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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
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70 魔道具のためにできること 6

 錬金屋に戻った私達はさっそくお政さんにお願いをしました。


 「お政さん、お願いがあります。迷宮攻略を目指す『光陰星霜』に手を貸したいのですが、その間お暇を頂けないでしょうか?」


 「茜、戻っていきなり、何だい。もう少しわかり易く話しな。」


 いきなりの私の提案にお政さんはそう言って、わかり易く話すように促す。


 「あの実は、魔道具作成に第二十三層以降の階層主の魔石がどうしても必要なので、それを手に入れたいので、その為に動きたいのです。」


 「そう言うことかい。仁藤の旦那から相談を受けているけど、茜、迷宮攻略の許可がおりずにが上手く行ってないのを知っているんだよね?」


 「はい。」


 「なら、なにか当てがあって、そう言っているのかい?」


 「まぁ、確実とは言えませんが、結構、影響力がありそうなところから口添えが貰えそうでして。」


 私はそう言って、頭の後ろに手をやり笑みを作る。

 お政さんはそれを見て、ため息をつくとこう言ってくれた。


 「まぁ、細かな話はいいだろう。茜がそう言うなら、仁藤の旦那に話を持って行ってみな。向こうが納得して、同意が得られれば、好きにしていいよ。」


 「あ、あの……。」


 お政さんの言葉を聞いて、お妙ちゃんも声を発する。


 「なんだい、お妙、お前さんも茜に手伝いたいのだろ?」


 お政さんはお妙ちゃんが言葉を言い切らないうちにそう言ってきた。

 前回は成り行き迷宮に行くことになったお妙ちゃんだけど、今回は自ら私と一緒に来てくれると言ってくれようとしていたなんて、嬉しいねえ。


 「は、はい。」


 「なら、手伝ってやりな。」


 「いいのですか?」


 「まぁ、お妙も茜が迷宮に潜っているのに、ここにいちゃ、心配で仕事にならないだろうからね。」


 本来なら錬金に関係ない今回の件はお妙ちゃんには完全に業務外だけど、お政さんはそう言って、お妙ちゃんの同行を許してくれた。

 でも、危険な迷宮に行くんだ。

 お妙ちゃんに何かあったら、お藤ちゃんや両親に申し訳ないからね。

 しっかり、無事に帰れるようにしないとね。


 「ありがとうございます。」


 お妙ちゃんはお政さんの言葉にそう言って頭を下げる。


 「まぁ、あたし一人でもともと切り盛りしてたんだ。暫くの間なら店のことは問題ないからね。でも、戻って来たら二人ともきりきり働くんだよ。」


 お政さんはお妙ちゃんの態度に照れくさそうにそう言ってくれました。


 「「はい。」」


 私達は揃ってそう返事をし、顔を見合わせました。

 これで、あとは『光陰星霜』のほうで魔石をくれるかだけど、貴重な物だから果たして、迷宮攻略許可と私達の手伝いで釣り合ってくれるでしょうか?


 今日中にも交渉に行きたかったのですが、もうすでに日暮れ時に近かったので、お政さんに「長い話になるだろうから、明日にしな。」と言われてしまいました。

 なので、明日、『光陰星霜』に伺うことにしました。

 ただ、いきなり行って、仁藤さんが不在だと困るので、明日伺うので都合の良い時間を教えて欲しい、明日都合が悪ければ都合の良い日時を教えて欲しいと手紙を書いた。

 それを近所の成人間際の男の子にお駄賃を渡して、返事を貰ってくるように頼んだのでした。 


 小一時間ほどして、手紙を頼んだ男の子が返事を持って来てくれました。

 明日は仁藤さんは一日中空いているが筆頭補佐の佐助さんは午後に出かけるので、午前中に顔を出して欲しいと返事の手紙には書いてありました。

 それを話してお政さんに明日も出かけさせて貰う許可を貰う。

 お政さんは九重さんも明日は『光陰星霜』で稽古があるはずだから、一緒に行くように言ってくれた。


 翌朝、朝食を済ませると、私はお妙ちゃんと九重さんを連れ立って、職人さんが仕事場へと向かう少し早い時間に『光陰星霜』へと向かう。


 「今日は九重さんがいるのに、私までついて行く必要あります?」


 いつもは一緒について来てくれるお妙ちゃんが、珍しく向かう途中そう言ってきた。

 それに九重さんがすぐさま答えてくれた。


 「俺は話し合いの後、若造共に稽古をつけなくてはならないからな。茜殿を一人放つのは不安だろ。」


 ちょっと言い方、なんですかいつも私が何か起こしている訳ではないですからね。

 あ、でも、今回の件は私が原因ですね。


 「そうですか。わかりました。しっかり面倒見ます。」


 「あの、お妙ちゃん、私の方が年上だよ。面倒は見なくても平気だから。」


 私は年下のお妙ちゃんに面倒見ますと言われたので、そうやんわりと否定して見せます。


 「いいえ、茜さんはちょっとこの世界の常識が抜けているので、しっかり面倒見させて貰います。」


 「ははは、確かに、ちゃんとお妙殿の言うことはしっかり聞いとけよ。茜殿」


 「うー。そんなことないもん。しっかりしてるよ。」


 私は必死に否定するも、二人とも取り合ってくれません。

 そんな扱いだったのお妙ちゃん、悲しくなっちゃうな。

 などと話しているうちに、『光陰星霜』に辿り着いた。

 今回は九重さんがいたので、軽口を叩かれたりせず、お互い無言で会釈をして中に入る。


 九重さんは屋敷の玄関で、清掃をしていた女中さんに仁藤さんに取り付いて貰うようお願いする。

 いつもは勝手に入っているのだろう、女中さんは九重さんに呼びかけられ、そう言われたので一瞬戸惑いつつもすぐさま、返事をして奥に引っ込んで行った。

 しばらくして、筆頭補佐の佐助さんが出てきて、私達を『光陰星霜』の筆頭を務めている仁藤さんのところに連れって行ってくれる。

 居間に通されると畳間にソファーが置かれ、そこに仁藤さんが寛いでいた。


 「よう、なんだい茜さん。昨日急に会いたいと手紙が来て、迷宮攻略の手助けができると書いてあったが、さっそく話を聞こう。」


 仁藤さんは私達を見るなり手を振ると、そう話を切りだしてきた。

 私達も挨拶をすると、仁藤さんの向かいのソファーに座る。

 椅子に座り慣れていないお妙ちゃんは落ち着かない感じで座って、しきりに落ち着く姿勢を探している。

 案内してくれた、佐助さんが仁藤さんの横に座ったのを確認し、私は話を切りだす。


 「この度は私の話を聞いてくれる場を設けていただいて、ありがとうございます。」


 「なに、そんな堅苦しい挨拶は無用だぜ。さっさと用件を話してくれや。」


 仁藤さんは私の言葉をにそう答える。

 うん、これはさっさと話を切りだした方が機嫌を損ねないで済みそうだね。

 そう考え、私はさっさと用件を繰り出すことにした。

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