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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
58/77

58 老亀堂にて 9

 夢占さんの資料を読むと、最初に魔法を作るための取り組みとその結果が記されていた。

 なので、まずはすべての資料の最初部分に目を通しことにした。

 やはり過去挑戦した人は皆、魔力不足で魔法を発動できずにいた。 

 魔法の生成の考え方は、皆様々な方法で挑んでいるけど、結局魔力の壁にぶつかっているんだよね。

 みんな新しい魔法の創出を目指す魔法使いばかりなので、資料を見てもみんなかなりの魔力があるんだけど、それでも駄目なのだよね。

 そうすると、これらの資料とは違った考えで行かないとうまくいかなそうだね。

 お房さんから聞いた話も参考にしながら、いろいろ試して行こう。

 初回の魔法の創出を試した結果、一日に試すことができる回数は精々二、三回だから、慎重に考えて試さないとだよね。

 

 「茜さん、仕事や家事がない時以外、起きているときは、ほとんどその資料を読み込んでいますが、体の方は大丈夫ですか?」


 お妙ちゃんが、私がここのところ、資料を読み込んでいるのを心配してそう声を掛けて来た。


 「ああ、お妙ちゃん、大丈夫だよ。だたね。この書類がめっちゃ、読みにくい字で書かれているから、なかなか読み進まないんだよね。とりあえず、別空間を作ってそこに物を出し入れできるようにする考え方とその結果については目を通したんだけどね。」


 「それだけじゃ駄目なのです?全部目を通す必要があるのですか?」


 「それだけでもいいのだけれど、途中経過の考え方や失敗例からも参考になることがあるかもだから、少しでも役立ちそうなことがないかと思ってね。」


 「そんなものなのですね。」


 「まぁ、もうすぐ、二回目の迷宮での魔法の創出お行うから、少しでもしっかり考えておかないとだからね。」


 「茜さんなら、それだけ頑張れば、すぐに完成しちゃうんじゃないですか?」


 「そうなるといいのだけど、そうはうまく行かないだろうと思うよ。そんな簡単なら、先人がとっくに実用化してるだろうしね。」


 お妙ちゃんは私がこの世界の普通の人よりは多少知識があるので、そんなことを言ってくれたようだが、過去に試した人に中にも漂着者がいたようだし、そう簡単には行かないだろうな。

 そんなことを思いながら、お妙ちゃんの素直な感想にそう答えておく。


 「そんなものですかねぇ。」


 お妙ちゃんは、私の言葉にいまいち納得してくれなかったようで、そう返事をしてきた。

 そんな厚い信用をして貰うと、なかなか魔法の創出ができなかったときに申し訳なるね。


 そうして、二回目の迷宮での魔法創出が行われたが、やはり、いろいろ考えて臨んだが、この日は二回も魔力切れを起こしてしまった。

 結局、魔力の回復に時間がかかり、再度魔力切れをしたら佐加里の門が閉まって帰れなくなったしまうので、その日は二回だけで実験は終わってしまった。

 また、その時やはり、一人だけでは何かあった時に対応が取れないということになり、二人体制で次回から実施することになった。

 確かに、倒れた私を置いて、救助を呼びに行ったりするのは、難しいか。


 そんな訳で態勢を整えて、実験日以外の空いた時間に資料に目を通したり、魔法司や老亀堂に顔を出したりしながら、実験は続けられた。

 その他にも白菊村からお妙ちゃんの妹のお藤ちゃんも月一回の市の時に野菜の報告や相談に来てくれていた。

 本当は、村の方に行って、直接見聞きしたいのだけど、さすがにそんなにお休みばかりする訳にも行かないからね。




 「そんな訳で、もうすぐ三か月になるけど、これはという感じの手応えもなく、実験が終わっているのだよね。」

  

 私は、今月の付き添いの担当を決めるために、みんなに集まって貰った席で、そう今までの感想を漏らす。

 みんな揃っての打ち合わせも三回目だし、みんな何度の顔を合わせている仲だし、気心も知れて結構話せる間柄になっている。

 今は、手伝う日取りも決め終わり、現在の進捗状況簡単に説明し終わったところだ。


 「まぁ、派生魔法を創出するのだって、大変らしいから、気長に行くしかないですよ。」


 私と同じ魔法の素養がある奏さんがそう言ってくれた。

 彼女も、私のために魔法のお師匠に顔を出して、創出魔法についていろいろ聞いてくれたりしてくれている。


 「わかってはいるけど、みんなに協力して貰っているのになかなか成果が出ないとね。どうしても悪いなって思っちゃうからね。」


 「なにいっているんですか。ちゃんとお賃金だって貰っているのですから、気にしないでくださいよ。」


 お涼さんも、お金は貰ってるのだから、気に病むことはないと言ってくれているけど、みんなの貴重な時間だからね。

 やっぱり、お手伝いから早く解放してあげたいよ。


 「でも、あれだけ頑張っていろいろしているのに上手く行かないなんて、本当に大変なのですね。」


 毎日私のことを見てくれているお妙ちゃんもそう言ってくれる。

 そう言ってくれるのは有難いけど、結果が出ないというのも当たり前というかある意味仕方がないことでもあるんだよね。

 大学の先生が、昔話に健康飲料の研究依頼の話をしてくれたことがあったけど、その主要物質の効果を検証する実験で、元気になるとか丈夫になるなんて、目に見えにくい効果でなかなか結果が出ない。

 でも、その物質の量を増やすと目に見える結果として、禿げてしまうというのが、わかったけど、それだけを依頼主に伝えることも出来ず、何とか効果についても結果を報告したが、いざ、商品化した時にその効果については謡われたが、当然禿げる効果については伏せられたと聞いたしね。

 まぁ、結局その物質は申し訳程度にしか使われてなかったそうだけどね。

 そんな感じで、常に実験なんて、簡単に上手くいく物でないし、時にとてもまずい結果になることもあるから、そう言うものだって割り切りも必要だけどね。

 ちなみにその先生は、その飲み物を販売されても飲まなかったと言っていましたが、おでこは十分に広くなっていたので、その甲斐はあったのか不明ですけどね。


 「うーん、ただ、頑張れば、良いってもんじゃないけどね。正しい結果を導き出す頑張りというか努力の方向を見つけることが必要なんだよ。」


 「でも、茜さんの努力が無駄だなんて思えません。」


 あのー、お妙ちゃん、そんなに私を信用しないで、向こうではただのしがない大学生だったんだからね。

 まぁ、でもお妙ちゃんの言葉には素直にお礼を言っておこう。


 「そう言ってくれるのは有難いね。頑張るよ。」


 「ところでなにが魔力を大量に使う原因になっているのですか?」 


 奏さんは魔法使いの立場から、その辺が気になったのだろう。


 「それは、まず最初に引っかかっているは物を収納する入れ物を別の世界に作ることだね。そこでずっと引っかかっているんだよね。」


 「別の世界ですか?」


 「そんな大袈裟なものでないけど、なんていうのかな。どこにいても出し入れできる小さな空間を作るというとなんだけど、それだけで凄い魔力を使うんだよね。」


 「確かに普通の魔法でも無から物を生み出すというのは、かなり魔力を使います物ね。」


 「そうなんだよね。」


 「ん、なら、そんな空間を見つけて繋げるというのはどうなんだろう?」


 お涼さんが私達の話を聞いて、そう口にした。


 「でも、そんな空間なんてあるのかな?」


 奏さんがそれにそう反論する。

 それにお涼さんも意見を述べる。


 「でも、茜さんは別の世界から来たのでしょ?なら、茜さんが作ろうとしている世界?空間?とか言うものもあるかもしれないんじゃない?」


 「なるほど、確かにそれは考えられますね。そこからの魔法の作り方も考えてみましょう。作るのではなく、見つけるのなら、確かに魔力は抑えられるかもしれません。」


 そうです。私は異世界に来たのです。いい視点での意見ですよお涼さん。

 なら、私のいた世界とここ以外にも、異世界があるかもしれません。

 そして、その中に私が求めている空間もあるかもしれない。


 「お役に立てたようです?」


 「ええ、ありがとうございます。その視点はありませんでした。次回早速試して見ましょう。」


 こうして、別の着手点を見つけることが出来たのでした。

よろしければブックマーク、評価、ご意見、感想などよろしくお願いします。

それとあとでサブタイトル修正するかもしれません。

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