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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
24/77

24 茜の迷宮探検記 1

 金剛石の騒動も落ち着き、季節は、冬真っ盛りと言った寒さが肌身に染みる時期になりました。


 「店先と作業場は、空調の魔道具があるから、火鉢に張り付かなくても済むとは言え、そこを出るとやっぱ寒いね。」


 私は、炊事場の作業を終えると店先に戻って来て、お政さんにそう話しかけた。


 「まぁね。屋敷全部に魔道具を置くとなると、お金がかかるからね。我慢しておくれよ。」


 「でも、店先のような解放された所でも温かさが維持されているのはすごいですね。」


 「この魔道具のある場所は空気があまり逃げないように結界で覆っているから、温かさが逃げないんで温かいんだよ。夏も涼しかったろ?」


 空気を温めたり、冷やすだけでなく、空気をある程度逃がさないようにしているなんて、何気に、すごい技術です。でも、夏は、外に居てもそこまで熱く感じなかったな。そんなことを考えながら、お政さんの問いに答えた


 「そう言えば、でも、私の世界の夏に比べれば、まだ過ごし易い暑さでしたのでそれほど気になりません出したが、涼しかったですね。蒸し暑さは変わらなかったけど。」


 「あの暑さでも涼しいのかい?」


 「ええ、最後にいた年は、東京という所で体温より暑かったりしましたよ。」


 「それは、嫌だねぇ。それで、冬はこっちの方が寒いのかい?」


 「東京は、まだ温かい方で、滅多に雪も積もらなかったですけど、元住んでいた所は、この辺と変わらないくらいの寒さですかねぇ。雪も年に数度積もるくらいでしたし。」


 「なら、あまり変わらないか。今年はまだ雪が降っていないけど、こっちも年に数回降って積もるからね。」


 そんな話をしていると、洗濯を干し終えたお妙ちゃんが戻てきました。


 「お妙ちゃんも洗濯お疲れ様。お茶でも飲む?入れるよ。」


 「いえ、それは私がやりますよ。」


 「いいって、寒かったでしょ、温まりなよ。」


 「そうですか、すみません。でも、茜さんが買ってくれた洗濯の魔道具のおかげで、手をほとんど水で濡らさずに済んでいるので、寒さは今までのに比べれば、格段に楽になってますよ。村にいた時は洗濯の量も半端でなかったし、本当に冷たくて大変でした。」


 「そう言ってくれると嬉しいね。買った甲斐があるよ。はい、お茶。」


 私は、お妙ちゃんにそう言って、湯呑を渡した。


 「ありがとうございます。」 


 お妙ちゃんは、そう言って受け取ると、にっこり微笑んでくれた。

 こういうまったりとした時間は、うん、いいね。


 「ところで、茜。」


 「何ですか?」


 「最近、金剛石造りやっていなようだけどどうしたんだい?」


 「それはですね。……。」


 あちゃー、ばれてるのね。正直に話しましょう。

 その後、丹兵衛さんが連れて来た錬金術師の金剛石作りを一人前にして、私は、私の金剛石を造りは、彼らに任せた後、カラーダイヤモンド造るために、すでに知られている元素や茜が知っている元素を取り出して、金剛石を造る際に混ぜるを繰り返してみたが上手くいかなかったこと。


 また紅玉ルビー青玉サファイヤを造ろうとしたけど、その前段階で金属のアルミニウムを錬成したら、なぜか透明になってしまったことや、透明なアルミニウム錬成に思った以上の魔力が必要でだったのと、それを利用して紅玉や青玉それも上手くいかなかったことを話した。



 ちなみに、上手くいかなかった原因は、茜の知識不足によるところが大きい、金剛石は炭素原子の結びついたもので、その構造の歪みによって色が変わる仕組みなので、構造の一部に炭素の欠落があったり、わずかに炭素が窒素やホウ素と置き換わることによって、発色するため元素を混ぜるようなやり方では、上手くいかないのも当然である。

 また、茜が造った方法だと本来は出来上がる金剛石のほとんどが価値の劣る黄色に近い色合いになるであるが、錬金術で錬成する際、透明な金剛石をイメージしているため、出来上がりが皆、透明な物になっているので、そう言ったイメージを持たずに造れば、本来は黄色金剛石になるのであった。


 あと、アルミニウムが透明になってしまったのは、地球にない魔力に起因する現象によってである。

 また魔力を大量に消費したのは、アルミニウムを作るのにボーキサイトと言う鉱石を苛性ソーダで溶かし、電気を大量に使って作るのを、その辺の土壌に含まれる酸化アルミニウムを無理やり錬金術で集めてアルミニウムにしたのと、アルミニウム自体がが魔力を貯える性質を持っているため、魔力が大量に必要になったためである。


 紅玉や青玉自体は、酸化アルミニウムが主原料なので、それをそのまま抽出して、紅玉や青玉を造ろうとしていれば魔力の消費はそこまでではなかったが、魔力の影響のによってこの世界の酸化アルミニウムは、透明にならないので宝石としての紅玉や青玉は存在していないため、結局は作れなかっただろう。


閑話休題。




 「そうなのかい。そうそう上手くいかないもんは仕方ないさ。それでどうするんだい、また他のことに手を出すのかい?」


 「それなのですが、勿論思いつけば試しますが、ちょっと錬金書庫の錬金術の処方で試したいものがありまして、ただ、その素材の一部が新鮮である必要があるため、どうしようかと迷っているのですよ。」


 「何が必要なんだい?」


 「えーと、迷宮の第七層以降にいる紫アメナメクジの腸?とか言うのです。」


 「また、珍しい物を、それで何を作る気だい?」


 「安全な感覚強化の錬金薬です。」


 「サキの母親にかい?」


 「ええ、それがあれば私への借金の返済も早く済んで暮らし向きも良くなるかなと…。」


 「なるほどね。まったく他人に甘いんだから。それだと私が行って作って来るというより、茜自身が作りたいという事だよね。」


 「できれば、そうしたいです。」


 「なら、丁度いい。『光陰星霜』の若い者が、第十層攻略をするのに、九重の旦那が剣を教えたついでに引率することになって、不意の対応に色々対応できる錬金術師の同行を頼まれててね。

 私の替わりに茜がお行きよ。妙も槍術の方も様になって来たし、茜の護衛と実践訓練を兼ねて一緒にお行き。」


 「えー、私もですか?」


 他人事に聞いていたお妙ちゃんは、急に自分にも話を振られ、驚きの声を上げました。うん、つい最近までただの村娘だったのに、急に迷宮に行けと言われたら驚くよね。


 「折角、迷宮都市にいるんだ。何事も経験だよ。それに『光陰星霜』の連中が基本戦うのだから、あんたらは付いて行って、無事第十層攻略者になりゃいいんだよ。」


 「でも、迷宮に潜るための試験とか間に合います?」


 「安心おし、薬草の試験はあたしの実地と以前茜が作った解説があれば受かるだろうし、第四層以降の実技は、妙は槍を九重の旦那達に習っているのだし、第五層以降の実技も問題ないさ。

 茜は魔法を習得しているから猶の事問題ないし。魔物の知識や解体の試験も九重の旦那に、茜と一緒に礎をちょこっと聞けば平気だよ。」


 「それなら、平気ですかね?」


 お妙ちゃんは、そう言ってどうしようかと戸惑っています。

 ほら、私やお政さんみたいに人は皆興味の塊ではなのですよ。なので、私が、一言背中を押してあげましょう。


 「うん、お妙ちゃんも一緒に行こうよ。私もその方が安心だし。」


 そう言って、お妙ちゃんの手を握り、目線を合わせました。


 「わかりました。受けます。そして、一緒に行きましょう。」


 お妙ちゃんは、意気に感じてくれたようでそう言って、私の手を強く握り返してくれました。

 うん、計画通りです。九重さんがいるとはいえ、私一人じゃ、不安だし、同じ女性のお妙ちゃんが居れば安心よね。


 「そうかい、なら、ちょっと『光陰星霜』に行って話を通してくるよ。茜は妙に薬草の絵を見せておやり。」


 「わかりました。じゃぁ、ここに持ってくるから、お妙ちゃん待っててね。」




 翌日から、お政さんとお妙ちゃんは、二日間迷宮で薬草の実地観察を行い。私は、その間に店番と薬材の加工をしつつ、留守の間に金剛石の納品を丹兵衛さんに代行して貰えるよう書面で頼んだと忙しく過ごしました。


 夜は、お妙ちゃんと九重さんに魔物の解体の基礎を教わりました。それが最初は、基本、普通の動物の解体と同じだとか言葉だけで説明をするのですが、私もお妙ちゃんもそんな知識もないので解りません。

 そこで、解りやすく学ぶため、私が錬金術で木製の動物の人形を作り、それで実際に刃を入れる場所とか教えて貰い、迷宮探題での試験に備えました。


 試験当日は、お妙ちゃんは薬草の試験も行うため、朝から迷宮探題に向かい、私は、午後に実技と解体をの試験を行うため、迷宮探題に向かいました。

 迷宮探題には、街中で魔力を使っても平気な場所があるらしく、そこで試験ができるとのことです。そんな施設があるなら、そこを開放して魔法を学ばせてくれれば、わざわざ迷宮の第三層まで行かずに済んだのに。

 もちろん、私は、そんな文句直接言ったりはしません。身分制度のあるこの世界で御上に楯突くなんて怖いですからね。


 それで、試験結果は、二人とももちろん六位に無事合格、晴れて『光陰星霜』の目指す第十階層まで行く資格を手に入れました。

 私の魔法の実技試験は、別に私にチート能力がある訳でもないので、特に問題もなく普通に終わりました。ラノベのようにやっちゃいましたな展開にはなりませんでした。うーん、チートが欲しい。


 その後、お政さんとお妙ちゃんは、念のため魔法を習得するために三日程迷宮に行って魔法を習っていました。

 その魔法も、お妙ちゃんは、魔法適性がなかったので、三日でやっと一つ魔法を使えるようになっただけとのことでした。それでも、適性もなく三日で覚えられたのはすごいと言うことでした。お妙ちゃんは、サキちゃんの家で大立ち回りもすごかったし、なんでもできるし、見かけによらず肝も座っているよね。

 しかし、私は、すぐに覚えられたのに、適性の有無で習得にこうも差がつくと言うのは、その辺は、私には人より適性が色々あるためで、そう考えると、まぁ十分チートでしたね。ははは。




次回のあらすじ


 茜達は、『光陰星霜』の若手の第10層攻略の手伝いと錬金薬材作成のため、迷宮に潜ることになり、そこで初めての魔物との戦闘を行うことになるのでした。

 次回 第25話 茜の迷宮探検記 2、是非読んでください。

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