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貧乏商会が王国経済を握ります!ー相場が見える俺が、国の市場を支配するー  作者: 堀吉 蔵人
第三章 サーキュラー・エコノミー

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第22.5話 線が見え始める

いつもありがとうございます!

楽しんでいっていただけると幸いです。


 最初は、品物だけを見ていた。


 豆が足りない。塩が足りない。木椀が足りない。小樽が足りない。

 それぞれ、別の問題に見えた。


 だが、続けているうちに、そうではないとわかってきた。


 豆を運ぶにも袋がいる。煮込みを出すにも椀がいる。水や薬草を扱うには桶がいる。桶や樽を直すには輪金がいる。


 一つ足りないだけなら、まだいい。

 だが、足りないものがつながると、仕事そのものが止まる。


 小樽が足りない時、ただ小樽だけを買えばいいわけではない。


 輪金がなければ直せない。

 職人の手が空いていなければ戻らない。

 荷車がなければ運べない。

 管理所が待てなければ、次の依頼にはならない。


 どこか一つが止まれば、次も止まる。


 今は、それが前より見える。

 はっきりした地図ではない。

 ただ、細い線がある。


 南区で止まりそうな線。

 西区へ伸び始めた線。

 桶職人へ向かう線。


 その先で、輪金の荷が遅れている。


 理由はまだわからない。

 北の鍛冶場で何かが止まっているのか。

 大きな商会が押さえているのか。

 ただ、今のままなら、南区だけでは済まない。


 それは、ぼんやり見える。


 ベルカ商会は、最初に豆を運んだ。

 次に塩を運び、木椀を押さえ、古椀を拾い、小樽を直し、古い輪金を集めた。

 どれも小さい。


 だが、椀があれば昼を配れる。小樽が戻れば薬草を仕込める。荷車が動けば細い路地にも届く。

 小さいものが止まらなければ、南区の仕事は止まらない。


 それに、ミリアの作る昼飯は、前より少しうまくなっている気がする。


 目立つ仕事ではない。

 でも、止まれば困る。

 なら、そこに商売がある。


 ミリアは、西区の小樽を二つだけ預かった。

 二つだけ。

 前なら、たぶんその言い方はできなかった。

 全部受けるか、全部断るか。

 そのどちらかで固まっていたはずだ。


 今は違う。


 調査にする。

 確認にする。

 契約にする前で止める。


 悪くない。


 口に出せば、また全部くださいと言う。

 だから、まだ言わない。

 だが、前よりずっと商会主になっている。


 俺には、足りないものが見える。

 止まっているものも、少し見える。

 そして今は、その間の線が見え始めている。


 どこから拾い、どこで直し、どこへ戻せば止まらないか。


 まだ全部ではない。

 信用は見えない。

 人の気持ちも見えない。

 職人が本当に引き受けるかも、聞くまではわからない。


 だから、確認する。


 だから、ミリアがいる。


 ベルカ商会が運んでいるのは、もう豆だけではない。


 足りないものを見つける。

 止まっているものを拾う。

 直せる場所へ回す。

 必要な場所へ戻す。


 それは、一つの配送ではない。

 流れだ。


 ただ、気になる線がある。


 北へ伸びる線。

 輪金が遅れている理由。


 そこが止まっているなら、南区も西区も、いずれ止まる。

 まだ、はっきりは見えない。


 だが、次に見るべき場所は決まった。


 ベルカ商会は、たぶんもう少し上流を見ることになる。


お読みいただきまことにありがとうございます!

面白かった!続きが読みたい!しょうがねーな!と思っていただけた方がおられましたら

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