16.思いがけない収穫
前回のあらすじ。
姉の手がかりを探し、ミッテ城に着いた一向。
しかし金愛が誤って城の地下から宝をとってしまい、
追われる身になってしまう。
何もかもなくなってしまった一方、
その宝物から、蝶花の姿や声がみえてー
『いやぁ、よかった。ちゃんと繋がって。みんな、元気そうだね』
優しい声色が、水晶から聞こえる。
一体何が、どうなってるのだろう。
阿南さんが城から持ってきた水晶らしきものをかざした途端、まさかの火野先生が映し出された。
彼女は長いベールのようなものを羽織っており、さながら占い師のように見える。
ひらひら手を振る様子は、保健室にいる彼女となんら変わらなくてー
「え、蝶ちゃん先生、だよな? これ繋がってんの?!」
『繋がってるよ〜といっても、そんなに長くは話せないけど』
「この人が、亮輔が探してる人、なのか?」
「は、はい……火野先生本人、だと思います……」
「そう、なのか。どうして、この水晶から……」
『それ、うちが使ってた水晶なんだ〜。魔力を通じて通信もできるんだよ〜』
「へえ……まるで、携帯電話みたいだな。それがお城に?」
『お城に寄付してたんだけど、ちょぉっとトラブルあってね、ずっと連絡を送ってたんだけど……金愛ちゃんが気づいてくれてよかった』
その言葉に、思わず阿南さんをみてしまう。
ピンときてないのか、彼女は首を傾げていたけれど。
一方、念願のお姉さんの姿だというのに、火野君は顔を顰めたままだった。
「あんた……本当に姉貴なんだな……?」
『あれ、亮輔? 柏木君達と一緒だったんだ。よかった、無事で』
「よかったじゃねぇよ。洞窟で会ったゴーレムが、あんたの名前言ってた。本当に姉貴なら、なんであんなことしたんだよ。平和主義なあんたが、生徒に危害を及ぼすなんて、するわけないだろ!!」
そう言う彼は、なんだか彼らしくない。
それほど、ゴーレムに襲われたのがショックだったのだろうか。
火野君の悲痛な叫びに、先生は困ったように笑って見せた。
『……ごめんね、手荒な真似しちゃって。魔王様からの命令だったんだよ。これはあくまで試練、あなた達がこの世界から出るには必要なことだって』
「その魔王って、あの先生だよな? 加納とかいう……オレらに何がしたいんだ??」
『詳しくは言えないけど……まあ、後の話は魔王さんに聞いて♪』
えぇ……そんな適当な……
「はんっ、試練とかどーでもいい! さっさとここからでるぞ! 姉貴!! 今どこにいる!!」
『あー、それが……うち、今フィリアの塔に閉じ込められちゃってるんだよねぇ……』
……え??
『ほら、さっきトラブルあったって言ったでしょ? 占いで怪しいってでた塔の探索にきたら、魔物に囚われて出れなくなっちゃって……』
「……占いって……こんなとこでもやってるのかよ。あんた四天王なんじゃねーの?」
『そうだけどぉ〜争いごとは苦手なの〜』
そういえば、彼女の特技は占いだった気がする。
保健室で休んでる時、よく気休め程度にやってもらったっけ。
やっぱりここでは、その人に対する何かが職業に影響されてるのかな……
「フィリアの塔……つーと、ここから割と近いな。それなら、オレら助けに行きますよ」
考えてる間もなく、柏木君がサラッと言う。
意外だったのか、蝶花先生は目を丸くさせた。
『え? 本当? いいの??』
「もっちろん。こーやって連絡取れたのも、何かの縁だし」
『で、でも……やっぱり危険だよ』
「それに、元々そのつもりだったんしな。ここで助けにいかねーと、りょうがうるさそうだし」
柏木君が、にっと笑う。
その笑顔から顔を逸らすように火野君は、目線を逸らした。
ようやくみつけた先生の手がかりだ。ここで、ほっとくわけにはいかない。
私も、先生を助けるために頑張らないと……
『……そっか、頼もしい限りだね。いい友達に会えてよかったね、亮輔』
「そ、そう言うのいいから! 地図貸せ! 塔の近道を探す!!」
『そういえば、金愛ちゃんは? さっきまで、そこにいたきがするんだけど……」
言われて初めて、隣にいた彼女がいないことに気づく。
いつのまにか、阿南さんは何かを探し回っていてー
「はんっ、どーせ飽きて自分勝手にどーでもいいそと探してんだろ? どーーでもいいよ、あんなやつ」
『あら、喧嘩でもした?』
「す、すみません。ちょっと、色々あって……金愛のことは、俺に任せてください。話は、俺からつけておきます」
『いい? みんな。フィリアの塔は、みんなで行っねね? 危険なことは、絶対しちゃダメ。それと、先生から一つアドバイス』
「まだ何かあんのかよ」
『塔では、金愛ちゃんの力が鍵になる。だから、頑張って』
その言葉に、みんなが顔を向ける。
言われた本人でもある彼女ー阿南さんは、
「?? なあに??」
と、不思議そうに首を傾げて見せた。
(つづく!!)
おまけの小ネタ
晃「しかしさすが異世界って感じだなぁ。まさか、蝶ちゃん先生と通信できるとは」
亮輔「呑気な口たたいてんじゃねーよ。そもそも本当に姉貴かどうか……」
蝶花『それにしても、柏木君達が亮輔と一緒なんて。びっくりだよ〜迷惑かけてない? ちゃんと、仲良くやれてる?』
晃「いやいや、オレらめちゃくちゃ仲良しで………いや、迷惑はかけられたな。仲間に誘っても全然入ってくれなかったし」
亮輔「なっ……!」
晃「入ったかと思えば、野宿は嫌だだの、火の番はオレがしろだの、口を開けば文句ばっかりで……なあ成瀬?」
水帆「で、でも、優しいところもありますよ! どんなに先に行っても、ちゃんと待っていてくれますし!」
亮輔「や、やめろ!! 人の身内に恥ずかしいことばらすな!!」
蝶花『あらあら〜仲良しさんだねぇ〜』
亮輔「どこがだよっ!!!」
喧嘩するほど仲がいい。




