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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
59/77

59 老亀堂にて 10

 そんな訳で、さっそく迷宮での魔法創出を試す日です。

 今日は、お妙ちゃんとお涼さんが付き添いです。

 そこで、私は前回の話し合いでお涼さんに提案されたことを試して見ました。


 「う、う、……。これは行けると思ったんだけどなぁ。」


 結局、魔法切れになるのは変わらず、まともに魔法は発動せずに存在するかもしれない異空間を見つけることはできませんでした。


 「お役に立てなかったようですね。」


 私の様子を見て、お涼さんは申し訳なさそうにそう言います。


 「いや、まだ今日が初めてだから、まだわからないよ。私のやり方が悪い可能性があるからね。」


 それを見て、私はそう弁明する。

 実際に、今回試していろいろと考えないといけないことも思いついたしね。


 「そうですよ。お涼さん、今日だけ試して諦めるのは早すぎますよ。」


 お妙ちゃんも、お涼さんにそう言い励まします。

 私もさんざん励まして貰ってるしね。

 でも、それ以上に甘やかされてもいるような気もするけどね。

 そんな訳で、これくらいの失敗で諦めてられません。

 

 「そうそう。一回くらいうまくいかないくらいで、くよくよしていられませんって。」


 「茜さんは前向きだねー。私なんてちょと失敗しちゃうと引き摺っちゃうんもんね。」


 「そんなことはないよ。ただね。今までだってなかなかうまくいかなかったことが多かったし、それでもお妙ちゃんをはじめ、みんなが協力してくれてるから、頑張っていれらるんだよね。お妙ちゃん。」


 「それは茜さんが頑張っているから、みんなが協力してくれるのですよ。」


 「ありがとね。お妙ちゃん。しかし、この魔力切れは痛いよね。いろいろ思いついて、もっといろいろ試したくても、そうはいかないからね。」


 「そうですね。今から回復して、次、また魔力切れになると佐加里に帰れなくなりそうですものね。」


 「魔力回復薬が強力なのを作れればいいのですけど、材料的にこれ以上のを作るのは難しいのですよね。」


 「それは仕方ないよ。今日はこれで帰ろう。私とお妙ちゃんは魔法司にこれから報告を兼ねていくけど、お涼さんはどうする?」


 「すみません。私はちょっと採集してから帰ります。」


 「そうか。じゃぁ、途中まで一緒に帰ろう。」


 こうして、お涼さんと採集地点まで一緒に行き、その後、佐加里にお妙ちゃんと戻るとそのまま探題府の魔法司に向かう。

 いつも、魔法司に行くと夢占さんが対応してくれるけど、暇なのでしょうか?

 同じ人が対応してくれるのは有難いですけどね。


 私は、前回夢占さんに会った時から、今回までの出来事を説明する。


 「ほう、なかなか面白い視点で取り組んでみましたね。」


 私の説明に面白そうにそう反応する。


 「でも、いつもどおり、魔法が発動する前に魔力切れになってしまいましたのですよ。」


 「そうですね。でも、それは一気にすべてを成し遂げようと魔法を発動したからですよね。」


 「と、いうと?」


 「まずは、仮定した異世界が存在するかを確認して、それを実証するのはどうでしょうか。」


 「な、なるほど。一気に完成を目指すのではなく、一歩一歩確かめて工程を増やしていくということですね。」


 ああ、そうすれば魔力切れも起こしにくくなるし、少しづつでも先に進めるようになるかもだね。

 魔力が半分しか減らなければ、それだけ、試したいこともたくさんできる。

 夢占さん、さすがです。いい助言です。


 「そう、ご名答。さすが、若いなりに魔法を創出しようとするだけはありますね。」


 その後も私の返答を聞いて、そう褒めてくれます。


 「そ、そうかなぁー。」


 「凄いですね。お役人さんに褒められるなんて、茜さん。」


 お妙ちゃんも夢占さんの言葉を聞いて、そう言ってくれます。


 「うへへへ。」


 なんか、夢占さんとお妙ちゃんにのせられた気がしないでもないが、そうよね。

 夢占さんに言われたとおり、よく考えたら、少しづつ問題を潰していくというのが本来こう言ったことの正攻法だよね。

 よくある異世界ものみたいに、一気に解決しようとしすぎていました。

 そうです。本来の研究者を目指していた私の思考を優先して、地道にやって行きましょう。


 「どうしたのです?急に真顔になって?」


 にやけていた私が、急に真顔になったのに戸惑ったようで、夢占さんがそう尋ねてきました。


 「いえ、私が一足飛びで何でもやろうとしていたのに気付いたので、そうですね、少しづつ歩んでいかないといけないと、あらためて気付かせて貰いましたのです。ありがとうございます。」


 「そうでしたか。でも、それに気付けるのも才能です。頑張ってください。あと、お妙さんも、彼女をしっかり見守ってあげてください。それが彼女の励みにもなるでしょう。」


 そうして、夢占さんはお妙ちゃんにも言葉をかけます。


 「はい。わかりました。」


 お妙ちゃんは夢占さんの言葉を聞いて、力強く返事をしています。

 うん、この夢占さんて、資料とかも、しっかり整えてくれるし、助言もくれるけど、こうやってやる気も引き出してくれるいい人なのですよね。

 有難いのですけれど、あまりお役人様らしくないですよね。

 しかも、お役人だけでなく、魔法使いでもあるんですよ。

 まぁ、そんな助言を頂いて、私も新たなやる気をたぎらせて、退出します。


 その後、一応、老亀堂にも報告に伺います。

 魔法が成功したら、いろいろ協力をして貰わないとですから、私達の状況も知らせておかないとですしね。


 「ごめんください。今日は大丈夫です?」


 私は店に入ると店番のお房さんに声を掛けます。


 「あ、茜さんとお妙さん。いらっしゃい。大丈夫です。暖簾をしまいますから、少々お持ちください。」


 お房さんは私の声と姿を見とめそう返事をして、店じまいをしてくれます。

 なんか、お店を早めに閉めさせて申し訳ない。

 ただ、お房さんにすれば、偉い人は遅い時間に来る客は冷やかし以外いないらしいので、構わないということですけど、本当なのでしょうか?

 そして、私達が甚兵衛さんとお房さんに今までのことを報告し、お房さんの言葉を借りて、甚兵衛さんの提案を受けます。 

 魔道具作りでも分割して出来た魔法を渡しても、それぞれを簡易化したり、小出力化できるので、出来た魔法を見せ貰えればありがたいとのことだった。

 なので、魔法が一部でも出来上がったら、迷宮に見に行きたいと言ってくれた。

 そう言えば、魔法司に創出した魔法を見せる時は迷宮に行くのかな?それとも魔法司にある魔法訓練場で見せるのかな?

 そんな余計なことも考えながら、私は老亀堂での打ち合わせも終わらせ、次回の魔法創出に思いを巡らせます。

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