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青龍の一撃

白虎は後半に入っても試合の主導権を握り続けていた。

一対一を徹底する「鎖」の守りは青龍の攻撃を封じ、攻めに転じれば主将・小山を中心に四人でひし形を組む。

先頭が進路を切り開き、左右の二騎が敵を寄せつけず、最後尾の一騎が馬の足元でまりを細かく操る。

四騎は一体となって前進し、まるで動く砦のように競技場を押し上げていく。

青龍は何度も押し込まれた。

それでも最後の一線だけは譲らず、白虎の猛攻を耐え抜く。

試合は終始、白虎の流れだった。

前半の休憩では、大掾を中心に何度も策を練った。

しかし、白虎の守りを崩す答えは見つからない。

「答えは競技場の中にある。」

そう言って大掾は後半を迎えた。

後半に入っても青龍は勝負を急がなかった。

攻めながら白虎を観察し続ける。

追う角度。

味方との間隔。

攻撃から守備へ切り替わる動き。

白虎の癖を一つひとつ頭に刻み込んでいく。

後半十分。

大掾の目が鋭く光った。

「……見えた。」

白虎は交差する相手にも一対一で食らいつく。

その瞬間だけ、追う者同士の進路が重なる。

鉄壁の守りに潜む、ただ一つの綻びだった。

大掾は控えていた二人を呼び寄せ、地面に線を描く。

「三人で動く。交差して相手を引きつける。まりを受けるように見せる者、追手を止める者、そして俺が抜ける。」

二人は何度も動きを確認した。

約五分後、残り十五分となったところで三人は同時に交代する。

競技場へ入った三人は、すぐには仕掛けなかった。

左右へ開き、中央で交差し、再び散る。

八の字を描くように何度も高速で位置を入れ替えながら、白虎の反応を確かめる。

白虎はこれまでどおり一対一で追い続けた。

試合の流れはなおも白虎だった。

しかし時間が過ぎるにつれ、青龍の連動は速度を増し、白虎は追うことに意識を割かれていく。

残り五分。

大掾が叫ぶ。

「今だ!」

三人が一斉に加速した。

左右から中央へ切り込み、八の字を描くように高速で交差する。

一人がまりを受けるように飛び出す。

白虎も迷わず追う。

だが、その青龍はまりを受けず、そのまま追ってきた白虎の前へ馬を滑り込ませた。

一瞬、白虎の追撃が止まる。

その脇を、まりを操る大掾が風のように駆け抜けた。

誰も追いつけない。

一直線にゴールへ迫ると、渾身の一蹴を放つ。

まりは一直線にゴールへ吸い込まれた。

競技場が大歓声に包まれる。

小山は即座に叫んだ。

「受け渡せ! 交差に釣られるな!」

白虎はすぐに守りを修正する。

再び青龍が同じ高速機動を仕掛けても、今度は白虎は崩れなかった。

試合は再び白虎優勢のまま膠着する。

それでも青龍は一点を守り抜き、ついに試合終了の笛が鳴った。

白虎は最後まで試合を支配した。

しかし、大掾は二十五分にわたる観察の末に見つけた、たった一度の綻びを逃さなかった。

その一撃だけで勝敗は決したのである。

試合後、小山は馬を降りると大掾の前へ歩み寄った。

「見事だった。あの一撃は読めなかった。」

大掾は静かに笑う。

「あれは一度しか通じない。次はもう破れないだろう。」

「なら、次はその上を行く。」

二人は固く手を握り合う。

その光景に、競技場は勝敗を超えた拍手に包まれた。

人々が語り継いだのは、青龍の勝利だけではない。

鉄壁の白虎と、その鉄壁をただ一度だけ切り裂いた、大掾の「青龍高速機動」であった。

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