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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
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67 魔道具のためにできること 3

 お房さんを交えた料理作りの日がやってきました。

 お妙ちゃんはこの日のために何を作るか考えてくれました。

 奏さん達はもうすでに何度か参加していることもあり、かなり色々な料理を作れるようになっています。

 ですが、この日は初めて参加するお房さんもいることから、かなり頑張ってくれたようです。

 今日の献立はピーマンと茄子の肉詰めと炒飯、卵スープを作ることになった。


 肉詰めはハンバーグや他の肉詰めにも応用できるし、炒飯やスープ類は具材を変えれば、いろいろ応用が利くしね。

 でも、ひき肉を作るの面倒くさいよね。

 ミンチマシーンみたいなの誰か作ってくれないかしらね。 

 この献立なら、お房さんも今回の料理会で習った料理を応用させれば、いろいろ作れるしね。


 午前中は食材を買ってまわり、準備をし待っていると、お房さんがやって来た。


 「ごめんください。老亀堂のお房と申します。茜さんとお妙さんいらっしゃいますか?」


 店先でお房さんの声が聞こえた。

 その声を聞いて、お妙ちゃんが迎えに出る。

 私も台所の方の準備に向かう。

 台所で準備をしていると、お妙ちゃんとお房さんがこちらにやって来た。


 「こんにちは、茜さん。今日はよろしくね。」


 「こちらこそ、よろしく。お房さん。それで甚兵衛さんの魔道具の進み具合はどうです?」


 「まぁ、新しい魔法を使った新規の設計図だからね。まだもうちょっとかかりそうよ。」


 「なにか必要な物があったら、遠慮なく行ってね。でも、今日は料理を楽しみましょ。」


 「はい。」


 そんな会話をしていると奏さん達が勝手口から入ってきた。


 「みなさん、こんにちは。おおう、もう揃っているのね。」


 「こんにちは。今日はよろしく。」


 二人は私たちを見とめて、そう挨拶してきた。

 私達も挨拶うを返す。


 みんな揃ったので、さっそく調理を始める。

 まずは珍しく魔物ではなく、普通の鶏が手に入ったので、ガラで出汁をとる。

 その後、私とお妙ちゃん、お房さんで猪のような魔物の肉を包丁で細かくミンチにする。

 迷宮があるからお肉が手に入るけど、迷宮がないところだとやっぱりお肉って手に入りにくいのかな?

 見た目は普通の豚肉と変わらない美味しそうなお肉です。

 味も迷宮内で運動しているので、引き締まったいい肉で旨味もあります。

 ただ、本当にこの挽肉にする作業面倒くさいよね。

 挽肉づくりと並行して玉ねぎのみじん切りも行う。

 炒めた玉ねぎのみじん切りを挽肉と混ぜる時、冷ましておかないといけないからね。

 一応、口頭で奏さん達が行っている作業をお房さんに説明する。

 こんな感じで、調理は順調に進む。

 

 お房さんは普段から料理をしているだけあって、手際はいい。

 奏さん達は私が作る料理を作り慣れているだけあって、こちらも指示するだけで素早く作業に取りかかって行く。

 そう言えば、『光陰星霜』の筆頭の仁藤さんに獣人向けの味付けも教えて貰えればと頼まれていたんだ。

 でも、今日の料理はこのままでも大丈夫そうなんだよね。

 そんな訳で、お房さんのことをお妙ちゃんに任せて、私は奏さん達のところで、いままで作った料理で辛い料理の刺激がなくてもある程度満足できるようにする方法を教える。

 私も獣人なんだけど、この辺の味覚は以前のままなのだよね。

 だから、辛いのが苦手な人向けの味付けで本当に満足なのかはわからないけど、サキちゃんも美味しいと言ってくれているから、大丈夫だろう。


 出来上がった料理をみんなで食べることにする。

 化学調味料や出来合いの調味料がないので、いまいち私には物足りなく感じるが、みんなは満足してくれたようだった。

 お房さんも作りながら教わった他の野菜などの組み合わせも試して作ってみると喜んでくれた。

 こうしてお房さんを交えた料理会は満足のうち終了した。


 そして、しばらくしてある日、お房さん再び錬金屋に来た。

 話を聞くとついに異空間収納の魔道具の設計図ができたとのことだった。

 都合にいい日に来て欲しいとのことだったが、私は設計図のことが気になったので、お政さんに無理を言って、今から向かえるよう頼み込む。

 お政さんは「仕方がないね。」と言って、許可をくれた。


 そんな訳で、いまいち事情を掴めていないお妙ちゃんも連れだして、お房さんと共に老亀堂に向かう。


 「ねぇ、茜さん、お房さんとどこに出かけるのですか?」


 連れ出されたお妙ちゃんはそう私に問いかける。

 私は早歩きで歩きながら、事情を説明する。


 「本当ですか。楽しみですね。」


 「ははは、お妙さん。できたのは図面だけだから、見ても楽しくないよ?」


 お房さんは、お妙ちゃんの反応をみて、そう笑いながら言う。

 まぁ、確かに私達が見ても分からないけど楽しみには変わりないよ。

 などと浮ついて楽しみながら、私達は老亀堂に到着する。


 甚兵衛さんも私達がいきなり来たことには驚いたが、すぐに店を閉めて、家の奥に私達を連れ込む。


 「では、さっそく……。」


 そう言って、甚兵衛さんは私達を座らせると、お房さんが飲み物を取りに行って、戻って来るのを待たずして、説明を始める。

 一生懸命説明してくれたのですが、私には何のことかあまり分かりません。

 一応、私には魔道具作りの素養もあるはずなんだけど、いきなり専門的なことを話されても、理解できるという訳ではないので役立ちませんでした。

 それなので、ひととおり甚兵衛さんの説明が終わるのを待つことにする。


 説明中のお房さんも飲み物を持って戻ってきた。

 だが、甚兵衛さんが説明をしているのを見て、飲み物を差し出しながら、目を合わせて私達に無言で謝るだけしてくれた。

 お房さんでも、この状態になった甚兵衛さんを注意はできないのね。

 外から急いでここに来たこともあり、飲み物を飲みながら、甚兵衛さんの説明を聞く。


 説明が終わると満足した様子で甚兵衛さんは私達を見てきたので、よくわからないながらも凄いですねと褒めたたえる。

 そして、完成見込みやこちらで用意して欲しい物を聞いてみる。

 それについては、甚兵衛さんも用意をしてあったらしく、必要な錬金術の成果物の一覧と、甚兵衛さんが用意できない材料の一覧などが書かれた紙が差し出された。


 「実は、この中でいろいろと手に入りにくい物などもあるのですよ。ですので、設計図ができたからと言ってすぐに完成とは行かないのです。せっかく楽しみにして頂いたようですのに申し訳ございません。」


 「そうなのですね。」


 私はそう答えながら、甚兵衛さんの用意した紙を見る。

 うん、作ったことない錬金術の成果物がいろいろ書かれていた。

 ただ、材料を見ると、いくつかは知らない材料もあるが、この辺は問題ないようだった。

 あとは素材についてだけど、そう思い、そちらにも目をとおす。

 なるほど、魔物の素材がいくつ書かれているが、材料と一緒に書かれた説明を見ると、結構迷宮の奥の素材が多い。

 さて、どうしようか。



多用のためちょっと更新が遅れました。

よろしければブックマーク、評価、ご意見、感想などよろしくお願いします。

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