第4話 霧の先、リヴェラ
キャンサーを倒した後の美咲は、その場から動けなかった。
軽く息を整える。
そして携帯端末に視線を落とすと、おぼつかない手つきで画面に触る。
数個のアイコン。
その中の、マップと書かれたアイコンに指で触れた。
画面の中央に青い点。美咲は画面を、指でスライドする。
マップのほとんどが、霧で覆われていた。進行方向の先、霧の上に文字が表示されている。
【リヴェラ】
美咲は端末をポーチにしまうと、まっすぐ歩き始めた。
歩いている途中、美咲はときおり立ち止まった。
見慣れない植物。何かの機械の残骸。とりあえず拾い、バッグにしまう。
ときにはまた、キャンサーに遭遇して、ぎこちないながらも戦い、経験値が増えた。
端末の画面が淡く光る。
そして、数十分が過ぎたころ。
木々の隙間から、ひとつの看板が見えた。
【最初で最高の街 この先】
文字はかすれていて、鉄板はすでに錆びていた。
だけど、それは確かに道しるべだった。
彼女は走り出した。
草を踏みしめ、木をすり抜け、そして──
視界が一気に開けた。
その先にあったのは、まるで物語の表紙のような光景だった。
遠くからでも見える高層の塔。電力と蒸気が交差するような、どこかレトロで未来的な景観。
「おおきい……!」
思わず声が漏れた。
門をくぐると、景色が一気に変わる。
足元には石畳と金属パネル。重厚さと機能美の混在。人工的な風が吹き抜ける音の中に、人の気配が混じっていた。
中央広場には、忙しく辺りを見渡す人々。ベンチには、目を閉じ俯くプレイヤー。街角では、慣れた手つきで品を並べるプレイヤーもいた。
声を荒らげる者もいれば、楽しそうに話をしている者もいる。
美咲は高鳴る鼓動を胸に、一歩踏み出した。
【Misaki. → リヴェラ入国】




