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校舎の奥の方へ入っていくと、ガヤガヤと喋り声が聞こえた。
「おい、また一人来たぞ。もう無理だってのに。門番は何をやっているんだ。」
「あいついい奴だからなぁ。門番にしたのは失敗だったかな。」
「はぁ。これからどうするよ。」
「あの、、、。あなたたちがこの集まりの中のリーダーさんですか?」
リーダー「あぁ、俺がそうです、一応。大学四年、経済学部の伊藤 正人です、よろしくお願いします。」
「伊藤さんですね。私はアヤっていいます。よろしくおねがいします。あ、もし良かったらこれ、受け取って下さい。」
リュックの中からカロリーメイトを渡す。
伊藤「いいんですか??貴重な食料なのに。」
「ええ、大丈夫です。あなた方三人で分けてくださいね。」
伊藤「本当にありがとうございます。お礼に何か出来ればいいのですが、、、。」
「お礼なんていいですよ。あ、もし良かったら、今の状況や、世界が変わっちゃってからの様子についてだけ聞かせてくれると嬉しいです、、、。私、疲れて寝てて、気付いたらこんなことになってて、、、。」
(紅「ウソつけ。」)
伊藤「なるほど、、、。なんにせよ、その状態でここまで無事に来れたのなら良かったです。俺の知ってることは全部話しますね。」
「おねがいします。」
「俺が講義を受けている最中でした。突然、耳をつんざくような鐘の音が鳴り響いたんです。最初は、チャイムが故障したのかと思いました。ですが、どうやら事態はもっと深刻なようでした。
突然ですが、えっと、アヤさん。アヤさんはゲームとかする方ですか?」
「ええ、まあ、少しなら。」
(紅「お前ゲーマー並みだろ。」)
(「紅、静かに!」(小声))
まあ、そもそも精霊の声は普通、【言語理解】が無ければきこえないし、もし聞こえても意味不明なので大丈夫だが。
伊藤「でしたら、えっと、スライムとかゴブリンなんて聞いたことありますか?」
「はい、あります。最初らへんに出てくるモンスターですよね?」
「そうですそうです。まさにその、スライムやゴブリンといったモンスターたちが、突然世界中に現れて、人を襲ったり建物を壊したりし始めたんですよ。そのときはまだテレビも写っていて、話題はそれで持ちきりでした。
宇宙人の侵略だ、とか。大規模なテロだとか。結局結論は未だに出ていませんが。
そういえば今から4日ほど前、ちょうど正午に、テレビに謎の老人が映ったらしいんです。そいつが犯人だとかそんな説もありましたね。
まあとにかく、この世界はゲームのような世界になってしまったんです。これを見れば分かります。えっと、ステータスオープン。」
他人からは、具体的な数値などは見れないんですが、ここには自分のステータスやスキルが表示されるんです。これはテレビでもやっていたので知ってる人がほとんどですけど、アヤさんは知らなかったみたいですね。今、素で驚いてましたもんね。」
「あ、、、はい。すみません。驚いちゃって。そのときの私、恥ずかしながら熟睡してました。」
伊藤「はっはっはっ!久しぶりに笑った気がします。アヤさん天然ですね。」
「え、そんなことないです。」
伊藤「ふふ、なんか少し気が楽になりました。家族とも連絡が取れず、かといって動けばゴブリンに襲われる。手詰まりかと思っていましたが、、、勇気が出ました。行動しなくては何も変わりませんもんね。」
「ええ、なにか力になれたなら、私も嬉しいです。えっと、ゴブリンってやっぱり強いんですか?」
伊藤「強くは無いはずなんです。でもあいつらはナイフや斧やフォークを持ってる。ゲーム世界じゃ、怪我をしても全然いいけど、今は現実だ。ゴブリンを一匹殺している間に、ほかのやつらが斧をふるってくる。迂闊に近づけないんです。」
「そうですよね、、、。私はゴブリンに会わなくて、運が良かったです。」
伊藤「ええ、そうですね。そのおかげでアヤさんに会えた。神様に感謝します。」
「そんな大げさな。」
伊藤「いえいえ。アヤさんと話して元気が出たんです。ありがとうございます。」
するとその時、ドタバタと激しい足音が聞こえてきた。
「おい!!!大変だ!!!伊藤はどこだ!」




