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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
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49 将来の指針

 その後、探題府から、街の外に出るのを許され、白菊村や迷宮にも何度か足を伸ばしたりで、忙しい日々を過ごす。

 獣人さんのお店が仲立ちになって、野菜の栽培の拡張の話も進んでいる。

 いくつか他の村での野菜の栽培についても、白妙村の人が周辺に教えることになり、来年から、行えるよう調整が進んでいる。

 それと、まだ冬野菜は白菊村で育て始めたばかりなので、それはまず白菊村で技術を蓄積して、周辺の村で育て始めることになった。

 じゃがいもは、種からだとまだ親指大で食べられなさそうだし、まだまだ、時間がかかりそうだけど秋植えもしてるから、多少は早く取れるのかな?

 でも、充分な種芋を確保しないとだから、食料としての普及には時間が掛かるかもね。

 それと白菜の苗を見て、これは獣人達が似たような野菜を大陸から持って来て、何度か育てたが、最初はちゃんと育つけど、種からはうまく育たなかった物だと言っていた。

 白菜のような物もこっちの世界にもあるのね。

 すると私が作った他の野菜と似たような物が各地にあるのかな?

 そう言えば、確か、白菜は近くにおなじアブラナ科の植物があると雑交して、上手く育たないから、古くから知られていたが、日本で普及するが遅れたとも聞いている。

 するとキャベツも取った種からだと育たな可能性があるよね。冬キャベツも採集した種と錬金術で作った種、両方とも念のため育ててみよう。

 でも、雑交しないよう育てるのはどうするのだろう?

 その辺は村の人に菜の花やぺんぺん草やナズナみたいな雑草があるところで育てないようにするとかだけ話して、知恵を絞って貰おう。


 なんか、育ててみると、種を導入するだけじゃだめで、まだ、いろいろ課題が浮かび上がって来るね。

 ひとつひとつ潰して行かないとだよね。


 「でも、私はいつまでここにいられるかだよね。それまでに私の錬金術師さん達がしっかり野菜の種を作れるようになって貰わないとだね。」 

 

 そうつい呟いてしまう。


 「え、茜さん。どこか行っちゃうんですか?」


 それを聞いたお妙ちゃんが驚いたようにそう訊ねて来た。

 あ、声に出っちゃったか。

 まぁ、いつかは話すつもりだったし、言ってしまおう。


 「うん、王都とかにも行ってみたいな。なんて思っているんだよね。前にもちらりと聞いたかもしれないけど。」


 「でも、女性一人での旅は危険ですよ。」


 「そうだね。だから、九重さんがここでの目的を達したら、同行させて貰おうと思っているんだ。だから、九重さんのこともあるから、まだまだ先だよ。」


 「そうなんですね。私はずっとここにいて貰えるとばかり思ってました。」


 「うん、ここでのんびり暮らすのもいいかなとも思ったけど、せっかくこっちの世界にいるんだから、いろいろと体験したいと思ってね。」


 それに変な組織の邪魔をしちゃったのをお政さん達に隠ぺいして貰ったけど、いつ、ばれて狙われるか。

 そんな時、ここに居たら皆に迷惑が掛かるからね。


 「楽しそうですね。そんな体験も。」


 「でしょ?でも、王都で生活してても、またどこか行きたくなったら、旅立つつもりだし、そしたら、ここに戻って来ることもあるかもしれないよ。

 それに、まだ、九重さんにもお願いしてもいないから、王都に行けるかもわからないんだけどね。」


 「わかりました。もし、茜さんの希望が叶った時には、笑顔で見送らさせて貰います。」


 「ありがとう。でも、今は野菜作りとかも、頑張って普及させようね。」


 「はい。頑張りましょう。」


 うん、お妙ちゃんのところの村も豊かにしたいし、美味しい物をこっちでもたくさん食べたいから、頑張ろう。

 今までこっちに来た人の中でも料理人と書いただろうけど、調味料がなかったり、野菜が手に入らなかったりで、あまり美味しい料理も広まってないのだろうからね。

 でも、今の時代なら、醤油や清酒なんかも先人である漂着者と呼ばれている人が頑張って作ったらしいしから、これで私がいろんな野菜を広めれば、向こうで私がいた時代の血がづけるんじゃないかな。

 もっとも、外国の調味料とかはなぜあるの?というのもあるけど、ないのも多いから、まだまだ大変なのかな。


 あと、お妙ちゃんにも話してしまったし、九重さんにも話をしておかないとだね。

 いざという時に話してダメと言われたら、困るからね。

 でも、ダメと言われても、一人でも行くつもりだけどね。

 とにかく、計画を立てるためにもちゃんとしておこう。


 そんな訳で、九重さんが庭で稽古をしているとき、気取られないように今の迷宮の進捗状況について聞いてみる。


 「迷宮の進捗か?まだ、単独では十七層までしか進んでいないぞ。そう聞くと、目標まであと三層ではないかと思うか知れないが、一人だと一層進むのが大変でな。」


 「そうなんですね。」


 「ああ、食料や消耗品を届けて貰える協力者とかも必要になるからな。そのためには、その層まで潜れる徒党の協力や、途中に設置する補給拠点までを行き来してくれる徒党を雇うなど色々金が掛かるのでな。」


 「あー、一人じゃ潜るのは無理なんだね。」


 「飯や薬が確実に足りなくなるな。それとせっかくの深層のドロップ品も持って帰れないからな。これを持って帰ることで費用をある程度回収している訳だ。」


 「深い層のドロップを持って帰っても足りないのね。」


 「ああ、深層で活躍できる徒党を補給要因に雇わないとだしな。それと中層の補給拠点まで行き来する徒党も雇わないとだしな。それも潜っている間の期間中だ。」


 「なるほど、そう考えるとかなりかかりそうですね。」


 「という訳だ。今は単独攻略のための資金を集めている段階だ。それでうまくいけば、あと二、三回で上手くいけば攻略できると思っているがな。」


 「うーん、深層になると、一回で一層くらいしか進めないのですね。」


 「一人での戦闘だと、どうしても進むのが遅くなるし、再度今まで攻略した階層も再び一人で進まないとならないしな。」


 「なるほど、大変なのですね。」


 「まぁな、で、なぜそんなことを聞いて来たんだ?茜殿も迷宮の奥に進みたいと思ったのか?」


 「そんなつもりはないですよ。えーと、攻略が終わったら、九重さんは、王都に向かうのですよね。」


 「そのつもりだ。」


 「なら、それに私も同行させてください。私も王都に行きたいのです。」


 「そうなのか?」


 「はい。折角、漂着者としてこっちに来たのでいろいろ体験をしたいのです。」


 「わかった。今すぐ返答は出来ないが、近いうちに回答させてもらうよ。」


 「はい、前向きな回答お願いします。」


 これで良しと。あとは、どう答えを出してくれるかよね。

 

 「それはそうと、久しぶりに茜も剣を振ってみるか?」


 私の安堵の顔を見てなのか、九重さんはそう話を振って来た。

 上達しないから匙を投げたの九重さんじゃないの?

 そんなことも思ったが、こっちが王都への同行をお願いしたこともあり、断りづらかったので、しぶしぶ稽古を受けることにしたのでした。

 あれ、ちょっとさぼってただけなのに、なんか物凄く下手になってません?

 そのため、少し厳しめの稽古を受けて、この日は終わったのでした。

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