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静と動の果て

前半終了を告げる太鼓が鳴り響くと、競技場は熱気を残したまま中休みに入った。

白虎の陣では、負傷した一人が医務室へ運ばれる。

しかし試合は止まらない。

残された者たちは輪を囲み、地面へ槍で陣形を描きながら激しく議論していた。

「朝基を止められねば勝てん!」

「中央を締めろ!」

「いや、左右へ振られる!」

「交代した者は最初から全力で行け!」

怒号が飛び交い、土には何度も線が描かれ、消される。

一方、玄武の控え所は驚くほど静かだった。

朝基が仲間を円に集める。

兵学館の教官や上級生たちも自然と視線を向けた。

朝基は一人ひとりの顔を見回すと、小さく笑った。

「――楽しもう。」

その一言だけだった。

全員が黙ってうなずく。

それだけで輪は解け、それぞれが馬へ戻っていく。

兵学館の生徒たちはざわついた。

「……終わりか?」

「作戦会議は?」

教官も腕を組む。

「玄武があれほど短い中休みを取ったのは初めてだ。」

別の教官が静かに答えた。

「違う。あれは確認だ。」

「全員が、もう同じ答えを持っている。」

やがて後半開始。

白虎は二人を交代させて戻ってきた。

対する玄武は誰一人交代しない。

審判が旗を振る。

玄武の蹴り出しで後半が始まった。

玄武は慌てない。

自陣で静かに鞠を回す。

右へ。

左へ。

後ろへ。

まるで名工が品を吟味するような穏やかな動きだった。

突然、朝基が鋭く指笛を鳴らす。

さらに空へ何かを描くように指を動かした。

次の瞬間。

鞠は高々と青空へ舞い上がる。

白虎陣中央。

両軍が押し合い、競り合う。

こぼれる。

奪う。

また空へ。

再び中央へ。

鞠は何度も白虎陣を往復し、そのたびに白虎は左右へ走らされ、体力を削られていった。

だが白虎も策を変えていた。

「朝基だけを見ろ!」

後半から二騎が徹底して朝基につく。

朝基が右へ動けば右へ。

止まれば止まる。

何かあれば必ず追い掛ける。

完全な監視だった。

しばらく空中戦が続いた頃。

ひときわ高く舞い上がった鞠が競り合いから外れ、御前席に近い左翼の空いた場所へ転がる。

朝基が真っ先に駆け出した。

白虎の二騎も一直線に突っ込む。

一騎目。

朝基は手綱を軽く引くだけでひらりとかわす。

勢い余った白虎の騎手は御前席下の石壁へ激突し、そのまま落馬した。

しかし二騎目は迷わない。

反則覚悟で朝基の腕をつかむ。

「逃がさん!」

その瞬間だった。

朝基は振り払わない。

逆に引かれる力を利用し、そのまま相手へ身体を預ける。

そして馬腹を蹴った。

一瞬で白虎の馬へ飛び移る。

「何っ!?」

突然二人乗りとなった馬は大きく揺れ、白虎の騎手は均衡を失って落馬した。

競技場がどよめく。

「敵の馬に乗った!」

「そんな技があるのか!」

六対四。

一瞬だけ生まれた数的優位。

朝基は落ち着いて鞠を拾うと、空いた中央を悠々と進む。

最後は完全に自由となった味方へ預けた。

「決めろ!」

乾いた音とともに鞠が門をくぐる。

玄武先制。

場内は歓声より先に騒然となった。

「反則ではないのか!」

白虎側が審判へ詰め寄る。

審判団は競技規定を確認する。

長い沈黙。

やがて主審が顔を上げた。

「敵の馬へ乗り換える行為を禁じた規定は存在しない。」

ざわめきが広がる。

「前例がないためである。」

主審は高々と旗を掲げた。

「得点を認める!」

その宣告に、競技場は今日一番の歓声とどよめきに包まれた。

続きでは、この流れから白虎の三人目の交代、朝基の跳躍と槍での超ロングシュート、白虎の投槍による奇跡の防御、試合終了、氏治の講評、表彰式までを一続きで描きます。

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