60 老亀堂にて 11
さて、今回はお涼さんと奏さんと共に迷宮に入ります。
「本当にあれから、進展があったのです?」
私が前回の出来事を簡単に説明しながら、訓練場に向かっていると、お涼さんがそう聞いてきました。
「ええ、期待してください。今日は魔力切れにならないといいなと思っています。」
「へぇー、いい感じで魔法創出が進んでるようですね。」
奏さんも私の言葉を聞いて、そう言ってきます。
「実際には、今回初めて試すんだけど、最初の関門は越えられる気がするんだよね。」
「でも、前回涼が上手くいかなくて心配してたのに、そんなこと言えるのですから、大したものですよ。」
「ありがとう。」
奏さんの言葉に、私は素直にお礼を言います。
うん、奏さんもおだて上手だね。
でも、やる気を上げてくれるのは大歓迎です。
そして、魔法の練習区画に到着すると、周りの邪魔にならなそうな場所を確保する。
「では、今日もしっかりやって行こう。」
「「はい。」」
私の言葉に、『光陰星霜』の二人、お涼さんと奏さんは元気にそう返す。
それでは、私は二人から離れて、周囲の安全を再度確認する。よし。
周囲に他に人がいないのを確認し、安全を確保したので、魔法の準備に入る。
魔力がゆっくりと回復していく薬をいつものようにまずは飲みます。
よし、準備完了です。
まずは私が考えているような異空間があるのか確認するとしましょう。
『異空間探知』
私はそう考え、漠然と空間を探してみる。
「!」
私はその結果に驚き、思わずよろめいてしまった。
それを見て『光陰星霜』の二人が駆け寄る。
「「大丈夫ですか?」」
私はそれを見て、慌てて声を掛ける。
「ごめん、ごめん。大丈夫だから。」
「どうしたんです?」
「魔力切れになったのです?」
「ううん。ちょっと発動した魔法の結果に驚いただけ。」
心配そうに声を掛けて来た二人にそう私は答える。
「何があったのです?」
「私が探していた空間を探して見たら、ちょっと思ったよりたくさんあって、びっくりしただけだよ。」
「そうなんですか。こんな世界がいっぱいあるのです?」
「そうだったら、凄いですね。」
二人は、私の言葉を聞いて、驚きます。
でも、ちょっと数が多すぎますね。
さて、どうしたものだろう。たくさんあるけど適当に繋げるわけにも行かないですよね。
「まぁ、でも、さすがに全部こんな風に人が生活していたりするような大きな世界ばかりじゃないとは思うけど、でも、私が使いたい世界をこの中から探さないとなのか。」
「どうするのです?」
「まぁ、この魔法は成功したようですから、今度はその辺の条件付けをどうしていくかですね。」
お涼さんがどうするのか聞き、魔法使いである奏さんが、私の替わりに今後の方針を話してくれます。
それはそうなのだけれど、さて、その条件付けだよね。
そこはお涼さんには悪いけど、奏さんと私でちょっとした議論を行います。
もっとも、奏さん自身はさすがに現地人だけあって、魔法以外の知識はあまりないのですけど、魔法のことだけでも私より詳しいので、とても参考になります。
それにお涼さんは話の理解がいいのか、結構、思いもしない意見を言ってくれるので助かります。
「……、こんな感じですかね。」
「そうですね。そんな感じでいいんじゃないでしょうか。」
私がお互いの考えをまとめて、こんなものかなと提案します。
それに奏さんから、同意が得られました。
なので、次の段階を試して見ます。
それでは、申し訳ありませんが、またお二人には何かあった時のために、私を見守って貰いましょう。
「では、それで一度試して見ますね。では、すみませんがまた、離れて下さいね。」
二人が安全なところまで離れたのを確認して、先程の魔法に条件付けをして発動してみます。
まずは、空間の大きさを脳内で想像します。続いて、向こうに生命がいない場所を、さらに空気組成が似ている場所を想像して、よし魔法を発動させましょう。
『異空間探査』
おおう、やりました魔法が発動しましたよ。
さすがにこれだけの条件をかぶせるとさっきまであった山のような反応が、3つだけになりました。
ちょっと寂しい感じがしますが、まずは連続で成功です。
やっぱり、一歩一歩進めていくのがいいのですかね。
今日だけで、かなり進捗しました。嬉しいです。
私は親指を立てて、とりあえず、二人の方に歩み寄ります。
二人は私の動作がいまいちわからなかったようで、お互い顔を見合わせています。
ただ、私の表情から成功を読み取ったみたいで、ちょっと間をおいてから、喜んでくれました。
うん、この辺の動作表現はこっちの人に伝わらないことが多いよね。
「上手くいったようですね?」
ちょっと疑問形表現で、奏さんが私に尋ねてきました。
「うん、おかげさまで、またまた成功しました。今日だけでかなり進みましたよ。」
「「おめでとうございます。」」
「ありがとう。二人とも。」
「いえいえ、でも、お妙さんが今日のこと知ったら、私もその場にいたかったと羨ましがられてしまうかもですね。」
「あー、だねぇ。」
「まぁ、こればかりはめぐりあわせだから、仕方がないね。」
私もそう言いながら、お妙ちゃんがお涼ちゃんが言ったような情景を思い浮かべながら、苦笑いを浮かべます。
さて、次の段階に行きましょう。
なんか今日中にかなり進められちゃいそうです。
そう思ってた時期が私にもありました。
その後、奏さん達と意見を言い合いながら、次の段階に挑戦たのですが、なかなか上手くいかずに、結局今日はここまでとなりました。
今日はお妙ちゃんがいないので、二人も一緒に佐加里まで一緒に帰って貰いました。
ただ、今日は魔力切れにはならなかったので、ちょっと遅くまで迷宮にいたので、今日は魔法司にも老亀堂にも寄らずに帰りました。
そして、奏さん達も錬金屋に立ち寄ってくれて、一緒に夕飯を食べて貰うことにしました。
でも、二人がいたおかげで、お妙ちゃんの質問攻めが私に集中しなかったのは良かったです。
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