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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
35/77

35 子供達と冒険 1

 私は、お政さんにお妙ちゃんと休みを貰い、あれから、月に大市の時とその他に一回、白菊村、お妙ちゃん達の村に、農業指導に行くことにしています。

 付き添いは、忙しい中申し訳ないのですが、九重さんか竜馬さんにお願いをしています。

 農業指導と言ってはいますが、私も素人同然なので、あまり役立たないです。それでも、育成の際の気になったことを話せるだけでも、安心につながるのでありがといと言ってくれています。

 もうすぐ、初夏。野菜も順調に育っています。今回は、竜馬さんが付き添ってくれました。

 佐加里の街が見えるという時、竜馬さんが気付きました。


 「おい、あれ、茜さん達のお友達じゃないのか?」


 「え?どこです。」


 「ほら、あそこだよ。」


 私は、目を凝らして竜馬さんが指をさす方向を見ます。

 確かにサキちゃんと、そのお友達のようです。何をしているのでしょう?そもそも、子供だけで街をでても大丈夫なのでしょうか?


 「茜さん、サキちゃん達何かを探しているようですよ。行ってみましょう。」


 「そうなの?わかった。行ってみよう。」


 私には、サキちゃん達が何しているかまで、見えなかったのです。でも、お妙ちゃんがそう言うなら、間違いないでしょう。


 子供が、何か探すようにして移動しているので、私達もなんとか、追いつくことが出来ました。


 「サキちゃん、こんな所で、どうしたの?」


 「あ、よかった。お姉ちゃん達だ。」


 サキちゃんは、私達を見つけて、尻尾を揺らし、嬉しそうにしています。

 私達に、事の次第を、サキちゃん達は、一生懸命話してくれました。

 サキちゃん達が、かくれんぼをして遊んでいたらしいです。

 しかし、綾ちゃんが、何時までたっても見つからないし、出てもこなかったそうです。

 そこで、サキちゃんが臭いを頼りに探してみたら、だれも住んで居ないあばら家で綾ちゃんの匂いが途切れていたので、ここに隠れていると思い、中に入ったそうです。

 すると、中には綾ちゃんだけでなく、幾人かの男の匂いもしたそうです。

 ですが、中には誰も居ないので、家の中を探したら抜け穴を見つけたとのことです。

 その中を覗いてみると、綾ちゃんと男達の匂いがあったので、後を追って、ここまで来たそうです。


 「どうしましょう?」


 綾ちゃんは、私が金剛石の細工をお願いしている惣弥の娘さんです。どうやら、攫われてしまったようです。

 綾ちゃんもすぐに追いかけないとだし、かと言ってサキちゃん達を連れまわすのも危険なような気がします。その対応に困って、竜馬さんに尋ねます。

 それを聞いてサキちゃん達も、竜馬さんを見ます。


 「うーん、ガキどもと一緒じゃ、危ないが、街に戻している余裕はなさそうだし、サキちゃんの嗅覚も頼りになる。仕方ないここは連れて行くか。」


 竜馬さんは、しばらく考えてから、そう言いました。


 「そうだね。よし、行こう。サキちゃん、よろしく。」


 私も、急いだほうがいいだろうと思い、サキちゃんにそう言って、臭いを追いかけることにしました。


 「うん、まかせて。」


 そう言って、サキちゃんは、臭いを辿って行くのでした。

 私達の向かう先は、竜馬さんによれば、貴族様が鷹狩りに使う、草原らしく、普段は何もない所だそうです。

 やがて、道もなくなり、背丈を超えるほどに雑草が茂ってきました。

 そして、よく見ると、そこには、幾人かが通った跡がわかるように、雑草が倒れて、獣道のようになっていました。

 ここに来る途中に、竜馬さんは丈夫そうな木の枝を簡単に削り、お妙ちゃんの護身用の懐刀を器用に先端に取り付け、お妙ちゃん用に槍を作りました。見事な物です。


 ここからは、この後を通って行けば、目的地です。、サキちゃん達は、安全を期すため、ここら辺に隠れているようにお願いして、竜馬さんと、私、お妙ちゃんで先に進むことにしました。

 ここが荒れ地のままなのは、ここに住むネズミを増やし、それを狙う野生動物が集まって来るようにするためなのだそうです。

 狩りの前日になると、付近の農民が、一斉にここの草を刈って、見晴らしを確保するそうです。この広さを狩るのは大変ですね。

 あと、ここにいるネズミや野鳥、蝙蝠といった小動物を狩りがないときも、税として、生きたまま集めて献上するそうです。 大変ですね。


 そんなことを話ながらも、先が見通せない草叢の中、慎重に歩みを進めます。

 綾ちゃんを連れ去った連中が、掻き分けながら草むらを進ん跡を慎重に見つけながら、距離にして300m位、奥に入りました。

 ここからは、安全のため、私語もやめ、周りの気配に気を配りながら進んで行きます。

 時々、私達に驚いたのか、雀のような鳥が飛び立つ音が聞こえたり、子鼠が走り回る音が聞こえます。

 その度に歩みを止め、気取られていないか、周囲を慎重に伺いながら前へと進みます。

 先頭を歩いている竜馬さんが、手で歩みを止めるよう合図してきました。

 そして、そのまま竜馬さんだけが前へ進んで行きます。


 しばらくすると、竜馬さんが戻って来てこう言いました。


 「この先に、連れ去った連中の拠点がある。」


 そして、そこの状況について、説明してくれました。そこには、天幕が三つあり、人は十五人は少なくともいるようです。

 綾ちゃんが、そこに居るかまでは確認できなかったそうですが、恐らく連れて来たばかりだろうからまだ、無事のはずということでした。

 どしましょう。早く助けないと綾ちゃんが、でも、十五人以上の人を私達だけで倒すのは、難しそうだし。というか、無理ではないでしょうか。

 そう悩んでいると、天幕がある方から声が聞こえてきました。


 私達がそっちの方へ行き、向こうの声が拾えるくらいに近づきます。

 どうやら、攫って来た綾ちゃんの処遇で揉めているようです。

 なんとか会話を聞き取ると、今すぐ処分をしてしまおうという意見と、ぎりぎりまでここに置いて、用が済んだときに処分をしようという意見で揉めているようです。

 む、処分をするのが前提なのですね。ちっちゃな子を自分勝手な都合であやめようなんて許せません。

 話を聞いていると、綾ちゃんも、揉めている天幕の中にいるようです。天幕の中の敵は恐らく五人、外にいる見張りは二人、他の二つの天幕は気配は感じ取れますが、いびきがいくつか聞こえるだけで静かです。私の耳がよく聞こえるとは言え、さすがに人数はわかりません。


 もともと、抜け道を使って街に入るような、いわくつきの連中です。まともに議論なんてできません。段々と天幕連中の言葉が荒れて来て、危険な状態になってきました。


 「なぁ、茜さんよ。魔法で人を殺せるか?」


 竜馬さんが覚悟を決めたようにそう私に尋ねてきました。


 「迷宮の中で、襲われたて、それ撃退しました。ここに居るのも、悪い人達なので大丈夫です。」


 私もこのまま綾ちゃんを危険に晒して置くことはできません。ですので、竜馬さんにそう伝えます。

 それを聞いて、竜馬さんは、私にこう尋ねて来ました。


 「なら、見張りの連中を魔法で、二人を一度に仕留められるか?」


 「任せて下さい。」


 ええ、覚悟を決め、そう言い切ります。


 「よし、俺の合図でやってくれ。それとお妙、茜を守ってやるんだぞ。」


 「わかりました。」


 「お任せください。」

  

 そして、竜馬さんが、私達から距離を取ると、私に合図をして来ました。

 失敗は、許せません。

 迷宮では、『硬直の砂塵』という広域麻痺の魔法を使いましたが、抵抗されてしまう危険があるので、今回は、確実に仕留めるため、『多重発動』を重ねがけして、『飛礫』を撃ち込みます。

 二人にいくつもの礫が撃ち込まれるよう直撃します。不意を打たれて、躱せなかったようです。すべて命中しました。


 見張りは、わずかに奇声を発して倒れたが、周りには気付かれずに済んだようだ。

 初めて、人に向けて攻撃魔法を放ったが、それほど嫌悪感は感じなかった。死体は、嫌と言うほど見てるから、こっちの世界の雰囲気に慣れちゃっているのかな。


 見張りが倒れて動かないのを確認すると、すぐさま私は、他の二つの天幕の入口に、迷宮で『光陰星霜』の女の子が使った『底なし沼』を置きます。敵の数減らしに、これは有効でしたからね。


 竜馬さんは、見張りが倒れたのを確認すると飛び出して行きました。そして、口論が行われている天幕に近づき、持っていた仕込み杖を槍に換えると、一突きしました。

 そして、そのまま天幕を切り裂き、中に飛び込んでいきました。

 中では、怒号と悲鳴が入り混じって聞こえます。

 竜馬さんも綾ちゃんも大丈夫でしょうか?

次回のあらすじ

 茜達は、綾ちゃんを助けるため、後を追い、綾ちゃんを助けるべく、殴り込みをかけることになりました。奇襲を行い救助を行うのですが。

 次回 第37話 子供達と冒険 2、是非読んでください。

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