17.その鍵は、私たちの手の中に
前回のあらすじ。
ミッテ城でみつけたのは、
先生である蝶花の私物だった。
水晶で通信をした一行は、彼女を救うため
フィリアの塔に向かう。
そこでは、金愛の力がカギとなると言われー
「ここがフィリアの塔、か……結構高いんだな」
土屋君が、上を見上げながらいう。
私ー成瀬水帆は現在、フィリアの塔にやってきている。
先生を助けるため、警備の目を盗みながら、なんとかたどり着いたのだ。
フィリアの塔は、上がどこまであるかわからないくらい高く、聳え立っている。
禍々しい空気に、私は思わず萎縮してしまってー
「成瀬、大丈夫か? 顔色悪いけど……」
「だ、大丈夫です。緊張、しちゃって」
「まー、こんだけインパクトあるとなー。それより金愛は何してんだ? 今から入るってのに、あんな遠くで」
「どーーでもいい。モタモタしてる暇なんてないんだ、とっとと行くぞ」
お姉さんである彼女の場所がわかったからなのか、火野君はとにかく意気込んでいる。
まるで、邪魔するやつは許さない、といわんばかりの剣幕だ。怖くてこちらから声をかけられない。
だからなんだろうか、阿南さんが私たちより少し遠くにいるのは……
「は? なんだこれ、開かねー!」
「どれ、ちょっと変わってみろ。ふんっ! …… こいつは硬いな……」
そんな中、男子3人が代わる代わる扉に挑む。
しかしどんなに力を入れても、開け方を変えても扉は開く気配がない。
一通り試してみると、土屋君があ、と何かに気づいたように声を上げた。
「そこに隙間がある。中から開けれるか、試してみようか? 俺の身長なら行けそうだ」
「いや、危ねーだろ。中がどうなってるかもわかんねーのに」
「ここでジタバタしても仕方ないだろう? この身長も、たまにはいかさないとな」
そういって、彼は身軽に隙間を超えて行く。
しかしすぐに戻ってきてしまい……
「やっぱりダメだ。見えない壁があるみたいで、先に進めない」
「んー、やっぱあれがヒントなんじゃね? ほら、さっき先生が言ってたじゃん。塔では、金愛の力が鍵になるって。だから、ひょっとしたら……」
柏木君の言葉に、みんなの視線が彼女に向く。
当の本人はその辺にある草やキノコをみては、面白そうと収集していく。
阿南さんが鍵って、どういうことだろう。
何か特別な力がある、とかなのかな?
話がまとまったのか、よし、と柏木君が近づいてー
「なぁ、金愛」
「……なあに?」
「この塔、開け方がわかんなくてさ。何か知らね? ちょっと詰んでてさー」
その問いに、彼女は答えない。
それどころか視線は柏木君ではなく、火野君に向いている。
目線の先にいる火野君は、舌打ち混じりにみつめていてー
「かなみ、いらないんでしょ??」
「へ??」
「りょーちん、クビって言ってた。それってかなみがいらないってこと、でしょ?」
その言葉に、みんなが驚愕する。
正直、意外だった。彼女がそんなことを気にするような子だなんて、思わなかったから。
「そ、それは……」とどもる火野君の肩に、手を置きながら土屋君が彼女に寄り添った。
「金愛、もし今やってるものをやめろっていわれたら、どう思う?」
「……やだ」
「そうだな、嫌だよな。誰だって自分がやりたいことの否定されたら、嫌になるだろ? 金愛がそれをやりたいように、亮輔はお姉さんを助けたい。だから、怒ったんじゃないかな」
「かなみ、どうしたらいい??」
「先生を助けるために、金愛の力を貸してほしい。そしたら、亮輔に謝ろう。一緒にごめんなさいって。亮輔は優しいんだ、ごめんなさいすれば許してくれるさ」
その言葉に、彼女の瞳が動く。
すると阿南さんは、私たちの間をすり抜けるように扉の前にくる。
彼女は、扉に寄り添うようにそっと手のひらを添えてー
「扉さん、かなみ達を中に入れて」
途端、扉が光る。
次の瞬間、彼女の目の前から、ドアが消えた。
まるで、もともとなかったかのように。
一体何が起こったのだろう、ただ触れただけなのに。
「……あれ? なくなっちゃった」
「えっ、すげっ! 金愛お前、何したんだよ」
「お願いしてみたの。扉さんに、入れてって」
「な、なんだそりゃ」
「やっぱ、金愛はすごいな。よくやったぞ」
「……りょーちん、ごめんなさい。かなみ……」
「……先は長い。ついてこい、クビかどーかを決めるのは、そっからだ」
ぶっきらぼうに、火野君が言い放つ。
やれやれ、と言わんばかりに土屋君が息をつく。
そして柏木君が、次はお前の番とばかりにウインクをして見せてー
「い、行きましょう。阿南さん」
彼女へと、手を伸ばす。
私の手を取ってくれた彼女の顔には、ようやくいつもの笑顔が戻っていた。
(つづく!!)
おまけの小ネタ。
金愛、完全復活!!
金愛「塔、あいたーー! はいろーーー!」
晃「なんとか元気になったな。城から追われた時は、どうなることかと思ったが……」
慎「成り行きとはいえ、気にしていたんだろうな。金愛なりに、反省したんだろう」
亮輔「反省ねぇ……まあ、すげー力があるのは認めるが……」
金愛「なるみなちゃん、みて! あそこ、キラキラしてる!! いってみよ!!」
水帆「えっ! 待ってください!! 魔物が守ってますよ!?」
金愛「話せばわかってくれるよー! あっ、あっちにも色々あるー!」
水帆「ひぃぃぃ! た、助けてくださぁぁい!」
亮輔「……あれのどこが反省してるって?」
慎「うん……まあ、金愛はいつもあんな感じ、だな……」
晃「お前ほんっと苦労してんのな。とりあえず、成瀬助けるか」
金愛は金愛でした。




