108
ぎゅっと人形を抱きしめるその子は、寂しそうな笑みを浮かべながらも、次の屋台へと向かった。
僕らが次に向かったのは、福引だ。店主は先ほどと同じ犬型のロボット。屋台には両手に抱える大きさの箱が置かれていて、箱の上部には穴が開いていた。
そこから腕を入れて、くじを引くタイプだ。景品は先ほどの射的と似ているものが多い。
少し違う点としては、こちらはプラモデルやロボットなどの男の子向けのものが多い。僕は店主に促されるままにくじを引く。
出たのは『15』の数字。こういうのは大体数が少ないほど良いものがもらえるというのが定番だが。
僕は居ぬがたロボットの肉球にくじを置く。すると、くじを見て後ろの棚から小さなひとつの箱を取りだした。
それは小さなプラモデルだった。外箱にはプラスチックで作られた犬がお座りをしていた。
他はほとんどかっこいいロボットなのに、どうして……。
僕はちょっと残念ながらも、あとでフウロかサルビアにでも渡そう。
僕はそう思ってそれをそのままポケットに閉まった。僕らが福引を終えると、ちょうど近くを歩いていたヘロー夫婦がくじ引きをすると、カランカランとベルが鳴り響いた。
「オオアタリー!」
一言で機械音と分かる、ノイズの混じった合成音声で犬が叫ぶ。どうやら何か当たったらしい。
「何が当たりました?」
僕は二人が受け取り、屋台を後にしたのを確認して話しかけた。
「あ、どうもツキ様も起きられましたのですね」
「えぇ」
「実はこちらが当たりまして」
見せてもらったのは、ペアチケットだ。行き先は逸楽街……。
どうしてこれをペアチケットにしたのか。セロはもう少し、人のことを考えた方がいい。
「私たちは、生憎行くこともないので、良ければ」
「いや、別に僕たちも――」
あそこにはあまりいい思い出はない。そういえばあそこの人たちは来ていないな。
「とりあえずもらっておきますね」
僕は、フォンに睨まれて、若干いたたまれなさそうにしているのを察して、チケットを受け取った。




