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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
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68 魔道具のためにできること 4

 とりあえず、私と甚兵衛さんで設計図と仕様を基に魔道具の錬金術でつくる材料について相談をする。

 私は錬金素材について売買しても、出来上がった物を受け取るのは私なので基本無償で作って渡すことになった。

 ただ、錬成するための素材を甚兵衛さんが提供してくれる物に関しては、私が適正な値段を払うということでまとまった。

 それと錬金素材とその他の素材についても、甚兵衛さんが、持っている物を教えて貰う。

 魔道具づくりの素材だけあって、かなりの素材は持っているようだが、それでも迷宮の奥の素材は持っていないようだ。


 「結構、抜けがあるね。」


 「ですねぇ。」


 私とお妙ちゃんは甚兵衛さんの持っている物を読み上げているのを聞き、その材料に印をつけていきました。

 半分ちょっと、材料が揃っていません。

 中には私がきいたことがある材料もあるので、これ全部が揃いにくい物という訳ではないだろうけど、結構集めるのが大変そうです。


 「うん、これでも貴重なものは懐が許す範囲で買集めていたんだけどもね。」


 それを聞いて、甚兵衛さんも申し訳なさそうにそう言いい、お房さんを覗き見ます。

 あー、その辺は兄妹で攻防があったのね。


 「兄さん。これ、どうするの。せっかく設計図ができ上ってもこれだけ材料がなくちゃ、作れないじゃない。」


 お房さんは甚兵衛さんの視線を意に介さず、こう言ってきました。


 「そうなんだけど。これでも頑張って集めやすそうな素材に替えたりして、工夫したんだよ。」


 「それでも、作れない図面じゃ、意味ないでしょ。茜さん達だって期待して、来ているのに。」


 言い訳をしている甚兵衛さんにお房さんはそう言って、怒ってくれています。

 でも、私達も状況が分からず、急いで来てしまったので、あまり強くは責めれません。


 「わかってるけど。とりあえず、茜さんも錬金術方面の伝手を頼って、材料を探して見てくれないか?こっちももう少し方々に声を掛けてみるからさ。」


 甚兵衛さんはそう言って、私に頼み見込んできました。


 「わかりました。いろいろとあっちこっちに聞いてみましょう。」


 ここで素材が集まらないので作れませんでは、今までの努力が水泡に帰してしまいます。

 頑張って探してみましょう。


 「でも、問題はこの魔道具に使う魔石なんだよなぁ。」


 「なにが問題なのですか?」


 私は、甚兵衛さんが呟いた言葉が気になり、聞き返します。


 「うん、大きさ的に迷宮の二十二階層以降の階層主の魔石が必要になるのだけど。」


 「なら、それを買えばいいのでは?」


 奥の方の階層主の魔石だと高そうですね。

 いくらくらいするのでしょう?

 私は気になり、そう尋ねます。


 「探索者もそこまで潜ったことがある者が少ないので貴重品なんだ。まして、最近はそんな挑戦者も潜ってなくなってしまっては人材の損失だと、探題府も滅多に許可を出していない。」


 「となると、もし手に入るとなっても高そうですね。」


 「ああ、高いなんてものじゃないだろうね。というか売りになんて出ないのではないかな。」


 「ちょっとまってよ、魔石が手に入る見込みがないのに、材料を整えるつもりなの?」


 お房さんは私と甚兵衛さんのやり取りを聞いて、そう言って甚兵衛さんに詰め寄ります。


 「まぁ、そのつもりだけど、まずいか。」


 甚兵衛さんは初めての物なのでとりあえず作ってみたかったのでしょう。

 そう言います。


 「まずいでしょ。作った製作費の回収見込みが立たないのよ。それに茜さんもいつまでも待たせることになるし。」


 お房さんは作り始めてもいつ完成するかわからないので、結構な金額のする材料費の回収の見込みが立たないことなどを心配して、そう言います。


 「それは困ります。茜さんだって、この街を離れる予定なのに、完成見込みのない物にお金をかけられません。」


 それを聞いて、お妙ちゃんはそう言ってくれます。

 確かに、九重さんの用事が済めば、旅発つことになるけど、それまでに手に入らない物に確かにお金は出せないね。


 「え、そうなのか。」


 甚兵衛さんは知らなかったので、私にそう聞き返してきました。


 「はい、すみません。すぐにという訳ではないですけど、その予定です。」


 「なら、自分で作れないのは残念だけど、設計図だけ売ろうか?」


 甚兵衛さんは大変残念そうにそう言う。

 でも、これからの旅のために作り始めたのです。

 ここで完成させないと意味はないのですよ。

 そうだ、探題府でご褒美を貰えると言っていたけど、聞くだけ聞いてみましょうか。


 「ちょっとまってください。心当たりに掛け合ってみますので、その返事を待ってから、決めましょう。」


 「俺は作れる方がいいけど、そんな心当たりがあるのかい?」


 甚兵衛さんは怪訝そうにそう言う。

 そうだよね。さっきまで必要としている魔石の価値も分かっていなかったのに、こんなこと言いだしてきたんだから。

 でも、聞く相手は夢占さんだし、駄目もとで聞いてみましょう。


 「とりあえず掛け合ってみます。善は急げです。これから行ってみます。」


 「ああ、任せるよ。」


 「では、行きましょう。お妙ちゃん。お世話になりました。また、伺います。」


 私はそう言うとすぐに席を立って、出口へと向かった。


 「え、あ、ちょっと待ってください。では、失礼します。」


 それを見て慌てた様子で、お妙ちゃんはそう言って、退席の挨拶をしてあと追う。


 「ええ、気を付けて。」


 「ああ、またな。」


 二人は慌てて出ていった私達をそう言って、見送った。


 

 私は老亀堂を出ると、足を探題府に向ける。


 「ちょっと、待ってください。そっちは探題府の方向ですよ?」


 慌てた様子でお妙ちゃんはそう言いながら、ついてくる。


 「うん、ちょっとこの前ご褒美をもらったので、その交渉に行くよ。」


 「ええ?!」


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