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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
44/77

44 祭典は続く 1

 今回の騒動は終わりましたが、街は火事の後始末で忙しく荷車が走り回り、街を見回るお役人さんたちもピリピリした雰囲気で見回りをしています。

 私達についてくれていた役人さんも、買い物等に同行してくださいましたが、特にこれと言ったこともないのと、他にもいろいろ案件を抱えているようなので、事件から一週間ほどで、お役目を終えることになりました。

 お政さんの店の方も、他の錬金術師が肩代わりしてくれた借りを返すため、忙しく他からの仕事を受けまくっていたので、私も働きまくりました。


 本当は、私もお藤ちゃんの村に行って、いろいろ野菜を使った料理を教えたりしたかったのですが、さすがにそんなすぐに街の外に出かけるのは許されませんでした。

 それに、仕事も忙しかったので、動けなかったですしね。


 そんなこんなで、私が忙しく店のことにかかりっきりでいると、村人二人とお藤ちゃんが荷車を押して佐加里まで持って来てくれた。

 村でも新しく作った野菜を私のメモ書きなどを参照にして色々料理を作って消費していたそうだが、夏の最盛期を迎え、村で処理しきれなくなったので、その分をわざわざ届けに来てくれたそうだ。


 「うわぁ、どれもみんな美味しそうに作られたね。」


 「うん、村でも食べているけど美味しいよ。私はとうもろこしと言うのが甘くて好きだった。たくさん、虫や狸とか鳥とかに結構食べられちゃったけど。

 あとね、とうもろこしはもう木が枯れちゃって、持ってこれなかったの。」


 ああ、そうだったね。網をかけたりして作っていたよね。それでもハクビシンとかに食べられちゃってたけど、そう言った害虫や害獣対策をするのを忘れてたね。

 とうもろこしは撒く時期を一緒にすると収穫期が短いから取れる期間が短くなっちゃうのか。とうもろこしの苗、一本から三個くらいしか取れないから、すぐ枯れちゃうのも仕方ないね。


 「そうだよね。害虫や害獣とかその辺も考えておかないとだったね。気が回らなくてごめんなさい。あと、とうもろこしは種まき時期を少しずらして、長く収穫できるようにすればよかったね。」


 「ああ、わしらも知らなかったから、いろいろと対策が遅れてしまったんだ。でも、種は取れたので来年は美味く作れるよう頑張るからよ。あれば気甘くてうまいんだ、来年は時期をずらしてたくさん作るよ。」


 「あ、それと来年は鳥もとうもろこしの味を覚えてしまったので、種を食べられないように気を付けて下さい。」


 「なるほどな。判った。任せときな。」


 向こうで田舎にいた時は、鳥よけテープを張ったり、種に薬を付けてあったりしてたけど、こっちではどうするんだろ?

 わからないから、その道の人達にその辺は任せましょう。


 さて、これをどう売り込もうかしら。

 市場でただ売っても味が広く知られないから、欲しいと思う消費者がすぐに増えないからね。

 なら、まずは料理屋とかに売って、皆に味を覚えて貰うのがいいかな。

 で、どこにそれをお願いしようか。外食って私はあまりしないからなぁ。

 そんな風に悩んでいると、お藤ちゃんが私に話しかけてきた。


 「ねぇ、茜お姉ちゃん。この前来た時作ってくれたピザとハンバーグ作ろうよ。村だとお肉や醍醐チーズがあ手に入らないから、作れなかったの。」


 そうだね。あの辺は『光陰星霜』の奏ちゃんやお涼ちゃんも美味しいと喜んでくれたし、いいかもしれないね。


 「わかったわ。でも、その前にこれらの野菜を売りに行きましょう。」


 「でも、どこに売り込みに行くのです?」


 一緒に話を聞いていたお妙ちゃんがそう聞いて来ました。


 「まずは、お肉や醍醐を買いたいので、私行きつけの獣人さんのところで売り込んでみましょう。その後はエールを販売している料理屋を教えて貰って、そこに伺いましょう。」


 それと私が居なくなっても、これらの種がうまく取れなかったりした場合に備えて、錬金術師にもとりあえずここにあるものだけでも野菜の形と味を覚えて貰おう。

 そうすれば、今度は実際の種があるし、もし雑交して味が悪くなってたりしても、私が錬金書庫に登録した錬金術で元に戻せるはずだしね。



 でも、私もお妙ちゃん、お政さんもなると店番をどうしましょう?

 うん、お政さんに相談してみましょう。

 という訳で、お政さんに私の考えを伝える。

 私の説明を聞いて、お政さんは少し考えてから答えてくれる。


 「私じゃなく、お前さんの替わりに金剛石を作っている錬金術師に頼みな。錬金座の丹兵衛に頼めば、後々の金とかのことも上手くやってくれるだろうから。」


 「わかりました。それでお願いしてみます。」


 うん、あの人達も金剛石ばっか作ってたら飽きちゃうだろうし、偶には他の物も作りたいだろうし、お政さんの言うとおりお願いしよう。


 「あー、それとあたし達にも、その料理を振舞うんだよ。」


 「大丈夫です。お藤ちゃんと約束したので、ちゃんと用意しますよ。ただ、村の人も二人ほどお藤ちゃんと一緒に来ているので、ここを食事と寝床を提供してもいいですか。あと、錬金術師さん達も一緒に食事しますね。」


 「ああ、それくらいなら問題ないよ。」


 「では、今からお妙ちゃんをしばらく借りてお出かけしますね。」


 「ああ、今日のところは幸い私だけで何とかなるから構わないよ。それとまた面倒に巻き込まれないようにしなさいよ。」


 「大丈夫です。では行ってきます。」


 「ああ、それと料理だけどね。少し多めに用意しておいておくれ。」


 「わかりました。誰か来るのですか?」


 「ああ、ちょっとね。じゃぁ、気を付けて行っておいで。」


 「はい。行ってきます。」


 では、お妙ちゃんとお藤ちゃんを連れて行ってきましょう。


 村人さん達は、ここで少し休んで貰い。

 私はまず、錬金座の丹兵衛のところにいる錬金術師さん達と話をしに行きましょう。


 丹兵衛さんに挨拶をし、ついでに同席を願いをして、私の錬金術師と話をします。

 ただその間、難しい話に付き合わせるのもかわいそうだし、お藤ちゃんが暇をしてしまうだろうから、お妙ちゃんと外で遊んでてもらうことにする。

 これで、姉妹二人の時間が作れるからね。


 錬金術師さんとの話はとんとん拍子で進みました。

 やはり、みなさん金剛石作りだけでは飽きていたようで、喜んで受けてくれた。

 もちろん、新しい食べ物を試せる楽しみもあるようだけど、その辺は錬金術師のさがだよね。


 それを聞いて、丹兵衛さんが細かい報酬の割り当てとかを決めてくれる。

 あまり、種のお金は、近隣の村人だけには、もし必要になっても、あまり高額にならないために錬金術師さんへの報酬のほとんどは私の金剛石の利益の積み立てから出すようにして、村に住んで居る現金収入の少ない人でも払える金額にしてもらう。

 今日は時間がないので、大まかな取り決めだけして、細かい話は後ほどにすることにした。

 錬金術師さんには、今日の夕食時に錬金屋に来てもらうことにして、とりあえず別れ、お妙ちゃん達のところに向かった。

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