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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
61/77

61 老亀堂にて 12

 魔法の一部が成功したので、店の仕事の手が空いた日、お妙ちゃんと共に報告のために魔法司と老亀堂を訪れることにした。

 夢占さんは新しい魔法に興味深々にいろいろ聞いてきました。

 そして、次回の魔法創出の時に一緒に同行してくれることになり、当日の約束をした。

 うん、ここの訓練場を使って披露するわけじゃないんだ。

 私がそう思っていると、夢占さんがまだ認められていない魔法を街中で使わせるわけには行かないからねと、同行する理由を説明してくれた。

 なるほど、今回は物騒な魔法ではないけど、中には危険な魔法もあるから、当然と言えば当然か。


 その後、老亀堂にいつも通り伺う。

 お房さんに、まず、顔を合わせると、今回作ろうとしている魔法の一部が出来て進展したことを報告した。

 それを聞いたお房さんも我が事のように喜んでくれた。

 こうして喜んでくれると嬉しいね。

 お房さんは、その足ですぐに甚兵衛さんを呼びに行ってくれた。


 甚兵衛さんも、お房さんから報告を聞いたのだろう。

 驚きながら、飛び出してきて、やや饒舌にいろいろ聞いてきた。

 私はいつもと違う甚兵衛さんに戸惑いながら、相手をする。

 一応、お房さんが抑え役で止めてはくれているのだが、意に返した様子もなく、甚兵衛さんはどんどん聞いてくる。

 それが一段落すると、今度は実地ですぐに見たいと言って、私達を連れ出そうとしてきた。

 さすがに、それはお房さんによって阻止して貰えたが、甚兵衛さんは新しい魔法を見たいらしい。

 新しい魔法と言っても探知魔法だし、使った本人以外わからないから地味ですよ。

 とりあえず、甚兵衛さんも次回の魔法創出の時に一緒に行くことを約束した。

 こんなこともあろうかと、夢占さんには他にも帯同して良いか確認し、許可を貰っておいたのだ。




 そんな訳で、魔法創出の日、今日は奏さんとお妙さん、夢占さん、甚兵衛さんと、いつもより大所帯で迷宮にある魔法の訓練場に向かうのでした。

 とりあえず、事情を知らない奏さんのために、今回人が増えた理由を含め、練習場に向かう途中に事情を説明する。

 そうこうして、訓練場に着くと、いつもどおり周囲の確認を行い、魔力がゆっくりと回復していく薬を飲む。

 それから、あらためて、訓練場で夢占さんと、甚兵衛さんに魔法の概要を話し、そのための魔法の使い方を説明する。

 ひととおり説明が終わり、私はみんなから距離を置くと、前回と同じ条件付けで、魔法を発動させた。  


 『異空間探査』


 今回も無事に魔法が発動し、前回と同じ3つだけ空間の反応を探知する。

 でも、これ成功したけど夢占さん達にはわからないけど、見に来た意味あるのかな?

 とりあえず、一度戻りましょうか。


 私が戻ると夢占さんが楽しそうな反応をしています。

 一方、甚兵衛さんは変な魔道具をしげしげと眺めています。

 さて、あれは何でしょうか?


 「いやー、いい感じで魔法が発動しましたね。実に綺麗な魔力反応でしたよ。」


 私が近づくと夢占さんはそう話しかけてきました。

 うん、なにか魔力を見る魔法でもあるのかな?

 疑問に思い、私は尋ねます。


 「そんな反応わかるのです?」


 「ああ、失礼。いま、彼が持っている魔道具で魔力の流れが可視化されるのですよ。目に見えない魔法の場合これを使うと正しく発動した場合魔力が霧散せず、効果が及ぼす反応が見れるのです。」


 夢占さんはそう言って、甚兵衛さんの方を見ます。

 甚兵衛さんは全く臆することなく、その魔道具をいじり続けています。

 あー、そんな魔道具を興味が勝って、甚兵衛さんは取り上げてしまったようですね。


 「そうなのですか。」


 私は困ったようにそう答えます。


 「では、私も再現してみましょう。幸い私の魔力でも充分発動しそうですからね。」


 そう言うと、夢占さんはおもむろに、私達から離れていきます。


 「えっ?あれだけの説明と一回見ただけで、再現できるのですか?」


 前回、一緒に考えてくれていた奏さんは前回再現できませんしたよ?

 そう思いながらも歩き始めた夢占さんに、そう問いかけます。

 夢占さんはそれには答えず、片手を振ってこの場から離れていきます。


 そして、周囲を確認し、魔法の準備に入ります。


 「茜さん、これを見てみてください。」


 お妙ちゃんが、夢占さんに向けて魔道具を構えている勘兵衛さんの後ろから、そう私に呼ぶ掛けます。

 私はお妙ちゃん達のように、甚兵衛さん後ろに回り込み、魔道具と夢占さんを見ます。

 甚兵衛さん、集中して魔道具をいじっているかと思いきや、ちゃんと魔法を使おうとしている夢占さんを覗き込んでいます。

 すると、夢占さんが魔法を発動させようとすると魔道具が人型の魔力体を見せていたのが、その周囲に魔力が広がり、少し複雑な動きを見せると魔力が周囲に広がって行きました。


 「うぁ、綺麗……。」


 私は魔道具越しから見た夢占さんにそう感想を漏らします。


 「ですよね。」


 「はい。でも茜さんの時のほうがもっと綺麗でしたよ。」


 私の言葉を受けて、奏さんとお妙ちゃんがそう答えます。

 甚兵衛さんは相変わらず、ぶつくさと何か言っていますが、生憎と聞き取れません。

 彼は無視しておきましょう。どうせ、魔道具のことについて何か言っているだけでしょうから。


 「いやぁ、この探知反応面白いね。上手くいったけど、どうだった?」


 夢占さんは戻って来ると、そう私に聞いてきました。


 「魔道具から見ると綺麗でしたよ?」


 「なんですか、その疑問形の回答は。」


 「だって、外から見てもよくわからない魔法ですから……。」


 私はそう言い訳をします。

 それを聞いて、夢占さんは困った顔で、甚兵衛さんを見ます。

 どうやら、魔道具の説明を甚兵衛さんがする話になっていたようです。

 そして、夢占さんが改めて魔道具の説明をしてくれました。

 どうやら、魔法が失敗すると広がった魔法が霧散して、何も起こらずにそのまま元の人型になってしまうのだそうだ。

 そう説明している間も甚兵衛さんは楽しそうに魔道具をいじっています。

 本当に魔道具が好きなのですね。


 こんな感じで魔法を実地で確認が終わると、その後の夢占さんが空間接続に関しての指南をしてくれた。

 空間の所在が動かないなら、毎回、『異空間探査』の魔法はいらなくなるので、座標を固定した状態での空間接続をまずは試みてみてはと言うことだった。

 確かに座標が一定なら、接続だけの魔法で済むし、そうすれば実際に異空間に収納をする際も魔力の消費は抑えられます。

 今回は接続だけで試して見て、空間に動きがあればその時に対処を考えればいいですものね。

 そうして、夢占さんの提案を基になるべく消費が少なくなるよう異空間への接続を試みました。


 こうして、今回は『異空間探査』の魔法は一応新魔法と認められ、次の試みも順調に進んで行きました。

 この様子を見て、夢占さんは意外と早く魔法が出来るのではと感じてくれたのでしょうか。今後も毎回、見学というか立ち合いをしてくれるということになりました。

 魔法の専門家からの助言が、すぐに貰えるのは有難いことですので、私にとっても大変良いことです。

 まぁ、なぜか甚兵衛さんも毎回の動向を申し出てくれました。

 こっちはお店の方が大丈夫なのか心配なので、あとでお房さんに確認しておきましょう。

 まだ、一気に目的の魔法は完成とは行かなそうですけど、頑張って行きましょう。

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