74 茜の迷宮攻略記 2
「私の作った魔法は物を別の空間に詰め込むことができるものです。」
「物を別の空間にですか?」
「はい。これを使えば大量の物資を迷宮内に持ち込むことができます。」
「大量に物資を持ち運べる魔法か。」
佐助さんはそう言って考え込みます。
あれ?反応がいまいちよくないです。
もう少し押してみましょう。
「これがあれば迷宮の深層へ食料を運んだりが楽になると思うのですが…?」
「そうですが、魔法を一般公開しなかったということは何か理由があるのですよね。」
「ええ、まぁ。」
「では、その辺理由を教えて貰ってよろしいでしょうか?詳しく魔法についてわからないと判断できないこともありますので。」
「は、はい。この魔法を公開できなかった理由は使える空間が少ないことが挙げられます。だけど容量はそうですね……、『光陰星霜』のみなさんの一年間分飲み物食べ物を入れておくことができます。ただ、欠点としてその空間を実は共用できてしまうという点があります。ただ、その辺は魔道具防止ができます。それと、一番の問題点は魔力の消費費が激しいことです。私でも一日六、七回が限界です。」
私は魔法の利点や欠点をなるべくわかり易いように説明します。
「なるほど、でも今回の場合は共用できるのは利点になりますね。」
「そうなのですか?」
「ええ、地上と迷宮内で空間を開ける人物がいれば定時連絡や急な物資の搬送が行えます。」
「なるほど、情報伝達手段にも使えるのですね。」
確かにそう言う使い方もできますね。
そうすれば旅立った後もお妙ちゃんとの連絡に使えますね。
そんな使い方、気が付きませんでした。
「必要な物をすぐに送り届けられるのはとてもすごいことですよ。ただ、魔力の消費が大きそうなのが問題ですね。」
「それは、結構魔力消費を下げる努力はしたのですけどこれが限界でした。」
「まぁ、それは仕方がないでしょう。それで茜さんの魔法を本当に攻略に使わせて貰ってよろしいのでしょうか?」
「はい、構いません。そのために提案させて貰いました。」
「ただ、いきなり茜さんの魔法に頼る訳にも行きません。今までの攻略と同時に茜さんの魔法を使わせて貰うという形で進めてもよろしいでしょうか?」
確かに人とお金のかかる攻略を私の魔法に頼って失敗しちゃったら、大変だものね。
何かあった際の補完があった方が安心だよね。
「もちろん、使い方はお任せします。」
「なら、私達は地上にいても大丈夫なのでは?」
なら、お妙ちゃんは佐助さんの言葉を聞いてそう言いました。
むむ、確かにそのとおりだけど、それはいけません。
九重さん他『光陰星霜』の第二徒党までついてくれるのですから、せっかくなので迷宮の奥も見てみたいです。
「お妙ちゃん、佐助さんも言っていたけど、私の魔法に何かあった際に私達が近くにいなかったことで危険な目に合うことだってあるんだから、今回は予定どおりある程度階層を進んだとこで待機していた方がいいともうのよ。」
「なるほど。茜さんはしっかりいろいろ考えているんですね。」
「ははは、確かに考えてはいるけど、茜の表情からするとどっちかって言うと良からぬ考えっぽいけどよ。」
仁藤さんは私の方を見てそう言ってきました。
そのとおりだけど、そんなこと言わなくていいのに。
「そ、そんなことないですよ。しっかりと今回の攻略の成功を考えてですから。」
「そうか。そうか。でも、茜の魔法が使えるなら結構楽ができそうだな。礼を言わせて貰うぜ。ありがとな。」
そう言って仁藤さんは頭を下げます。
「そんな、頭を下げないでください。こちらも魔石を融通して貰えて感謝しているのですから。」
私は恐縮して、急に下でに出てきた仁藤さんにそう返すのが手一杯です。
「そうだったな。でも、茜の魔法が使えるなら魔石も安い物だったな。」
「ですね。口利きの件も含めて本当に助かりました。なんせ毎日のように筆頭に小言を言われてましたから。」
仁藤さんと佐助さんはそう言い合った後も、笑いながら、しばらくお互いへの非難をしていました。
二人とも仲がいいことで。
結局、魔法の件もあり、役割等について練り直すことになったので、また日時を改めて打ち合わせをすることになり、その日は解散になりました。
私達はそんな訳で時間ができたので、魔法司に出向くことにしました。
途中、帰り道だと遠回りになっちゃうので、いつもは行かないちょっとお高めのお菓子屋さんに今日のお菓子を買いの寄ります。
なんで魔法司に行くことにしたかと言うと、魔法は公開されないことになったけど、果たして他人に教えてもいいのか確認を取りたかったためです。
今までは自分で使うことしか考えていなかったから、他人に教えるなんてこと考えたこともなかったためです。
今日は夢占さんでなくても問題ないかなと思っていたのですが、受付で順番待ちをしていたら、顔を覚えられていたらしく。
受付前に一人の職員が奥へと下がって行きました。
そして、受付に辿り着く前に夢占さんのところに連れていかれてしまいました。
今更、今日は夢占さんでなくてもとは言えませんので、仕方がないです。
あっ、でも口利きのお礼を言っていませんでしたから、ちょうどいいかもですね。
「「こんにちは。」」
「いらっしゃい。今日はどのようなようです?」
「あ、あの、迷宮攻略の口利きのお礼がまだだったので、そのお礼をと思いまして。」
「そうだったのですか。わざわざそのようなことで顔を出さずともよいのですよ。」
「いえ、ちゃんと顔を見せてお礼を言いたかったので、ありがとうございます。」
そう言てから、自分達用に買ったお菓子を差し出します。
お妙ちゃんはそれを見て、ちょっと悲しそうな顔をしています。
さすがにお礼を言いに来て、何も渡さないのはね。ごめんね。帰りにまた買って帰ろう。
夢占さんはお菓子の入った袋を見て、嬉しそうに受け取り、中を確認します。
「ありがとうございます。なかなかここのお店のこのお菓子は人気でなかなか買えないのですよね。」
そして、中を確認すると更に笑顔でそうお礼を返してくれました。
むむむ、美味しそうだと適当に選んだのですが、そんな人気の商品のようでした。
「そうだったのですね。評判で初めて寄ったのでそこまで知りませんでした。」
「そうですか。では、これでみんなでお茶にしましょう。」
夢占さんはそう言うとお茶を持ってくるよう命令をしてくれました。
お妙ちゃん、良かったね。これで食べられるよ。
待っている間、このお店のことに夢占さんが詳しかったので、他の商品についても詳しく聞きます。
そして、お茶が運ばれてきてみんなでお茶を楽しみました。
ああ、そうだ肝心のことを聞くのを忘れるところでした。
「それとですね。私の創出した魔法のことで聞きたいことがあったのですが、よろしいでしょうか?」
「私に答えられることでしたら、どうぞ。」
夢占さんに、私は魔法を他の人に教えたい理由を説明して、魔法を教えても大丈夫か尋ねました。
結果、魔法を教えるのは構わないが、無闇に広めないようにだけ注意されました。
これで今回の遠征で魔法を使っても大丈夫だし、旅に出てもお妙ちゃんと手紙のやり取りを気軽にできそうで良かったです。




