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貧乏商会が王国経済を握ります!ー相場が見える俺が、国の市場を支配するー  作者: 堀吉 蔵人
第三章 サーキュラー・エコノミー

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第27.5話 細い線は切れなかった

いつもありがとうございます!

楽しんでいっていただけると幸いです。


 勝ったわけではない。


 ガリオ商会は大きい。

 荷も金もあり、付き合いも長い。

 ベルカ商会とは、持っているものが違う。


 だから、勝ったわけではない。

 ただ、押し込まれるのは止めた。


 仕入れ先を見せろと言われても、ミリアは断った。

 規格外品をどう保証するのかと聞かれても、逃げなかった。

 南区管理所に確認すると言われても、止まらなかった。


 前なら、たぶん固まっていた。


 俺を見る。

 ロイを見る。

 帳簿を見る。


 それから、どうしましょうと言う。


 だが、今日は違った。


「対等になる必要はありません」


 そう言った。


「うちは、うちの仕事をします」


 あれは悪くなかった。


 かなり、悪くなかった。

 口に出せば、たぶん全部くださいと言う。

 だから九割にした。

 残り一割は、息を止めていた分だ。

 だが、息を止めても言葉は止まらなかった。


 それなら十分だ。


 ロイも変わった。


 帳簿を奥に下げ、荷札を隠し、必要な時に記録を出した。

 あの帳簿は、ただの数字ではない。

 何を、どこへ、誰が確認し、何に使うか。

 それを分けていたから、ベルカ商会は説明できた。

 説明できたから、南区管理所が認めた。


 認めたから、仕事になった。


 細かいものは面倒だ。

 だが、面倒なものを分けなければ、細い仕事はすぐに切れる。


 トマたちも見ていた。


 それでいい。


 商会は、商会主だけでは動かない。

 帳簿を見る者がいる。

 荷を運ぶ者がいる。

 店先に来た相手を見る者がいる。


 そういう手が増えると、商会は少し止まりにくくなる。


 細い線は、細いままだ。


 ニール鍛冶場は小さい。

 規格外の鉄材も多くない。

 継ぎ輪金も、どこにでも使えるわけではない。


 それでも、切れなかった。


 南区の小樽は止まらない。

 西区の調査も始まる。

 大きな荷ではない。


 だが、小さい荷が動くと、止まらない場所が増える。


 それでいい。


 ガリオ商会が太い道を持つなら、ベルカ商会は細い道を拾う。


 細い道は、踏まれやすい。

 すぐ曲がる。

 すぐ詰まる。

 だが、見つけて、分けて、記録して、運べば、道になる。


 今のベルカ商会には、それが少しできる。


 それに、ミリアの作る昼飯は、やはり前より少しうまくなっている気がする。


 理由はわからない。

 豆の煮方か。

 塩の量か。

 俺が慣れただけか。


 どれでもいい。


 食える飯があり、動く荷があり、切れない線がある。


 なら、まだここにいる理由はある。


 次は、南区の正式な小樽管理。

 それから、西区の調査。


 仕事は増える。

 帳簿も増える。

 たぶん、文句も増える。


 だが、ベルカ商会はもう、ただ小さな荷を運ぶだけの商会ではない。


 止まりそうな線を見つける。

 切れそうな線をつなぎ直す。

 そのために動く商会になり始めている。


 細い線は、切れなかった。


 次は、その線をどこまで伸ばせるかだ。


お読みいただきまことにありがとうございます!

面白かった!続きが読みたい!しょうがねーな!と思っていただけた方がおられましたら

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