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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
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47 祭典は続く 4


 店の裏庭に荷車を仕舞い込み、お肉屋さんで買い込んだ荷物を、荷車から降ろし、皆で抱えて勝手口の方から入ると、そこでお湯を沸かしているお政さんに会う。


 「おかえり。どうだったい茜?」 


 お政さんは、私達を見ると私達の商談の結果が気になったのか、そう私に声を掛けた。


 「うん、思った以上に順調に行ったよ。」


 「そうか、良かったね。待っていた村の人達も喜ぶだろうよ。」


 私の答えを聞いて、安堵したようにそう言った。

 どうやら、ここで待っている村人さん達も心配していたようだ。

 それから、私の後ろにいた奏さん達を見つけ、一言いう。


 「しかし、お前達、茜達と一緒に帰って来て、心配かけないよう見つからないようお願いしてたのに、情けないね。」


 「違うんですよ。私達、茜さん達には気付かれなかったんですよ。そこのサキちゃんに見つかっちゃただけですよ。」


 「そうなのかい?」


 「はい、私達は気付かなかったですよ。」


 お政さんが疑いの目で、私達に聞いて来たのが、私はお藤ちゃんとサキちゃんが持ってくれていた荷物を片付けていたため、お妙ちゃんがそう答えてくれた。


 「だそうだけど、どうする?旦那。」


 それを聞いたお政さんがそう投げかけた先を見ると、奥から九重さんは出て来て奏さん達に告げた。


 「まぁ、それなら辛うじて合格をやるか。」


 「お前達、よかったね。なら、及第点ということで依頼料を満額払ってあげるよ。」


 お政さんはそう言うと、奏さん達にどこから取り出したのか銀貨をそれぞれに1枚づつ手のひらに置いてあげた。


 「毎度ありがと。」


 「どうもです。」


 それを受け取り、目の前に掲げるとそうお礼を言って、それぞれ自分の懐に仕舞い込む。


 「それで茜、警護してくれたこの子達も夕食を一緒にするから、その分準備よろしくね。」


 「はい。それなら、サキちゃんとお母さんも誘っていいでしょうか?」


 それを聞いて、サキちゃんだけ送り返してしまうのもかわいそうだし、サキちゃん親子も誘っていいか聞きました。


 「ああ、構わないよ。なら、及第点だった奏達は、一門にいるおヨシさんを知ってるね。」


 「はい、サキちゃんの母さんです。」


 「さっき教えて貰いました。」


 「なら、おヨシさんを呼びに行っておくれ。」


 「はい。でも、涼は調理を覚えて貰うために置いて行きますので、よろしくです。」


 奏さんは命じられた内容を了承するが、お涼ちゃんを置いて行くと告げて、出て行った。


 「そう言うことで、よろしくお願いします。茜さん。」


 残されたお涼さんは私にそう言って頭を下げる。

 しっかりしてるな。

 でも、私が造った野菜を料理をできる人が多い方が普及させるためにもいいから、いいか。 


 「しっかり、覚えて一門の人達にも広めてね。」


 「任せて下さい。」


 「では、調理を始めよう。」


 私がそう言って、手を洗い、布で拭き、調理の準備を始める。


 「おー。」


 お涼さんもそう返事をすると、手を洗い、私の後を追ってきてくれる。

 うん、いいノリだね。


 お政さんはしばらく私達の様子を見た後、沸かしたお湯で茶を入れ、村人さん達の相手をしてくると下がって行った。

 お妙ちゃんはお藤ちゃんに皆に今日の成果を報告に行こう言って、サキちゃんとお藤ちゃんを連れて、お政さんの後をついて行く。

 今回の夕飯は、いつもの私達、お藤ちゃん、村の人、奏さん、お涼さん、サキちゃん親子の分と結構な量の料理をこれから作ることになる。

 なので、私に負担をかけないようにサキちゃんとお藤ちゃんを連れ出してくれたみたいだ。

 本当は、お妙ちゃんも戦力として欲しいが、サキちゃん達が一緒だと確かに危なっかしいから、すまないが二人を任せることにする。

 それにお店でもお藤ちゃんとサキちゃんは料理作るのを見てたし、試食もしたしで、二人が飽きちゃうといけないからね。

 九重さんはたすき掛けをして、裏庭に向かう。どうやら、自らの稽古のため、素振りを行うようだ。

 今日も『光陰星霜』の人を稽古していたはずなのに、相変わらず練習熱心だね。

 

 そして、私は解説を加えながら、お涼さんと一緒に料理を作り始める。

 これから作る予定のいくつかは、この前の騒動の時作った物や、その前に作った物だったこともあり、おさらいをしながら作る。

 先程お店で作った新しい料理も、だいたいそれらのアレンジ品なので、簡単に説明を加えてソースを流用しながら、作って行く。

 ただ、お藤ちゃんやサキちゃんも居るので、先程のアラビアータ風は辛味を加えずに普通にトマトソース風に作る。

 説明で辛草もしくは、今後手に入る唐辛子を加えると大人向けの辛さが加わっておしいと付け加えておく。

 ただ、トマトの湯剥きだけは、お店の時は向こうの料理人達とお妙ちゃんもいたけど、今回は二人だけでしないと行けなかったので、それは大変でした。

 

 それでも、お涼さんは手際が良く調理をしてくれるので、下準備は結構な速さで終わりました。

 そして、その頃には街で薬を売っていた竜馬さんや奏さんもおヨシさんを連れて戻ってきました。

 また、私のもとで働いていることになっている錬金術士さん達もかけてけてくれたので、野菜の特徴を教えて、料理を食べて貰うことにする。

 他の野菜についても今後覚えて貰ったりしないとね。

 そんな訳なので錬金術士さん達は今日はお酒なしにして貰います。


 そんな訳で今日は人が多いので、さすがにすべての料理をすべて一度に配膳できそうにありませんので、村人さんとうちの大人組に先に食べて貰うことにすることにしようと、お政さんに相談します。

 なら、大人達は酒を呑ませて貰うから、肴になりそうな物だけ出して欲しいと言ってきました。

 そして、それが終わったら、茜達の分を作って、その後またお政さん達の分を作って欲しいと言ってきた。

 確かに、酒を呑むと食事は遅くなるか。

 私はそれを了承し、大人達には、つまみになりそうな物を先に作ることにし、エールと枝豆、トマトの輪切ををお政さんに渡す。

 あとは、ビザとピーマンの肉詰め辺りを出せばいいか。

 そして、その後、私達のご飯を用意することにする。


 奏さんとお涼さんはお政さん達と酒を呑むと言っていたが、サキちゃんとおヨシさんを送り届けないとと言われ、酒を呑めずに残念がるが、私達と楽しく食事をすることとなった。

 料理の感想は、若者組、大人組もおおむね好評でした。

 ただ、村ではお肉や醍醐が手に入りにくいので、どうしても作れる料理が限られてしまうと言って、残念がっていました。

 そうか。そうだよね。今度村に行くまでに、その辺りは何か考えておこう。


よろしければブックマーク、評価、ご意見、感想などよろしくお願いします。

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