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【書籍化決定】転生悪魔さん〜万年の時を経てとうとう現世に降臨する〜  作者: シャルねる


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第42話

Side:ミミン・フラワタ


 外が騒がしかった。

 ……今日は使い魔も召喚できなかった出来損ない……人間としての出来損ないに負けてしまったこともあり、悔しさでどうせ眠られなかった……いえ、違いますね。まだ眠りたくなんてなかったから、眠たくなってきていた目を擦りながら、どんな馬鹿が騒いでいるのかを一目だけ見て見たかったんです。

 ただ、それだけだったんです。

 そんな、軽い気持ちだったんです。

 

 ……それなのに……目の前のこの光景はなんなのでしょうか。

 そもそも、何故私以外に目を覚ましている方がいないのでしょうか。

 全てが、不自然……いえ、現実味がありませんでした。そもそも、なんで召喚者も無しに悪魔が1人……1匹でいるんでしょう。

 どこかに隠れているのでしょうか。


「ぇ……?」


 ちょうどゆっくりと手を頬に持っていき、そのまま頬を抓ったところで、何故か誰かと戦っていた頭が3つもある化け物……悪魔の首が全て、ちょうど私の目の前に転がってきました。

 悲鳴……を上げることすら出来ませんでした。

 ただ、私は突然の出来事に腰を抜かして、その場に座り込むことしか出来なかったんです。


 不運です。

 今日は、本当に不運です。

 ……あんな人間の出来損ないにも負けて、こんなことにも巻き込まれてしまっています。

 ……いえ、前者は正確には違いますね。

 運が悪かった訳ではなく、私は実力で負けたんです。

 ……うぅ、まだお腹辺りが痛いです。

 あの悪魔……いくら審判をしていたルーナリア先生が早く勝敗が付いたことを言わなかったとはいえ、あんなに強く蹴ることないじゃないですか。

 ……後で聞いた話では、フグシアは追撃を入れてきたこと自体に怒っていたみたいですけど、強く蹴りすぎな方に対して怒って欲しいものです。

 ……負けたことは確かに悔しいですけど……それ以上に、私が気絶してしまっている間にくだらない言いがかりで文句を付け、私を更にみっともなくしたことが本当に許せません。不愉快でしかありません。

 

 そんなことを考えている間にも、私の視界からはぼんやりと目の前の情報が流れ込んできました。

 頭を3つ飛ばされた悪魔はそのまま死ぬ……のかと思いきや、力を振り絞り……空を鋭い爪で突き刺している……? いえ、違いますね。よく見ると、血が出ています。ということは、あそこに何かがいるということなのでしょうね。


 ……いえ、私は何を冷静に分析しているんでしょうか。

 ……はぁ。

 寮の中に戻りましょう。

 バカバカしくなってきました。

 こんなことに時間を使うくらいなら、早いところ眠ってしまい、今度は負けないよう、腕を鍛えるべきです。

 悔しいという感情だけ抱いていたって、何にもならないんですから。

 その感情をどう使うか、です。


「なっ……まさか、負ける……いや、相打ちになるとは」


「……予想外だが、問題は無いだろう。さっさと対象を殺すぞ。時間をかけ過ぎだ」


 寮に戻るために何とか抜かしてしまった腰を立ち上がらせようとしていると、そんな声が聞こえてきました。

 ……正直に言いますと、この近くにいる方の中で命を狙われていそうな方には心当たりがあります。

 ……いえ、ここが学園の寮なことを考えるのでしたら、泊まっているのは貴族の方達ばかりですし、狙われる理由がある人は私を含め大勢いるでしょうし、本来予測などできるはずもないのですが……どうしても、私の頭の中には今日、授業で戦ったあの出来損ないの姿が浮かび出てきてしまいます。

 

 当たり前ですが、助ける義理なんてありません。

 ……でも、まだリベンジもしていないのに、勝手に死なれるのは困ります。

 ……それに、いくら好きではない相手とはいえ、理不尽に殺されるのも……違うと思います。


「そこにいる奴はどうする? 見られてるぞ」


「……放っておけ」


「……ひとみちゃん」


 序列戦や授業での試合となるとひとみちゃんはあまり強くはありません。

 ですが、時間帯が夜ともなり、ルールがない世界ともなれば、話は別です。


「な、なんだ!? し、視線が──」


「……」


「そのまま上昇してください」


 1度ひとみちゃんのことを視界に入れさせ、暗闇を上手く使って上空に上がる時間さえあれば……私が能力を解かせない限り、ほぼその人たちは首を痛いくらいに曲げたまま上空に視線を釘付けです。

 こうすれば、普通の人はあんな上空に魔法を届かせることは出来ないんですから、ほぼ無効化完了です。


 私は今のうちに先生を──


 そこまで考え、全然立ち上がれないことに気が付きました。

 そういえば、私、腰を抜かしていたんでしたね。


「召喚主を殺せ。腰を抜かしていた。まだ同じところにいるはずだ」


「……いいのか?」


「最早今更だ。魔法を打つぞ」


 言葉通り、上を向いている2人から魔法が飛んできます。

 だ、大丈夫。落ち着きなさい、私。

 たしかに、今日は負けてしまいましたけれど、私だって特別弱いわけじゃないんですから。それこそ、恐らく平民であろう方たちよりも魔法で劣るだなんて……絶対に思いません。


「土壁」


「どうだ!? やったか!?」


「……視線を動かせんから、まだ生きてるんだろう。攻撃を続けるぞ。早くしなければ、人がくる」


「チッ。あんな悪魔さえいなければ、今頃とっくに依頼を遂行出来ているものを」


「愚痴はいいから、手を動かせ」


 ……持久戦ですね。

 私の魔力が切れるのが先か、誰かが騒ぎを聞き付けて助けを呼んでくれるのが先か。

 ……いくら相手が恐らく平民の方とはいえ、2人いるのが分が悪いですが……耐えるしかありませんね。

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