第55話 誰かの記憶
人間が憎かった。
あいつらは殺し過ぎる。
仲間も知り合いも皆、人間に殺された。
人間は、僕の仲間を嬉々として食らう化け物のような笑顔をしていた。
だから、誓ったんだ。
いつか力を手に入れたら……
いつか陸に上がれたら……
いつか時が来たら……
人間たちにおんがえしがしたいって……
人間には受けたおんを返す文化があるらしい。
だから、僕の怨を......かえしてやる……
だけど……僕は弱くて、その日も釣り針にかかって……
小さな箱に入れられた僕は、きっと食べられるんだろうって思っていた。
願いは果たせず、終わる。そう思っていた。
そんな事を考えていたら、ドンって衝撃があって、気づいたら湖の前に打ち上げられていた。
必死で湖まで歩いて、水の中に入って一息つく。
あれ?なんで歩けるの?
僕は、自分の姿を眺めた。
僕のヒレはミノカサゴさんよりも大きくなって、ホウボウさんよりも立派な歩ける足が生えていた。
ウツボさんのように長い胴体になって、ハタさんような大きな口、目の前の魚を食べようとしたら思ったよりも自分が大きくて一口で食べれてしまった。
よくわからない。
でも、1つだけわかったことがある。
これで……僕の願いは叶えられる……
あとは必死に大きくなろうと思って、湖の生き物を食べた......。
足りないから陸に上がって、もっと大きな生き物も食べた……。
そしたら、よくわからなくなってきた……。
人間と同じような事を僕はしているんじゃないか?
僕が食べた生き物は、皆、僕を怖がっていた。
まるで、僕の仲間達が人間を怖がるように……。
だけど、しょうがないよね……。
僕が皆の敵をうつんだ。
だから、協力してほしい。
必ず、人間を皆滅ぼしてやる。
だから……
だから……
そんなことを独り言のように呟いていたら、頭の中で誰かの声がした……。
―――チカラヲカシテヤロウ―――
その言葉を聞いた後、僕の中に何かが入ってきた。
僕が僕じゃないものに染まっていく……。
でも……それで……叶うなら……
―――ミンナ 殺セバ イイ―――




