45 祭典は続く 2
お妙ちゃん達のところに戻ると、お藤ちゃんがサキちゃんと遊んでいた。
あれ、サキちゃんの家ここから遠いけどどうしたんだろ?
お妙ちゃんに聞いてみると、サキちゃんは私に会いに錬金屋来てくれたようだった。
それで、私が居ないと知って、わざわざここまで臭いで追ってきたらしい。
だけど、途中で私だけ離れて行ったので、知らない臭いのあるお妙ちゃんの方に様子を見に来たらしい。
うーん、侮れないな。
私はそこまで鼻も耳も効かないのだけど、犬と狐の違い?でも、そこまで能力に違いはないはず、なんでだろう。
「で、サキちゃん、わざわざ追いかけて来てくれたようだけど、どうしたの?」
「うん、これ。」
そう言って、サキちゃんは包みを差し出してきた。
開けてみると、迷宮に生えている植物が入っていた。
私達はまだ、街の外への行くことが禁止されているので、サキちゃんに頼んでお母さんに薬草でない植物を取って来て貰うようお願いしていたのでした。
唐辛子ほどでないけど辛みがある植物で、辛草と言われている料理用に採集もされている植物だ。これは結構探すのが難しいため、流通量が少なくて個人消費に使われるのがほとんどでなかなか手に入らない物です。
ちょうどいいや、これで辛みを利かせられる。まだ、赤く熟していないようで唐辛子は今回持って来ていなかったしね。
「ありがとう。はい、これお金ね。なくさないように。それとお母さんにもお礼を言っておいてね。」
「うん。わかった。」
「あ、そうだ。サキちゃん、今、時間ある?」
「大丈夫。」
「なら、一緒に出掛ける?」
「お藤も一緒?」
私の問いにサキちゃんは、お藤ちゃんを見てそう問いかける。
「そうだよ。サキちゃんも一緒に行こうよ。」
「ん、わかった。行く。」
「では、出発。」
「おう。」「はい。」
「なんか、サキちゃんと話しているといつも茜さんもサキちゃんみたいな口調になってますよ。」
お妙ちゃんが、そう私の耳元で囁く。
え、サキちゃんの言動に引っ張られてしまっている?
大人として、正しい言葉遣いをしないとね。気を付けましょう。
次に私達は騒動があった日にも寄った獣人のお店へと向かった。
「ごめんください。」
「お、いらっしゃい。茜。今日は随分人数が多いね。」
「ええ。」
「で、今日は何が入用だい?」
「それなんですがね。今日は変わった野菜を売り込みに来ました。」
「ほう。」
そうして、私は持って来た野菜を見せてながら、説明する。
そして、店主の許しを得て、奥の調理場でいくつか料理を試作する。
まずは、トマトソースを作る。
今日はパン生地がなかったので、売っているパンをスライスして、それにトマトソースを塗り、チーズと玉ねぎ、ドライソーセージ、それと持って来たピーマンとサキちゃんがくれた辛草を細かく刻み、軽く散らしてトーストする。
それとフィットチーネのような平麺にトマトソース、ひき肉、人参、ピーマン、玉ねぎ、辛草を炒めた物に和えて、ナポリタンのようなアラビアータ風の物を作る。
あと、トマトメインばっかりではあれなので、ピーマンの肉詰めを作り、塩ゆでした枝豆も用意する。
最後に それとトマト自体を味わってもらうために生のトマトを小分けにして出す。
ただ、サキちゃんやお藤ちゃんの分は唐草を抜いて用意してあげた。
私が食べても辛みを強く感じるから、獣人で子供のサキちゃんとあまり辛味に縁のないであろう子供のお藤ちゃんには、刺激が強すぎるかなと思ったからだ。
早速出来上がりを試食して貰う。
店主にまずはピザトーストを食べて貰う。
「うん、パンに旨味と甘みや辛味が複雑に絡み合って、美味しいよ。ただ、この辛味は獣人でも味覚が鋭いのはきついかもな。」
他の従業員やお妙ちゃん達も美味しそうに食べてくれるが、獣人の中には辛さで顔をしかめている人もいた。
どうやら、同じ獣人でも味覚が鋭い人とそうでない人がいるようだね。するとサキちゃんはかなり感覚が鋭い子なのか。
では、あの人にはサキちゃん達と同じものを出そう。
続いてナポリタンだかアラビアータだかのもどき料理を出す。
「この平麵にもこのソースは合うね。この赤い色も食欲をそそるし、ソース甘みと辛草の辛味が絶妙に混じり合っていていいな。そして、緑の実も彩が映えるし、独特な味も加わることで料理がの味が単調にならずにいいよ。」
これまた、高評価を貰えた。まぁ、トマトが入ってくると、イタリアでも物凄く色々な料理に使われるようになったしね。
皆が美味しそうに食べているのを見て、サキちゃんとお藤ちゃんが、私の皿を興味深そうに見ていたので、少しだけ分けてあげたけど、やっぱり辛味の刺激に慣れないようで、凄い顔をされて「辛い。」と言われた。
続いて、ピーマンの肉詰めをだす、トマトソースをかけてもいいが、同じ味ばかりになるので、ここは醤油をかけて食べて貰う。
「この青い実も肉と一緒に揚げ焼きにすると肉の旨味の中に苦みが効いてうまいよ。そのままでも充分うまいが、醤油をかけるだけで全体の味がさらに引き立つね。ご飯が欲しくなるよ。」
うん、これは、ご飯を一緒に掻きこみたくなる。
ただ、獣人さんや子供達にはあまり慣れない苦みが前面に来るのか、苦手にする人もいた。
続いて、枝豆だがエールと一緒に食べて貰うことにした。
「この豆は塩ゆでという単純な調理だが、豆には珍しく甘みがあるのでこの塩加減が甘みを引き立ててうまい。また、エールのつまみに食べるとお互いエールの苦みが豆を食べた瞬間に甘みに舌が支配され、またエールを口にするとエールの香りと苦みが新鮮に迎えられる。なんかいくらでも飲めるし、食べられるなこれは。」
うん、その辺は私はよくわからないけど、豆の程よい甘さとほどよい塩加減で美味しいよね。
子供達も美味しそうに食べてるし、時間があればずんだ餅とかにできたけど、その辺は餡子のように調理しても美味しいと説明しておく。
そして、最後に生のトマトをそのまま出す。ソフトチーズとトマトにバジルとオリーブオイルをかけたりしても良かったんだけど、トマトの味を知って貰うため、単品で食べて貰う。
「最後の生のトマトも酸味の中に程よい甘みがあってシャクシャクとした触感もいいね。どれも美味しかったよ。気に入った。この野菜をとりあえず今あるだけ買いたいがいいかい?」
「それは喜んでですが、値段交渉はお藤ちゃん出来る?」
「うん、一緒に来た人達と話し合いながら来たから大丈夫だよ。」
「なら、このお藤ちゃんとお願いします。」
「わかった。」
そうして、交渉は行われたのですが、お店の提示額がお藤ちゃん達の想定額より高く示されたため、お藤ちゃんは困ってしまい。
結局、お妙ちゃんが変わってお藤ちゃんに今後の収穫状況等を確認しながら、詰めていました。
今ある野菜については、だいたいの買取額が決まり、今後も持って来てくれれば買ってくれることになりました。
お店の方は、早速いくつかの料理をお店で出すのと、店と取引している料理屋に明日にでも料理を食べて貰い売り込みをかけると言っていました。
お店の人たちのの評判もよさそうだし、うまく売れるといいな。
それとは別にサキちゃんから貰った私の辛草も少し分けて欲しいと取られてしまいました。
うーん、唐辛子が来るまでに、もう一回サキちゃんのお母さんに採集をお願いしようかな。
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