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逆転包囲

包囲は逆転する


ついに勝竜城の城門が大きく開いた。


籠城を続けていた真壁幹久は、自ら先頭に立って兵を率い、豪雨の中へ飛び出す。


「遅くなった、佐野!」


「十分です!」


佐野は一瞬だけ笑みを見せると、馬首を返した。


勝竜城から打って出た真壁勢と、北から切り開いてきた佐野勢。


二つの軍勢がついに結びついたのである。


挟撃を受けた三好軍は、最後まで統制を失わず応戦した。


しかし、包囲網は完全に断ち切られ、前線と後方の連絡も絶たれていく。


やがて政康は苦渋の決断を下した。


「軍を分けよ!」


「飯盛山城へ向かう者と、伊丹城へ向かう者に分かれて退く!」


整然と退却を開始した三好軍は、戦場の只中で二つに分かれた。


一方は河内・飯盛山城へ。


もう一方は摂津・伊丹城へ。


その二つの流れは雨煙の中へ消えていった。


真壁はすぐさま槍を掲げる。


「今こそ討ち取る時だ! 一気に追うぞ!」


だが、佐野は静かに右手を上げた。


「追撃はしない。」


諸将は驚いて振り返る。


「敵はまだ秩序を保っています。ここで深追いすれば、こちらが各個撃破されます。」


佐野は戦場を見渡した。


味方もまた、長い包囲戦と雨中の激戦で疲弊していた。


「まず全軍を再編します。」


「兵を休ませ、負傷者を救い、兵糧を整える。」


「そのうえで逃げ道を塞ぎます。」


誰も反論しなかった。


三好軍は二つに割れた。


ならば、こちらも二つに分けて包囲すればよい。


数日後。


真壁幹久を主力とする軍勢は伊丹城を包囲し、摂津方面の退路を断つ。


一方、佐野昌綱は本願寺衆、筒井勢、松永久秀らを率いて飯盛山城を包囲し、河内方面を封じた。


勝竜城を包囲していた三好軍は、今や二つの城へ押し込められ、逆に包囲される立場となる。


こうして戦いは、新たな局面――飯盛山城・伊丹城の両包囲戦へと移っていくのであった。

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