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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
54/77

54 老亀堂にて 5

 魔法の創出を行うために手続きも無事に終わり、お政さんに迷宮での実践のための時間を貰う。

 ただ、魔力切れで倒れたりした時のためにお妙ちゃんか『光陰星霜』のお涼さんか奏さんの誰かに同行をお願いすることにする。

 本当は、お妙ちゃんだけにお願いしようと思ったのですが、お政さんに帳面付けを主にやって貰っているお妙ちゃんが長く店を空けるのは困ると言われたので、他の二人にも頼むことになったのでした。

 あれ?私の仕事は私がいなくなるけど平気なの?とも思ったのですが、そこはお政さんがしっかりと私の代わりにこなして下さるそうです。ありがたいことです。

 でも、それって、私がいなくてもお店がまわるけど、お妙ちゃんがいないと困ると言うことだよね。

 それなのに、私の方が給金が良いのだから申し訳ないね。


 そして、いよいよ迷宮での初日です。

 最初は、いろいろお願いすることの説明をするため、私とお妙ちゃん、お涼さん、奏さんの四人で向かいます。

 久しぶりの冒険者の格好をして、いざ迷宮へと向かいます。

 私としてはこの格好の方が慣れてるけど、街中では刺激的過ぎると煙たがわれちゃうんだよね。

 動きやすくていいと思うんだけどな。

 入口で手続きを済ますと、みんなで第三層を目指します。


 魔法が使える区画に到着すると、とりあえず魔法を使うため、周囲に人がいない所を探します。

 発動するかわからない魔法を使う訳ですが、万が一おかしな発動をして周囲に迷惑が掛からないようにするためです。


 「この辺でいいかな?」


 私は一応『探査』の魔法で周囲に人が居ないのを確認します。

 うん、周囲には人がいない。大丈夫だね。

 そして、お妙ちゃん達にこれからのことを説明します。

 まずは、私から何かあるといけないので30m程離れて貰う。そして、安全確保のため、いつでも『身体強化』を自身に掛けて守れるようにしておいて貰う。

 もし、私の魔法が暴発したら、状況に応じ、『身体強化』で逃げるか、防ぐかするようお願いする。

 それと、私を見ていて、ふらついたり、倒れたりしたら、こちらに声を掛けて近寄って貰い、魔法回復薬を飲ませて貰うように頼んでいる。

 基本は、ただ見ているだけのお仕事になるから、やることなく同行して貰うことになるから、気が引けるけど、私が万が一倒れると危険だし、困るのでお願いせざるおえないんだよね。


 「基本、それだけなんだけど、魔法の暴発の危険もみんなにもあるし、ずっと様子を見て貰わないとだしで大変だけどよろしくね。」


 「大丈夫ですよ。うちらはそれだけでおかねが貰えるので嬉しいですよ。」


 「だよね。薬草採集より割がいいものね。」


 「あの私まで手当てを貰っちゃってよろしいのでしょうか?」


 私のお願いに、三者三様でそう言って来る。

 『光陰星霜』の二人組は純粋に今回の依頼に喜んでくれているけども、お妙ちゃんは私からお金を貰うのに遠慮しているようだ。

 でも、お妙ちゃんだけにお金出さないとかだと今度は二人が気を遣っちゃうだろうし、ここは勘弁して頂戴ね。


 「いいの、いいの。今日は三人一緒だから、そんなに退屈さは感じないだろうけど、一人だと多分退屈して厳しいと思うからそれなりに弾んでちゃんとやって貰わないとだしね。」


 「でも、私は合間に魔法の練習もしてしまっていいのです?」


 奏さんは私が依頼した時に出した条件の確認として、そう聞いて来た。

 どうせ魔法を何回も使えないだろうし、そこは大丈夫だろうから、そこは大丈夫だと言う。

 ただ、お妙ちゃんとお涼さんは特にやることないから、悪いのだけどね。


 「うん、私の監視さえちゃんとやってくれればいいからね。でも、他の二人は薬草取しながらはさすがに無理だから、そこはごめんね。」


 「いいよ。私達はずっと見ていてあげるよ。ね、お妙さん。」


 お涼さんはそう言って、お妙ちゃんに顔を向け、微笑む。

 お妙ちゃんもそれに目を合わせ、返事をする。


 「はい。」


 「うん、頼もしいね~、ありがとうね。さて、まずは試しに初めるとしようかね。では、よろしくお願いします。」


 そう言って、私はみんなから離れる。

 では、魔力を練って、魔法を生成する。

 初手から、上手くいけばいいけど、どうなりますかね。


 まずは集中。

 空間の作成を思い浮かべる。何もない箱のような空間。停まった時。

 魔力を注いでいく。

 あ、まずい。

 急いでイメージを停止し、魔力を注ぐのを停める。


 ふぅー。危ない、危ない。

 ちょっと魔力を使い過ぎたね、ちょっと魔力を使過ぎた、これ。

 そう思いながら、魔力回復薬に手を伸ばす。

 これで、魔力が回復するまでしばらく何もできない。

 ちょっと、効率悪いねこれは、もっといろいろイメージを固めて使わないとだめだな。

 そう思い、みんなの元に戻る。


 「ちょっと、茜さん、いきなり薬飲んでいたけど大丈夫?高い薬だから、気を付けなよ。」


 薬師のお涼さんが近づいて来た私に心配して、そう言ってくれた。


 「あはは、思ったより魔力を取られちゃった。奏さん、魔法の練習してていいよ。あたしはしばらく魔法を使えないから。」


 「それじゃ、練習させて貰いますね。」


 奏さんはそう言って、強力な攻撃魔法を放つ。

 ただ、魔法を放つだけでなく、場面を想定して魔法を使っているのだろう。

 同じ魔法でも時間を取りながら、出力を調整したり範囲を調整したりして魔法を放っている。

 うん、魔力の制御も使い慣れているだけあってうまいね。

 私ももう少し魔法を使うのに魔力を上手く調整しないとだよね。

 それと空間の作り方ももう少し簡単にしないといけないかな。


 奏さんも魔力をかなり使ったようなので、休憩に入るみたいだ。

 それを待って、私は彼女にもその辺を聞いてみることにする。

 お政さんとか九重さんにも聞いてみたのだけど、魔法を創出することなんて考えたことないし、魔法に関しては本職という訳でないから、答えてくれなかったんだよね。


 「奏さん。私の作ろうとしている魔法の概要を説明したと思うのだけど、何か意見はない?」


 私はなにか参考にならないかと奏さんに聞いてみる。


 「えー。私は魔法を使うだけで、そんなことを考えたことないですから。」


 「でも、魔法を制御する際とかいろいろ考えているのでしょ。その辺で何かないかな。」


 「急にそう言われてもですね。私が魔法を絞るときは威力を落とさないように範囲だけを狭くと思い浮かべるくらいですし、参考にならないと思いますよ。」


 うーん、そうだよね。みんな同じように魔法の扱いは教わるだろうし、特に変わった考えってなかなかないのかな。


 「そうだよね。でも、今のままじゃ、凄く魔力が必要そうなんだよね。」


 「なら、とりあえず魔法を完成させることを優先して、小さくても発動させることを優先してはどうでしょうか?」


 「なるほど、実際に使えなくても魔法を完成させるのを優先させると言うことね。良いことを言ってくれました。」


 そうですね。何も最初から実際に使えるものを作ろうとすることはないですね。

 まずは、魔法として完成させて、老亀堂の甚兵衛さんに投げかけてしまってもいいのではないでしょうか。

 実用的にすることは任せてしまうのもいいかもしれません。

 実にいい考えじゃないですか。


 「そうですか。役立ったのならいいですけど、変なこと考えてません。茜さん、怖い顔をしてますよ。」


 奏さんはそう言って、苦笑いしていた。

 私、そんな怖い顔をしてましたか?

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