24.私たちはまだ旅の途中
前回のあらすじ。
魔王城に辿り着いた一向だったが、
話すまもなく知らない他へ飛ばされてしまう。
新たに慎と結との関係を知るも、
いまだ彼らは秘密を抱えたまま。
新たな旅が、幕を開けるーー
「本当に、一緒にいかなくていいんすか?」
柏木君が、名残惜しそうに言う。
それでも彼女ー火野先生は、にこやかに笑ってみせた。
「ごめんね、ついていきたいのはやまやまなんだけど、これはあなた達の試練やからね。うちが一緒に行けるのは、ここまでなんだ」
「それはそうかもですけど、何もこんな辺鄙な場所で別れなくても。一人で平気ですか?」
「大丈夫、こうみえてうち、四天王だし。それに、一緒にいると、亮輔が無理しちゃうから」
彼女が、困ったように微笑む。
その目線の先には、いうまでもなく弟である火野君がいた。
彼はなんとも複雑そうな顔つきで、みんなを睨んでいる。
「……納得いかない……危ない目に合わせたくなかったから探してたのに……試練とか言ってる場合じゃねーだろ」
「もぉ、そんなむすくれないの。今のままじゃ元には戻れないって、結がいってたでしょ?」
「だからって……!!!!」
「助けてくれてありがとう。亮輔も頑張って」
優しげな微笑みに、彼の怒りも揺らいでゆく。
火野先生はそういって、私たちのパーティーから離れた。
本当は一緒にいたかった分、少し寂しい気持ちもある。
今のままじゃ、元の世界に戻れない。戻るためにも、私たちは前に進まないと……
「……さて、この後どーすっかな」
「まずは、ここがどこかを調べねーと。せっかく魔王城までついたってのに、振り出しかよ」
「いや、そうでもないぞ? 俺はこの辺に飛ばされてな、少しだけだが土地勘がある」
「えっ、ここからオレらのとこって真逆じゃね? どんだけ旅してんだよ、慎」
「俺にもよくわからないが、結曰くそれもバグらしい。えっと、確かあっちに……」
「ふぁぁぁ〜、金愛ねむくなってきちゃった」
土屋君が地図を広げようとすると、阿南さんが横であくびする。
それを見ていた柏木君が、何かを思いついたように口を開いた。
「せっかくだし、ここらで休まね? 正直怒涛すぎて、キャパオーバーだわ」
「確かに……ミッテ城や塔まで、色々あったもんな……」
「そーゆーわけだから、今回だけは見逃してくれよぉりょう? 急ぎたい気持ちは十分にあるんだが、休みも大事だってことで……」
「別に、まだ何も言ってないだろ」
すると火野君は、その場をきょろきょろ見渡す。
敵がいないことを確認した後、バッグに入っていたキャンプセットを取り出してー
「……今回限りだからな」
と返してくれた。
そうして私達は、一夜をキャンプで過ごした。
柏木君がテントを建て、火野君が焚き木を切って持ってくる。
そして阿南さんが食材を調達し、それを使って土屋君が調理していく。
私はそれのお手伝いをして、あっという間に5人分出来上がった。
「みてーー! これ、かなみがとったやつ!!」
「相変わらず変な素材みつけてくるな、あんた。食えるのか? これ」
「さっき試食したが、それなりに美味かったぞ? さすが、慎は料理上手だな」
「俺だけじゃない。成瀬のアイデアあってのものだ」
「そ、そんな……私なんて、全然……」
焚き火を囲みながら、料理を食べる。
何だか不思議だ。ずっと、こうだった気がする。
笑って、囲んで、怒って、はしゃいで。
学校で関わってなかったのが、嘘みたいにー
元の世界に戻ったら、私はギャルに戻る。
そんな私と、彼らと一緒にいれるのだろうか。
嘘だらけの、私と。
「……にしても、よく辿り着いたよなぁ、あんなところまで」
「辿り着いたっていうよりは、強引に連れて行かれたって感じだったけどな。まさか他の連中はいないとは……なんかムカつく」
「そんなに悔しがらなくてもいいと思うけどな。俺たちもよくやれてるよ。先生のことも、助けられたしな」
「かなみ達、すっごい相性いいもんね! なるみなちゃん!!」
「は、はい。元の世界に戻れなかったのは、残念ですけど」
「元の世界なぁ……オレらさ。元に戻っても、ダチでいれるかな」
柏木君のこぼした言葉に、びっくりする。
私と同じことを思っていたから。
その言葉を聞いた火野君は、呆れたようにため息をついてー
「くっだらね。どーでもいいだろ、そーゆーの」
「えー、どーでもよくなくね?? 戻っても普通につるみたいじゃん、こんなに仲良くなったわけだしさ」
「俺的には、学校でもここでも、変わらず友達だと思ってる。みんなさえよければ、一緒に話したりしたいが……」
「かなみも一緒がいいー!! ペンタグラム、大好きだもん!!!」
「……僕が一緒にいるのは、ギルドの仲間だからだ。学校でも、一人でいいのは変わらない」
「えーー、あんな熱弁かましといて? そりゃないぜりょう〜」
「けど、まあ……あんたらとなら……一緒にいても、いいかもしれないな」
照れたように、火野君が顔を背ける。
その言葉に、みんなが笑う。
元の世界に戻っても、変わらない関係でいれたらいいのに。
そう思う私たちの空には、満点の星空が輝いていたー
(つづく!!)
おまけの小ネタ
金愛「ふぁぁぁぁ……かなみ、ねむぅい」
晃「おっ、もうこんな時間か。そろそろ休むか」
慎「そうだな。じゃあいつもみたいに、男女に分かれて……」
金愛「かなみ……りょーちんとねたぁい」
亮輔「絶対嫌だ。とにかく嫌だ。こいつと寝るくらいなら、晃と寝たほうがマシだ!」
晃「いや必死すぎww そこまで嫌がらなくてもよくね? なんかおもしろそーだから、オレは成瀬とでも寝よっかなぁなんて」
水帆「えっ! いや、ダメです!! わ、私寝相悪いんで!!」
晃「そ、そこまで拒否らなくてもよくね!? 傷つくわーオレ」
慎「だったら横一列で寝て、真ん中に俺が入ればいいんじゃないか? 男子と女子の間になる形で。金愛とはよく寝てるし、俺は問題ないが……」
亮輔「……なんか、もうどーでもいい。剥がそうと思ったんだけど、しがみついて離れねーわこいつ」
晃「ほんと、金愛はぶれねーよなぁ。成瀬も見習わねーとじゃね?」
水帆「む、無理です……」
圧倒的陽キャ。




