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貧乏商会が王国経済を握ります!ー相場が見える俺が、国の市場を支配するー  作者: 堀吉 蔵人
第一章 貧乏商会は立ち上がる

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第6.5話 クロードは相場を見る

いつもありがとうございます!

楽しんでいっていただけると幸いです。


 俺には、相場が見える。


 商品を見ると、今の値段と少し先の値段がわかる。


 乾燥豆。

 現在、銅貨八枚。

 明日、銅貨十三枚。

 理由、小麦不足による代替需要。


 空樽。

 現在、ほぼ処分品。

 夕方、銀貨相当。

 理由、仕込みと保存需要の増加。


 こんな具合だ。

 便利ではある。

 だが、見えるだけだ。


 金がなければ買えない。

 馬車がなければ運べない。

 信用がなければ売れない。


 値上がりがわかっていても、商品を押さえられなければ意味がない。

 売れるとわかっていても、相手に信用されなければ大きな取引にはならない。


 俺がこの世界に来たのは、少し前だ。

 気がついたら、知らない街の裏通りにいた。

 持っていたのは、安い旅服と銅貨数枚。


 剣はない。

 魔法も使えない。

 貴族でもない。


 ただ、商品を見ると数字が浮かんだ。

 最初は、疲れているのだと思った。


 市場で傷物の果物を買った。

 翌日、それは倍で売れた。


 次に、余った油を買った。

 夕方、灯りを必要とする屋台に売れた。


 そこで、ようやく認めた。


 俺は異世界に来た。

 そして、相場が見える。


 ただ、すぐに限界もわかった。

 一人でできる商売は小さい。


 銅貨を銀貨にはできる。

 銀貨を増やすこともできる。


 だが、大きな取引はできない。


 大量に買うには資金がいる。

 運ぶには馬車がいる。

 組合と取引するには、商会の名前がいる。


 流れ者が少し儲けても、継続取引は任されない。


 だから、商会が必要だった。


 大商会では駄目だ。

 動きが遅い。

 決める人間が多い。

 俺のような流れ者を信用しない。


 露店でも駄目だ。

 信用が足りない。

 倉庫も帳簿もない。


 必要だったのは、小さいが商会の形がある場所だった。


 そこで見つけたのが、ベルカ商会だ。


 倉庫には乾燥豆が三十二袋あった。


 品は悪くない。

 保存もできている。

 だが、この街では売れていない。


 俺には見えた。


 半日後、倍以上。

 理由、小麦の流入停止。食堂組合の代替需要。


 買うしかなかった。

 ミリアは驚いていた。

 当然だ。

 売れない豆を全部買うと言われれば、誰でも怪しむ。


 だが、豆は上がった。

 銀貨四枚で買った豆は、銀貨八枚で売れた。


 そこで終わるつもりだった。


 少し儲けて、次の商品を見る。

 それだけのつもりだった。


 だが、ミリアは俺を呼び止めた。


 ベルカ商会に来ないか、と言った。

 俺は断った。

 雇われるのは面倒だ。

 だが、昼食付きと言われた。

 それで足が止まった。


 相場は見えても、食事は勝手に出てこない。

 昼食付きは重要だった。

 それに、ミリアの判断は悪くなかった。


 自分の商会の商品を転売されて、倍で売られた。

 普通なら怒る。


 ミリアも怒った。


 だが、そのあとで考えた。

 この男を逃がすより、使った方が得だと。


 商会主としては悪くない。


 次の空樽でも、それは見えた。


 返済用の金を使う。

 失敗すれば倉庫を失う。


 ミリアは止めた。

 それでも最後は、ベルカ商会の名前で買うと決めた。


 俺個人の商売にしなかった。

 あれで少し考えを変えた。


 この商会なら、伸ばせるかもしれない。


 そのあと、食堂組合から豆の前金を受けた。


 まだ持っていない豆を売ったので、ミリアには怒られた。


 当然だ。


 だが、先に売るから仕入れられる。

 納品先が決まっているから大量に買える。

 前金があるから馬車も押さえられる。


 相場が見えるだけでは足りない。

 順番を間違えれば失敗する。


 金を先に取る。

 馬車を押さえる。

 村に行く。

 高めに買う。

 必要な分だけ先に届ける。


 全部つながって、ようやく利益になる。


 北の村では、ミリアが役に立った。


 村はベルカ商会を知っていた。

 先代からの付き合いがあった。


 俺だけでは、あれほど早く豆は買えなかった。


 ミリアがいたから、村長は動いた。

 村人も手伝った。


 信用。


 それは相場には出ない。

 数字にも見えない。

 だが、商売には必要だ。

 ベルカ商会には、それがまだ残っている。


 今は貧乏だ。

 人手も足りない。

 馬車も足りない。

 倉庫も足りない。


 だが、信用はある。

 帳簿もある。

 商会主も逃げない。


 ミリアはよく驚く。

 よく怒る。

 何度も確認する。


 それでも、最後には決める。


 だから、俺はここにいる。


 昼食付きという条件も悪くない。

 夕食も付くなら、なおいい。


 俺には、少し先の相場が見える。

 けれど、この商会がどこまで大きくなるかは、まだ見えない。

 ただ、ひとつだけわかる。


 止まれば、ここまでだ。


 動けば、次がある。


 だから明日も、動かす。


 ただし、それは明日の話だ。


お読みいただきまことにありがとうございます!

面白かった!続きが読みたい!しょうがねーな!と思っていただけた方がおられましたら

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これは実は作者のモチベーションに直結しております。

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