほどの莫大な力を生み出す、とてつもなく巨大な円筒形のエネルギー炉。


 それは暗闇の中で禍々しい赤い光脈を放ちながら、ドクン、ドクンと、腹の底を揺らすような低い重低音を響かせて鎮座していた。


「あれが動力炉か……。デカすぎて、距離感が掴みにくいな」

 源流が、冷や汗を拭いながら刀の柄を握りしめる。


「国一つ分もの大きさの船を動かすのだ。当然のサイズだ……」

 マクマリスは、その規格外の巨大さを冷静に見据えていた。


「ウウウウウウウウッ!」というサイレンの音は耳障りなほど響いているが、不思議なことに、この広大な空間に機械生命体の姿は一つもなかった。


「サイレンはうるさいが、敵の影すらないな」

 アルフィリオンが周囲を見回す。


「我々の侵入はバレていない。敵の警備の全ては、カーラたちの方に押し寄せているのだろう」


「それは不幸中の幸いってやつだな。……これほどバカでかい心臓を破壊すれば、さすがの船もひとたまりもないだろうよ」

 アルフィリオンが愉快そうに笑う。


「そうだな……」


 アルフィリオンは、背後に立つエルフの長老を振り返った。

「おい、ババア。ヘギルが作った自爆用の爆弾だけでなく、この巨大な動力炉の誘爆からも私たちを守らなければならないんだぞ。本当に大丈夫なんだろうな?」


「ふぉっふぉ。安心せよ。お主らの命は、このわしが必ず守ってみせよう」

 クリアの長老は、死地にあってなお、慈愛に満ちた穏やかな微笑みを浮かべていた。


 リフトが最深部の床に到達し、静かに動きを止めた。


 四人はリフトから降り、脈打つ動力炉の足元に向けて歩みを進める。マクマリスは、耳のイヤーカフに触れ、ララノアに思念を送った。

『ララノア、最深部に着いた。目の前に巨大な動力炉がある。……爆破後は、下降に使ったこのリフトは崩落して使えなくなるだろう。地上へ登る階段か通路を探してくれ』


『無事に着いて良かったわ。今、見取り図から階段を調べます……』

『外の様子はどうだ?』


『ハッチから溢れ出た敵と、乱戦状態よ。予想以上に敵の数が多いわ。もうすぐアルゴス五隻が物資を積んで戻ってくるから、少しはマシになるといいけど……。あっ、階段を見つけたわ』


『どこだ?』

『……そこから、西に「二百キロメートル」のところに内壁があるわ。そこに階段が設置されているわね』


『二百キロメートルだと!? 歩けば二日はかかる距離だぞ。もっと近くにないのか』

『そのフロアは、空間の全てを動力炉が占めていて、壁が全くないのよ……』


『……今、内壁と言ったな?』

『ええ』


『その壁の向こうは外壁、つまり「外」だな?』

『分厚い装甲の向こうは、海を割った外よ』


『よし。上には戻らずに、破壊後は二百キロメートル先の内壁と外壁を貫通して、脱出を試みる』

『了解。くれぐれも気をつけて』


 通信を終えたマクマリスに、アルフィリオンがせっつく。

「通信は終わったのか? なら、さっさと爆弾を仕掛けて片付けるぞ」


「いや、待て。マザーコンピューターを破壊してからでないと、マズい」

 マクマリスが制止した。


「なんでだ? こいつを吹き飛ばせば、マザーコンピューターだって電力不足で終わりだろ」


「確かにじきに動かなくなるだろう。だが、この心臓を破壊するということは、奴らを極限まで追い詰めるということだ。電力が落ち、マザーコンピューターが完全に沈黙するまでの間に、最後の防衛本能としてどのような『進化』で対抗してくるか分かったものではない」


「じきに破壊、ではダメということか。目標が目の前にあるというのに、もどかしいな……」

 源流が忌々しげに息を吐く。


 マクマリスは再びイヤーカフに意識を集中した。

『カーラ、マザーコンピューターの破壊はできそうか?』


    ◇


 同じ頃。


 マザーコンピューター破壊組の三名は、船内の赤い照明が点滅する廊下で、殺到する機械生命体の大群と凄惨な激戦を繰り広げていた。


「『幻影舞踏(ファントム・ワルツ)』!!」

 カーラが叫ぶと同時に、彼女の姿がブレて無数の残像を生み出した。


 彼女は迫り来る機械生命体の攻撃を踊るように(かわ)し、装甲の隙間である関節部を正確に狙って切り刻む。『強酸』が塗布された双蛇の短剣によって内部回路を焼き切られた敵は、次々と火花を散らして鉄屑の塊と化していった。


「燃えろ」

 背後では、ザルティムが短く竜語(ドラゴニック)詠唱(・チャント)を紡ぐ。


 杖の先から放たれた極大の業火が、通路を埋め尽くす機械生命体の群れを一瞬にして燃やし溶かし、ドロドロの鉄漿(てっしょう)へと変える。


「オラララララァッ!!!」

 ウルスヌスが雄叫びを上げ、両肩部に搭載した『魔導ミサイルポッド』から無数の誘導魔弾をばら撒く。着弾と同時に爆発が連鎖し、通路が炎と黒煙に包まれた。


 その時、カーラの脳内にマクマリスからの思念が届いた。

『カーラ、マザーコンピューターの破壊はできそうか?』


「ウルスヌス! なんとか前進できない!?」

 カーラが弾き飛ばした敵を踏み台にしながら叫ぶ。


「無理だ! 敵の数が多すぎて、倒しても倒しても湧いてきやがる! 前に進めねえ!!」

 ウルスヌスのパイルバンカーがオーバーヒート寸前の蒸気を噴き上げる。


『ダメです! 敵に完全に囲まれて、動けません!』

 カーラがマクマリスに悲痛な思念を返す。


「カーラよ! 目標までの距離を、ララノアに確認せい!」

 ザルティムが炎の壁を展開しながら指示を飛ばす。


『ララノア! 目標までの距離と方角を教えて!』

『そこから……東に真っ直ぐ、約三キロメートルよ!』


「東に三キロメートルです!」


「距離は十分じゃな。仕方あるまい、これ以上は時間の無駄じゃ。……ここから目標を、空間ごと破壊する!」

 ザルティムの目が、凄まじい魔力の色に染まった。

「ウルスヌス、カーラ! わしの『壁』となれ!」


「「了解!!」」

 二人は即座にザルティムの前に立ち、迫り来る機械の波を全力で押し留める。


 ザルティムは杖を両手で天高く掲げ、覇王アンドレアから直々に使用を禁じられていた『禁術』の竜語詠唱を開始した。

『我、深淵より来たりて、星を焦がす者なり――』


 空間が歪み、大気が悲鳴を上げる。

「『終末の赤(ラグナロク・フレア)』!!!」


 東へ三キロメートル先。マザーコンピューターが鎮座するであろう広大な空間の天井付近に、小さな『火の球』が現れた。


 それはザルティムの膨大な魔力に呼応して瞬く間に徐々に大きさを増し、天井の分厚い装甲をドロドロに溶かしながら、巨大な『擬似太陽』へと成長していった。

【次回の予告】

「因縁の共闘! 覇王の絶対防御と、天井ぶち抜きの大脱出劇!」


 上空では、船体を突き破って現れた規格外の『擬似太陽』に驚くディネルースに、機械生命体の群れが特攻を仕掛ける!


 しかし、間一髪で彼女の前に壁となって立ち塞がったのは、世界で最も彼女を憎むはずの覇王アンドレアだった! 「お前という『世界の栓』を守るだけだ」と不敵に言い放つ覇王とバハムートによる、鉄壁の守護が炸裂する!


 一方、船内では擬似太陽の着弾によりマザーコンピューターが空間ごと蒸発!


 限界を迎えたザルティムを抱え、ウルスヌスが溶けた天井の大穴からブースト全開で弾丸のごとく船外へと脱出を果たす!


 見事、敵の「頭脳」を破壊し奇跡の生還を果たしたカーラたち。その報告を受けたマクマリスは、いよいよ一国サイズの巨大な「心臓」の爆破――『メインディッシュ』へと静かに手をかける……!


 覇王の盾と、マザーコンピューターの終焉。

 第125話は、明日の21時40分更新です!


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