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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
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62 老亀堂にて 13

 その後も夢占さんと甚兵衛さんは魔法の創出に参加してしてくれた。

 甚兵衛さんは、お房さんが止めるかと思ったが、多くて週一回くらいの頻度での実施なので問題はない。むしろ外にあまり出ないお兄さんにはちょどいいと言っていた。

 そんな甚兵衛さんは最初の見学で魔道具をずっといじっていただけで、話にも交わってこなかったので、あまり役に立たないと思っていた。

 だけど、私達や夢占さんにも慣れてくると、いろいろと魔道具製作者としての視点から指摘をしてくれるようになった。

 夢占さんと甚兵衛さんからの指摘もあり、空間接続も最初こそ不安定だったり、魔力を多く消費してしまったりと言ったこともあったのも徐々に改善していった。

 それと最初に夢占さんが話していた空間の座標が移動しないければという話も、『異空間探査』を毎回試した結果。

 異空間が動いていないということも判明した。

 これで空間を接続させる魔法に『異空間探査』を組み込む必要がなくなったので、その分の魔力消費が減らせることが確定した。

 それでもまだ、空間を接続するだけでも、まだ、魔力消費が多く、普段使いの魔法としてや魔道具化は難しいし、他の人に空間が接続されないようにするなど、いろいろ問題点を消し去って行かないといけないことがある。


 その辺の問題点を解消するべく、みんなと相談をしながら、試行錯誤の日々が続いて行った。

 それでも、魔法が万能でないということを実感する。

 異空間を他者に使われないようにするという効果を中々付与できずにいた。

 魔法を発動させて、その効果をずっと維持するというのは無理なので、その辺をどうするかという問題を解決できずにいる。


 それから数回、異空間接続に費やす魔力だけは多少は魔力を軽減は出来たが、あまり前に進まない状況が続く。

 そんな中、甚兵衛さんがあるときある魔道具を抱えて持って、待ち合わせに少し遅れてやって来た。


 「なんですか?それ。」


 私をその魔道具を見て、そう声を掛ける。


 「これはですね。既存の魔法をちょっと改良して作った魔道具です。これを茜さんが見つけた空間にこれを入れれば、他人がこの空間を探せなくなるのです。」


 もうこの頃になると、甚兵衛さんも私達に慣れて、流暢に話せるようになっている。

 なんですか、それ、凄すぎません。

 それがあれば魔力をかなり節約できるようになりますよ。感謝です。

 そう思い、私は甚兵衛さんにお礼を述べます。


 「凄いですね。それ。空間が他の人から見つけられなくなるとそれだけでかなりの魔力を使わずに済むようになりますよ。ありがとうございます。」


 「ただねー。少ないけど常時魔力を使うから、向こうの空間に魔力が常にどれくらいあるかも確認しないとなんだよね。」


 「まるほど、その点も向こうにその魔道具を送って、試すのですね。」


 「そう言うことです。ただ、三日前に思いついて作って今日の朝完成したので、試験もまだできてないんですよね。」


 そう言って笑った甚兵衛さんは明らかに疲れた様子だった。

 どうやら、寝食を惜しんで魔道具作成に取りかかってくれてたのだろう。

 そんな頑張って作ってくれた魔道具です。うまく作動するといいな。

 でも、この魔道具、おいくら万円なのでしょう?私は恐る恐る聞いてみます。手の届く値段でありますように。


 「それで、それはおいくらぐらいになるのですか?」


 「ああ、これは私が試しに作ったまでですから、お代は結構ですよ。」


 「そうは行きません。やはり誰も損しないということは大事です。しっかり払わせていただきます。」


 私はお金を要らないといった、甚兵衛さんにそう言って支払うことを宣言します。


 「うーん。わかりました。後で計算しておきましょう。工房にある、ありあわせの材料で作ったのでそんな高くはないですよ。」


 「お房さんにも言っておきますけど、材料費だけでなく、ちゃんと設計料も上乗せしてくださいね。こんな魔道具を買うの私くらいでしょうから、働き損にならないようにね。」

 

 「わかりました。でも、依頼主の方が吹っ掛けて来るなんて変わってますね。」


 「別に安ければ安い方がいいですけど、今後もお付き合いがあるかもですから、対等でいたいだけですよ。さぁ、みんな揃ったので、迷宮に向かいましょう。」 




 そうこうして、いつもどおり訓練場にやって来ると、準備に取りかかる。

 その間に、甚兵衛さんと夢占さんが、夢占さんの質問を苦にすることなく、饒舌に甚兵衛さんは説明しながら、魔道具の最終調整をしてくれている。

 自分が質問を苦にしないから、甚兵衛さんはあれだけ質問魔になるのだろうな。

 そんなことを思いながら、準備を終えたので、魔道具をいじっている二人を眺め見ている。


 やがて、調整が終わったようで甚兵衛さん達が魔道具を私に渡すため、近づいて来た。


 「茜さん、これ凄いですよ。ほぼ既存の魔法の組み合わせなんですよ。」


 夢占さんがそう興奮気味に私に話しかける。

 この人も魔法のことになると前掛かりなるよね。  

 

 「夢占さんから見ても、凄い魔道具なのですか?」


 「ええ、魔道具の有効範囲に別の魔力が来ても打ち消してしてしまうのですよ。それだけならさほど難しくないのですけど、そこに魔力を登録するとその魔力だけにはその効果が発揮しなくなるのです。」


 つまり、この魔道具に私の魔力を登録すれば、私の魔力以外はこの魔道具がある空間に反応を加えることが出来なくなるのか。


 「なるほど、それなら、その異空間に他の人が干渉できなくなるわけですね。」


 「はい、そうです。二人ともやはり理解が凄いですね。ただ、その空間の魔力が常時魔道具が作動しても魔力量に変化がなければ、問題ないのですが、魔力が薄くなったりすると常時発動できなくなるから、もう少し検討が必要になってしまいます。その辺も含めて、今日は確認を行いましょう。」


 「わかりました。」


 「では、さっそく茜さんの魔力をこの魔道具に登録してください。」


 甚兵衛さんはそう言うと、私の前に魔道具を差し出して、登録の説明を受けながら、登録をしていく。

 この辺は以前、九重さん達と関所で話していた魔力読み取りや感知の魔道具仕組みを使っているらしい。

 私と甚兵衛さんのやり取りを、夢占さんは興味深そうに見ている。

 それが終わると、その後の確認事項等検討し合ってから、甚兵衛さん達は私から離れていく。


 よし、ではまず、この魔道具を異空間に送り込みましょう。

 今回は、ただ空間を繋げるだけの魔法を発動させます。


 『異空間接続』


 そして、魔法により空間が開かれると、甚兵衛さんが作った魔道具を中に置くように入れます。

 これでよしと。

 ではまず、私が『異空間探査』を唱えて、空間を把握できるか試して見ましょう。

 そうして、条件付けをして私の使っている空間しか認識しないようにして、探査魔法を発動させる。

 うん、問題なく見つかった。

 これで魔道具が問題なく発動しているか、全く発動していないかと言うことになる。


 私は手で頭上に丸を作り、問題なく私の行程が終わったことを、みんなに伝える。

 それを見て、夢占さんがこっちに来る。

 替わりに、私はみんなのところに戻る。

 一応、完成した魔法だけど、念のためみんなから離れて魔法を発動させるためだ。

 夢占さんは、私と入れ替わると、私と同じ条件で『異空間探査』を発動させる。

 甚兵衛さんが魔法がちゃんと発動しているか確認するための魔道具を構えているので、それを裏から一緒に確認する。

 今日の見張り役のお妙ちゃんとお涼さんも一緒に見ている。

 魔法はしっかり発動したようだ。

 さて、夢占さんは見つけることが出来なかったのだろうか?


 夢占さんを見ると、どうやら、空間を探せなかったようだ。手で罰点を表している。

 どうやら魔道具は正常に動いているみたいね。

 夢占さんは念のため、再度『異空間探査』を唱えてみたようだ。

 だが、やはり反応はなかったようで、嬉しそうにこっちに戻って来た。


 これで魔道具は問題なく動いているみたいだ。

 あとは、向こうの魔力に変化があるかだけど、それはあの魔道具に魔力の観測のための魔道具を入れてあるらしいので、次回の時まで放って置くだけでいいようだ。

 これが上手くいけば後は普段使いできるように『異空間接続』の必要魔力量をあと半分くらいに出来れば、問題なく使えるようになり、魔法は完成する。

 今までは他人が使えないようにと言う仕組みを魔法だけで再現することが出来なかったので苦労していた。

 常時、それなりの空間に魔法効果を及ぼすなんて、魔法では無理だったからね。

 そんな訳で、今回は甚兵衛さんの魔道具もあり、かなり進展が見られました。


 その後は魔力をできる限り少なくして魔法を発動させる試みを続けましたが、あまりそちらの進展はありませんでした。

 この辺についても、甚兵衛さんの今回の魔道具のように別の視点で考えてみる必要がありそうかもね。

 あと、今日は数日前にお妙ちゃんの妹のお藤ちゃんが私の種から作った野菜を持って来てくれたので、それを利用した昼食用のお弁当を持って来たのだった。

 また、野菜から取った種から作った野菜も問題なく味も形も維持できている。

 これで錬金術を使わなくても野菜が作れるし、増やせるのも確認が出来た。これで私の作った野菜を広めていくことが容易にできるね。

 お弁当の方は味も好評だった。


 一応甚兵衛さんにはお房さんの分を、お涼さんには奏さんの分を作って用意してあったので渡す。

 夢占さんも欲しそうにそれを見ていたが、特に奥さんや家族も居ないとのことだったので用意していなかった。

 それを知って、夢占さんは悲しそうにしていたが、夢占さんだけ二人分食べさせる訳にも行かないからね。

 そうして、今回の魔法創出は魔法だけなら、既にできている状態にはなったので、あとは普段使いできるように必要魔力量をは減らしていく取り組みだ。

 あとは、甚兵衛さんの魔道具が次回来た時にも問題なく動いていて、異空間にある魔力も減っていませんようにと、祈っておきましょう。

 こうして、みんなのおかげで、長かったけどようやく完成間近となってきましたね。 

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