50 老亀堂にて 1
私は野菜の話を詰めたりしつつ、普段の錬金業務を行っている。
さて、私の役割は一段落してきたし、別のことにも手を出してみようかな。
そう言えば、前にもアイテムボックスみたいなの作れないか考えたことがあったね。
お政さんに聞いたけど、やっぱりその辺は錬金術で作れないみたいで心当たりがないらしい。
そんな訳でやはり錬金術では作れないようだ。
今後、旅をするのにあればすごく便利だよね。
もし、この世界にあるなら絶対に欲しいな。
そう言えば、私が素養調べをした時に、確か魔道具学という項目があったよね。
もしかしたら、そっちでそう言った物はないかな?
私も結構、錬金屋に便利だからと魔道具を結構買ったりしたからね。
魔道具の方が錬金術より、高いけど便利な物を作っているようだし、今度、魔道具を作っているような人にそう言った物がないか心当たりを聞いてみよう。
お政さん辺りに、そう言った人に心当たりがないか聞いてみようかな。
他にこの街の人と深い繋がりがあって、気軽に相談できる人って、私の周りにいないからなぁ。
そんな訳で、夕食時にお政さんに魔道具を作れる人に心当たりがないか聞いてみる。
「お政さん、知り合いに魔道具を作れる人がいたら、紹介して欲しいのだけど、知っている人いない?」
「紹介かい。知らない仲でないのもいるにはいるよ。で、なんだい、茜。魔道具師にもなりたいのかい?」
「いえ、そうではなくですね。」
そう言って話をする。
「うーん、そんなの作れれば、大々的に出回っていると思うけどね。まぁ、紹介してやるよ。」
「ありがとうございます。」
私は、すかさずお礼を言う。
確かにそんな物があれば、皆欲しがるだろうけど、話題にもならないと言うのはやっぱりないのかな。
でも、せっかく機会が得られるんだ。ちゃんと聞いて答えを得ておこう。
「いいよ。それくらい。それと鳳屋、お前さんも知っている老亀堂の店主のとこだ、文はしたためるから、連れってってくれないか。」
お政さんは、そう言って竜馬さんに私の案内をお願いする。
「まぁ、いいが。あの店主とは関わりたくないから、案内だけでいいよな。」
「ああ、もちろんだよ。」
え?なんで二人ともそんな関わりたくないような口ぶり何ですか?
なんか変な人なのかな?
「安心おし、今の茜にとっては厄介な御仁じゃないよ。」
私の表情を読み取ったのか、お政さんが私にそう言ってきた。
なら、なんで二人はそんな反応何ですか。
「えっと、心配そうだから言っておくけどあそこの店主はちょっと変わっていてな。」
そう言って竜馬さんが話し始めます。
どうやら店主さんは少し変わっていて知り合いには、しつこく絡んでくるらしいのです。
そのかわり、人見知りが激しいので私は安全ということらしいですけど、それって私がもし何度も押しかけたりしたら、面倒なことになるってことじゃ。
うん、お妙ちゃんには悪いが同行して貰おう。
一人で対応するより、面倒になっても楽になるだろうしね。
そう思い、お妙ちゃんに視線を向け、呼びかける。
「ねぇ、お妙ちゃん。」
「わかりました。おかみさんがいいと言ったら、同行させて貰いますよ。」
私の問いかけを待たずにそう言って、そう言ってくれた。
うん、こう阿吽の呼吸で分かってくれるのはうれしいねぇ。
でも、本当はこれからのことを考えるとなるべく一人で行動しないとなんだけどね。
まぁ、今回だけと言うことでね。
「まぁ、いろいろお妙には店のことこっちが思ってた以上して貰っているから、構わないよ。そう考えるとお妙も茜も優秀であたしは恵まれているねぇ。」
お政さんはなんかお妙ちゃんの確認にしおらしく答えて来た。
なんでそんな芝居がかって私達を差し向けようとしてるのだろう。
本当に人見知りなのと、知ってる人には積極的になるだけの人なのでしょうか。
でも、頼み込んだのは私ですし、なんかあったらお妙ちゃんには気の毒ですが、会いに行こうじゃありませんか。
そうして、その後会いに行く日程を調節したりしてその日の話は終わりました。
そして、いよいよお店に向かう日が来ました。
しかし、周りの奉公人に話を聞くとあまり奉公人はお休みが貰えないようですが、お政さんは私達にほいほい休みをくれているけど本当にいいのかな?
でも、店の外に出る機会が多く、いろいろ見聞を広められるのは、ありがたいし、感謝しています。
竜馬さんは今日は辻立ちでの商売ではなく。お役人の住んでいる町の奥様方の御用聞き行うそうで、いつもより少し遅めの出発に合わせて、案内をしてくれることになってます。
辻立ちでの商売っぷりも口が上手く人気のようですし、奥様がへの御用聞きも、おべっかを使ってついつい余計な物を買わせて儲けちゃうんだろうな。
今日、向かう方向は職人街なのですが、私がいつも向かう惣弥さんがいる細工工房とは反対側になる。
こちらはかなり整然とした街の作りになっているうえ、老亀堂があるのは大通りに面したところで工房兼店舗になっているようだ。
しかも、店の構えもなかなか立派な作りになっている。
「ここら辺の通りに面した工房は貴族や役人を相手にした店構えになっている。工房だけの所も、貴族や役人相手の刀剣や防具を作ったり、また家の中の設え物を作るところが多いので、この辺の工房はみんな立派な所が多い。」
「なるほど、お貴族様相手の一品物を作ったりしているところが多いのですね。」
「そう言ういことだ。中でもこれから行く老亀堂はかなりの老舗で、ひいきにする貴族とかも多いから、もし店の中に客が居たら、気を付けろよ。特に茜は誰にも同じように話す癖があるんだからな。」
「でも、これから会う人は人見知りの変な人なんでしょ?そんな人がお貴族相手で務めるの?」
「勤まらんだろうな。店には店主が出ることはほとんどないから大丈夫だ。店主は制作だけに専念しているからな。」
「それでいいんだ?でも、それなら、なぜ、竜馬さんは知り合ったの?」
「俺か?太い客になるからとお政さんに言われて、商売をしに行ったのが運の尽きってやつだな。それで何度か物を届けているうちに気に入られてしまったわけだ。」
「そうなんだ。」
「そう言う事。じゃぁ、俺はここまでにするから、あとはよろしくな。それと俺に注文があったら聞いといてくれや。頼むな。」
そう言うと、竜馬さんはさっさとその場を離れて行った。
「あ、ちょっと。」
もう少し、聞きたいこともあったのだが、竜馬さんは私の呼び止めが聞こえなかったかのように、街中に消えて行った。
ああ、もう。直前にいろいろじゃべって、居なくなるなんてひどくない。
いろいろ気になる情報を追加で貰ってしまったが、とりあえずお店に入って話を勧めないとだよね。
そう気を取り直し、私はお妙ちゃんとお店の中に向かうのだった。
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